書類選考の基準の作り方|見る順番と落とす理由を決める
書類選考は、1件あたり数分で判断することが多く、そのぶん人によって結果が変わりやすい場面です。同じ応募書類でも、見る人が違うと通過と見送りが分かれます。
一般には、必須要件で機械的に分けたあと、残った書類を同じ順番で読む形が採られています。この記事では、書類選考の基準の作り方を、見る順番から落とす理由の言葉づけ、記録に残す範囲までの順に整理します。
この記事の内容(8項目)
- 書類選考の基準は2段構えにする
- 1段目で落とすものは、募集要項に書いてあるものだけ
- 2段目で読む順番
- 在職期間の短さだけで落とさない
- 写真や字のきれいさで判断しない
- 要配慮個人情報が書かれていたとき
- 落とす理由の言葉づけ
- 「なんとなく合わない」を残さない
- 理由を集計して、募集に戻す
- 記録に残す範囲
- 通過した人には「面接で聞くこと」を1行残す
- 保留を作りすぎない
- 書類そのものの保管は別の話
- 複数人で書類選考をするとき
- 現場に渡す前に、1段目を終わらせる
- 現場の返事に期限を付ける
- 判断が割れたときの決め方
- 書類通過率が極端になったときの見方
- 通過率が低いときに、基準を緩めるかどうか
- 通過率が高いときは、面接の設計を見る
- 応募書類の形式がそろわないとき
- 提出してもらうものを募集要項に書く
- 自社の様式を用意するかどうか
- 足りない書類は、期限を切って依頼する
- よくある質問
書類選考の基準は2段構えにする
書類選考の基準は、機械的に判定できる部分と、読んで判断する部分に分けると速くなります。全部を読んで総合的に判断する形にすると、時間がかかるうえに人によって結果が変わります。
1段目は、数十秒で終わります。必須要件を満たしていない書類を読み込んでから見送るのが、いちばん時間を使う形です。必須要件の決め方は募集要項の書き方にまとめています。
1段目で落とすものは、募集要項に書いてあるものだけ
募集要項に書いていない条件で機械的に落とすと、応募者から見て理由が分かりません。1段目で使う条件は、募集要項に必須と書いたものに限るという線を引いてください。書いていない条件を使いたくなったら、それは次の募集で必須に足す話です。
2段目で読む順番
2段目は、読む順番を決めておくと判断が揃います。順番を決めないと、目に入ったところから印象が作られます。
| 順 | 見るところ | 判断すること |
|---|---|---|
| 1 | 直近の職務内容 | いまできることが、この仕事とどれだけ重なるか |
| 2 | 在職期間の並び | 働き方の傾向。空白がある場合は面接で聞く材料にする |
| 3 | 応募の理由 | この会社である理由が書かれているか |
| 4 | 資格と学習の履歴 | 歓迎要件に当たるものがあるか |
| 5 | 全体の書き方 | 読み手に伝える意識があるか |
在職期間の短さだけで落とさない
短い在職が続いていることは、それだけでは理由になりません。事情を聞かずに落とすと、要件に合う人を取りこぼします。一般には、書類の段階では材料として持っておいて、面接で本人に聞く項目に入れる形が採られています。聞き方は面接で聞いてはいけない質問で扱う範囲に気をつけてください。
写真や字のきれいさで判断しない
応募書類の見た目は、業務の適性と能力とは直接関係しません。判断の材料に入れるなら、その仕事で必要な理由が言えるかどうかで決めてください。言えないなら、基準から外します。
要配慮個人情報が書かれていたとき
応募書類に、病歴や障害に関する記載が本人の判断で書かれていることがあります。業務に必要な範囲を超えて選考の材料にしないでください。配慮が必要な場合は、必要な範囲を本人に確認したうえで進める形になります。判断が要る場面は、労働局やハローワークの相談窓口にご確認ください。
落とす理由の言葉づけ
書類選考で見送るとき、理由を1つの言葉で記録に残します。この言葉が揃っていないと、あとで集計できません。
| 理由の区分 | 意味 | 次に使えること |
|---|---|---|
| 必須要件を満たさない | 資格、免許、勤務条件が合わない | 要件が厳しすぎないかの判断 |
| 経験が要件と離れている | 職種や業務の中身が違う | 募集要項の書き方の見直し |
| 希望条件が合わない | 給与、勤務地、勤務時間の希望が離れている | 条件の見直しか、書き方の見直し |
| 他の候補者と比べて | 相対的な判断 | 募集ごとの応募の質を見る |
| 募集の終了 | 採用が決まったため | 掲載の止め忘れの確認 |
「なんとなく合わない」を残さない
理由が言葉にならない場合、その判断は基準になっていません。面接に呼んで確かめるか、区分のどれかに当てはめてください。理由が言葉にならないまま見送りが続くと、募集要項を直す材料が集まりません。
理由を集計して、募集に戻す
「必須要件を満たさない」が半分を超えているなら、要件が厳しすぎるか、募集要項の書き方が伝わっていません。集計のしかたは不採用理由の集計のしかたにまとめています。書類選考は、募集要項を直すための情報がいちばん集まる場所です。
記録に残す範囲
書類選考の記録は、誰が、いつ、どの基準で判断したかが分かる範囲で足ります。応募書類そのものの内容を書き写す必要はありません。
| 残すもの | 書き方 |
|---|---|
| 受付番号 | 採用管理表と同じ番号を使う |
| 判断日 | 応募日からの日数が分かる |
| 判断した人 | 複数で見た場合は全員 |
| 結果 | 通過/見送り/保留 |
| 理由の区分 | 決めた言葉から選ぶ |
| 面接で聞くこと | 通過の場合、書類で気になった点を1行 |
通過した人には「面接で聞くこと」を1行残す
書類を読んだときに気になった点は、面接までに忘れます。1行残しておくと、面接官がその場で聞けます。質問を記録する形は面接の評価基準の作り方と合わせて使えます。
保留を作りすぎない
迷ったときに保留にするのは構いませんが、保留のまま放置されると、応募者を何週間も待たせることになります。保留にしてよい期間を決めて、期限が来たら通過か見送りに振り分けてください。
書類そのものの保管は別の話
判断の記録と、応募書類そのものの保管は分けて考えてください。書類の保管期間、返却、削除の考え方は応募書類の保管と返却にまとめています。
複数人で書類選考をするとき
採用担当と現場の責任者が両方見る形にすると、判断は安定しますが日数が伸びます。役割を分けると、両方を満たせます。
採用担当が見る
必須要件の有無希望条件との差
選考の進み方
1段目を担当する
現場の責任者が見る
業務との重なり教えられる範囲か
チームとの合い方
2段目を担当する
現場に渡す前に、1段目を終わらせる
必須要件を満たさない書類まで現場に回すと、現場の時間を使ううえに返ってくるのが遅くなります。1段目は採用担当が終わらせて、通過したものだけを渡す形にすると、現場の負担が減って回転が速くなります。
現場の返事に期限を付ける
現場は本業があるので、書類選考は後回しになります。「渡してから2営業日以内」と決めて、期限が来たら催促する形にしないと、書類選考だけで1週間かかります。連絡の期限の管理は選考連絡の期限の決め方にまとめています。
判断が割れたときの決め方
採用担当が通過、現場が見送りとなったときの決め方を、先に決めておいてください。一般に採られているのは「迷ったら面接に呼ぶ」という形です。書類だけで分かることには限りがあるので、面接の枠に余裕があるなら呼んだほうが取りこぼしが減ります。
書類通過率が極端になったときの見方
書類通過率が高すぎても低すぎても、選考のどこかに無理が出ます。数字が動いたら、基準を疑う前に応募者の顔ぶれを見てください。
| 状態 | 起きていること | 手を打つ場所 |
|---|---|---|
| 通過率が1割を切る | 要件と応募者が合っていない | 募集要項と、出している媒体 |
| 通過率が8割を超える | 基準が緩い。面接の負担が増える | 必須要件の追加ではなく、面接の枠の調整 |
| 月によって大きく変わる | 判断する人が変わっている | 理由の区分をそろえる。読む順番を共有する |
通過率が低いときに、基準を緩めるかどうか
応募が少ないうえに通過率が低いと、面接に呼べる人がいなくなります。ここで基準を緩めると、面接の手間が増えて内定は出ません。先に応募を増やす側を見るほうが順番として無理がありません。判断のしかたは採用の歩留まりの見方にまとめています。
通過率が高いときは、面接の設計を見る
通過率が高いこと自体は問題ではありません。ただ、面接の枠が足りないと日程が先になり、辞退につながります。通過させる人数と、面接の枠の数を合わせてください。枠の押さえ方は面接の日程調整のやり方にまとめています。
応募書類の形式がそろわないとき
履歴書だけの人、職務経歴書もある人、指定の様式で出す人が混ざると、同じ基準で見るのが難しくなります。形式をこちらで指定しておくと、判断が揃います。
提出してもらうものを募集要項に書く
「履歴書と職務経歴書」と書いておけば、片方だけの応募が減ります。書いていないと、応募者は何を出せばよいか分からず、出し直しの往復が発生します。書き方は募集要項の書き方にまとめています。
自社の様式を用意するかどうか
自社の様式を使う
項目がそろって比べやすい要らない欄を入れずに済む
応募のひと手間が増える
自由な様式で受ける
応募のハードルが低い書き方から人柄が見える
比べるのに手間がかかる
応募数を優先するなら自由な様式、比較のしやすさを優先するなら自社の様式です。自社の様式を作る場合は、業務の適性と能力に関係のない欄を入れないでください。市販の様式には、必要のない欄が残っていることがあります。範囲は面接で聞いてはいけない質問にまとめています。
足りない書類は、期限を切って依頼する
書類が足りないまま保留にすると、応募者を待たせたままになります。不足を伝えて、いつまでに出してもらうかを書く形にすると、選考が止まりません。依頼した記録は連絡管理表に残します。
よくある質問
- Q. 書類選考は1件あたりどのくらい時間をかけるべきですか?
- 必須要件の確認は数十秒、そこを通ったものを読むのに3分から5分が目安です。全部を読み込んでから判断すると時間がかかり、人によって結果が変わります。機械的に判定できる部分を先に分けてください。
- Q. 在職期間が短い経歴は、書類の段階で落としてよいですか?
- 短さだけでは理由になりません。事情を聞かずに落とすと、要件に合う人を取りこぼします。書類の段階では材料として持っておいて、面接で本人に聞く項目に入れる形が一般的です。
- Q. 応募書類の写真や字のきれいさを判断に入れてよいですか?
- その仕事で必要な理由が言えるなら入れて構いませんが、言えないなら基準から外してください。応募者の適性と能力に関係のない事項で判断すると、公正な採用選考の考え方から外れます。
- Q. 書類選考の理由は、応募者に伝える必要がありますか?
- 伝える義務はありません。実務では「総合的に判断した結果」として理由を伝えない会社が多くあります。ただし社内の記録には理由の区分を残してください。残さないと、募集要項を直す材料が集まりません。
- Q. 現場の責任者にも書類を見てもらったほうがよいですか?
- 判断は安定しますが日数が伸びます。必須要件の確認は採用担当が終わらせて、通過したものだけを現場に渡し、返事の期限を2営業日と決めておくと両方を満たせます。
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