面接の評価基準の作り方|5段階の言葉を先に決める
面接評価シートを配って点数を集めているのに、集まった点数を見ても合否が決まらない。多くの会社で起きていることです。原因は項目の数ではなく、点数の意味が人によって違うところにあります。
一般には、評価項目を5つ前後に絞り、各項目の5段階それぞれに「どういう状態なら何点か」を言葉で書いておく形が採られています。この記事では、面接の評価基準の作り方を、項目の選び方から5段階の言葉づけ、面接官どうしの突き合わせまでの順に整理します。
この記事の内容(8項目)
- 面接の評価基準は「点の意味」まで決めて完成する
- 面接の評価基準の作り方は4手順
- 評価項目の選び方
- 必須と歓迎を分ける
- 入れてはいけない項目
- 5段階の言葉づけ
- 3点を「普通」ではなく「この仕事で困らない水準」にする
- 「事実」と「印象」を分けて書かせる
- 面接官どうしで突き合わせる
- 初回の突き合わせは、募集の前にやる
- 点が割れたときは、平均を取らない
- 評価表はその場で書き切る
- 評価基準が機能しなくなる3つの原因
- その1:項目が多すぎる
- その2:合否のラインが決まっていない
- その3:職種が違うのに同じシートを使っている
- 職種ごとに評価基準を作り分ける
- 共通項目は、辞めた理由から選ぶ
- 差し替える項目は、募集ごとに現場と決める
- パートと正社員で基準を変えるか
- よくある質問
面接の評価基準は「点の意味」まで決めて完成する
面接の評価基準とは、何を見るか(項目)と、どういう状態なら何点か(段階の言葉)の2つです。多くの評価シートは項目までは決まっていて、段階の言葉が空いています。
項目だけ決めた状態
協調性:5・4・3・2・1主体性:5・4・3・2・1
4点と3点の差が人によって違う
点数を集めても合議できない
段階の言葉まで決めた状態
協調性 4点:立場の違う相手と進めた経験を、具体例を挙げて話せる同じ話を聞けば同じ点になる
点数の根拠を説明できる
点数の意味が揃っていない状態で平均を取ると、厳しい面接官が1人いるだけで、その人が見た候補者だけ不利になります。面接官による差の話は面接官による評価の差を減らすで扱っていますが、差を減らす土台はこの評価基準です。
面接の評価基準の作り方は4手順
面接の評価基準の作り方は、次の4手順で進みます。1番から3番までで半日、4番は募集のたびに30分です。
- この職種で困っていることを書き出す。「前任者が辞めた理由」「いま現場が回っていない場所」から始めます
- そこから評価項目を5つ以内に絞る。多いほど精度が上がるわけではありません
- 項目ごとに、5段階の言葉を書く。少なくとも5点・3点・1点の3つは書きます
- 合否のラインを決める。合計何点以上か、必須項目が何点以上かを先に置きます
1番から始めるのは、評価項目を一般論から選ぶと、どの職種でも同じシートになってしまうからです。「コミュニケーション能力」「主体性」だけの評価表は、どの会社にもあって、どこでも機能していません。
評価項目の選び方
評価項目は、一般に次の3つの層から選ばれています。全部を入れると10項目を超えるので、層ごとに1つか2つに絞るのが現実的です。
必須と歓迎を分ける
評価項目には、これが無いと採用しないもの(必須)と、あると良いもの(歓迎)が混ざります。分けずに合計点だけで見ると、必須が足りないのに合計点が高い人が通ってしまいます。必須項目には「1点なら他が満点でも不合格」というルールを付けておくと、事故が起きません。
入れてはいけない項目
評価項目には、業務の適性と能力に関係のない事項を入れないでください。厚生労働省は「公正な採用選考の基本」で、本人に責任のない事項(本籍・出生地、家族、住宅状況、生活環境)や、本来自由であるべき事項(宗教、支持政党、人生観、尊敬する人物、思想、購読新聞や愛読書など)を採用選考で配慮すべき事項として挙げています。評価シートに欄があると、面接官はそれを聞きます。欄そのものを作らないのが確実です。詳しくは面接で聞いてはいけない質問にまとめています。
5段階の言葉づけ
面接の評価基準でいちばん効くのが、この作業です。項目ごとに、5点・3点・1点の状態を1文で書きます。4点と2点はその間として運用できます。
| 点 | 書き方の型 | 例(評価項目:段取りを自分で確認できる) |
|---|---|---|
| 5 | 期待を超える具体例が出る | 前職で段取りの手順そのものを作り直した経験を、数字を交えて話せる |
| 4 | 5と3の間 | 具体例は出るが、自分の工夫までは語られない |
| 3 | この仕事で困らない水準 | 指示された作業の前に、必要なものを自分で確認していた例が1つ出る |
| 2 | 3と1の間 | 確認していたと言うが、具体例が出てこない |
| 1 | この職場では続かない | 指示が無ければ動かなかった、と本人が話す |
3点を「普通」ではなく「この仕事で困らない水準」にする
3点を「普通」と書くと、面接官は候補者どうしを比べて点を付けます。比べるのではなく、この仕事が務まるかどうかで見るようにするには、3点に業務の水準を書くのが早い方法です。応募者の質が低い月に、相対評価で全員が3点になる事故も防げます。
「事実」と「印象」を分けて書かせる
評価表には、点数の欄の隣にそう判断した根拠を書く欄を必ず置きます。書くのは候補者が話した事実であって、面接官の印象ではありません。
印象
元気があってよいまじめそう
うちには合わなそう
あとで説明できない
事実
前職では3人の班で工程を割り振っていた資格は昨年取得、実務は半年
土曜出勤は月1回までと希望
合議のときに使える
面接官どうしで突き合わせる
評価基準を作っただけでは、点数は揃いません。同じ候補者を見て、点が割れたときに話し合う場を1回持つと、そこで基準が共有されます。
初回の突き合わせは、募集の前にやる
過去の候補者を1人か2人選び、面接官が全員でその人に何点を付けるかを書いて、理由を出し合います。30分で足ります。この30分をやるかどうかで、その後の数か月の評価の揃い方が変わります。
点が割れたときは、平均を取らない
2人の面接官が5点と2点を付けたとき、平均して3.5点にすると情報が消えます。割れた事実そのものが、判断に必要な材料です。割れた項目について、それぞれ何を根拠にしたかを並べてから決めます。合議の進め方は採用会議の進め方にまとめています。
評価表はその場で書き切る
面接が終わってから書くと、記憶が印象に置き換わります。面接の直後、次の予定を入れる前の5分で書き切るのが、いちばん精度が高くなります。面接の枠を取るときに、この5分を含めて押さえておいてください。
評価基準が機能しなくなる3つの原因
作った評価基準が使われなくなるとき、原因は次の3つのどれかであることがほとんどです。
その1:項目が多すぎる
10項目を超えると、面接中に評価表を見る余裕が無くなり、後から思い出して埋める形になります。5項目以内に絞ると、面接をしながら判断できます。見たいことが増えたら、面接の回数を分けるほうが精度が保てます。
その2:合否のラインが決まっていない
点数を集めても「何点なら通すか」が無いと、結局その場の空気で決まります。合計点のラインと、必須項目の下限を先に決めてください。あとから変えてもかまいませんが、変えたことを記録に残します。
その3:職種が違うのに同じシートを使っている
営業と製造で同じ評価項目を使うと、どちらの職種にも当てはまらない項目が並びます。項目のうち2つか3つは職種ごとに差し替える形にすると、共通の運用を保ったまま精度が上がります。
職種ごとに評価基準を作り分ける
面接の評価基準は、全社で1枚にすると使われなくなります。共通の項目を2つか3つ残し、残りを職種で差し替える形にすると、運用をそろえたまま精度が上がります。
| 職種 | 共通で見る項目 | この職種だけの項目 | 3点の状態の例 |
|---|---|---|---|
| 製造・現場 | 約束を守る/報告できる | 安全のルールを守れる | 前職の安全ルールを1つ具体的に説明できる |
| 営業 | 約束を守る/報告できる | 断られた後の動き方 | 断られた案件を再び訪問した例を話せる |
| 事務 | 約束を守る/報告できる | 正確さを保つ工夫 | 間違いを防ぐために自分でやっていた確認方法を言える |
| 介護・サービス | 約束を守る/報告できる | 相手のペースに合わせられる | 要望と実際が違ったときの対応を具体的に話せる |
共通項目は、辞めた理由から選ぶ
共通で見る項目は、これまでに早期で辞めた人に共通していたことから選ぶと外れません。「報告が無いまま作業が止まっていた」「約束の時間に来なかった」といった事実が積み上がっているなら、それが自社の共通項目です。聞き取りの集め方は早期離職の原因の調べ方にまとめています。
差し替える項目は、募集ごとに現場と決める
職種ごとの項目は、募集を出すたびに現場の責任者と30分で決めます。現場が挙げた言葉をそのまま項目名にすると、面接の場でも判断しやすくなります。人事が整えた抽象語に直すと、また解釈が分かれます。
パートと正社員で基準を変えるか
同じ仕事なら、項目は同じで構いません。変えるのは合否のラインです。正社員では必須にしている項目を、パートでは歓迎に落とす、という形にすると、比較ができる状態を保てます。項目そのものを変えると、応募が少ない月に判断がぶれます。
よくある質問
- Q. 面接の評価項目はいくつが適切ですか?
- 5項目以内が扱いやすい大きさです。10項目を超えると面接中に評価表を見る余裕が無くなり、後から印象で埋めることになります。見たいことが多いなら、項目を増やすより面接の回数を分けるほうが精度が保てます。
- Q. 評価は5段階と3段階のどちらがよいですか?
- 3段階だと真ん中に寄りやすく、5段階だと中間の判断がしやすくなります。どちらでもかまいませんが、各段階に「どういう状態なら何点か」を言葉で書いておくことのほうが、段階の数より結果に効きます。
- Q. 面接官によって点が割れたときはどうしますか?
- 平均を取らないでください。割れた事実そのものが判断の材料です。それぞれが何を根拠にその点を付けたかを並べてから決めます。この突き合わせを何回か重ねると、基準が揃っていきます。
- Q. 評価シートに書いてはいけない項目はありますか?
- 業務の適性と能力に関係のない事項は入れないでください。厚生労働省の「公正な採用選考の基本」では、本籍や家族、住宅状況、宗教や支持政党、愛読書などが配慮すべき事項として挙げられています。欄があると面接官は聞くので、欄そのものを作らないのが確実です。
- Q. 評価表は候補者に見せる必要がありますか?
- 見せる義務はありません。ただし、社内の記録として残るものなので、第三者が読んでも説明がつく書き方にしてください。印象ではなく候補者が話した事実を書いておくと、後から見ても筋が通ります。
この記事で使う無料テンプレート
あわせて読みたい記事
本記事は一般的な業務の進め方を整理したものです。社内規程、契約条件、法令上の要件がある場合は、それらを優先してご確認ください。記事の内容は2026-08-30時点のものです。