面接の記録

面接で聞いてはいけない質問|厚労省の分類で線を引く

公開 2026-08-30 執筆 採用板 編集部

面接で場を和ませようとした一言が、あとで問題になることがあります。悪意があって聞いているわけではなく、どこからが業務と関係のない質問なのかを整理していないだけということがほとんどです。

厚生労働省は「公正な採用選考の基本」で、採用選考は応募者の基本的人権を尊重し、応募者の適性と能力にもとづいて行うことを求めています。この記事では、面接で聞いてはいけない質問を、その分類にそって整理し、業務に必要なことを聞くときの言い換えと、記録の残し方までをまとめます。

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この記事の内容(7項目)

面接で聞いてはいけない質問は3つに分かれる

厚生労働省の「公正な採用選考の基本」では、採用選考で配慮すべき事項が大きく3つに分けて挙げられています。質問だけでなく、応募書類や選考の方法も含まれるのがポイントです。

配慮すべき事項の3つの区分
1本人に責任のない事項。本籍・出生地、家族、住宅の状況、生活環境・家庭環境
2本来自由であるべき事項。宗教、支持政党、人生観・生活信条、尊敬する人物、思想、労働組合や学生運動などの社会運動、購読新聞・雑誌・愛読書
3採用選考の方法。身元調査、適性と能力に関係のない事項を含む応募書類の使用、合理的・客観的な必要性が認められない健康診断
出典:厚生労働省「公正な採用選考の基本」。詳しい内容は同省のサイトでご確認ください。

1つ目は本人の努力では変えられないこと、2つ目は本人が自由に決めてよいことです。どちらも、その仕事ができるかどうかとは関係がありません。3つ目は、質問ではなく選考のやり方そのものが対象になっている点に注意してください。

実際に出やすい質問と、避ける理由

面接で無意識に出やすいのは、雑談のつもりで聞いてしまうものです。次の表は、よく挙がるものを区分ごとに並べたものです。

区分出やすい質問なぜ避けるか
本籍・出生地ご出身はどちらですか本人に責任のない事項。差別につながるおそれがある
家族ご両親のお仕事は/ご家族は何人ですか本人の適性と能力とは関係がない
住宅の状況持ち家ですか/部屋数は生活の状況で判断することになる
生活環境どんな家庭で育ちましたか同上
宗教信仰している宗教はありますか本来自由であるべき事項
支持政党選挙は行きましたか/どの政党を支持していますか同上
思想・信条尊敬する人物は誰ですか/座右の銘は同上。人物や信条から思想を推し量ることになる
社会運動学生時代に組合や運動に関わっていましたか同上
購読物どんな新聞を読みますか/愛読書は同上

「尊敬する人物」と「愛読書」は要注意

この2つは、面接の定番として長く使われてきたため、悪気なく聞かれ続けている質問です。厚生労働省の分類では、本来自由であるべき事項として挙げられています。評価シートに欄があると面接官は聞くので、欄そのものを作らないのが確実です。評価項目の作り方は面接の評価基準の作り方にまとめています。

雑談から入るなら、話題を先に決めておく

緊張をほぐす目的なら、通勤の経路、今日の天候、応募のきっかけといった、業務や本人の選択に関わる話題に限ると事故が起きません。話題を面接官の裁量に任せると、人によって幅が出ます。

業務に必要なことは、聞き方を変えれば聞ける

業務の遂行に本当に必要な確認まで、聞けなくなるわけではありません。聞きたいことを、業務の要件として言い換えると、必要な情報が取れます。

聞きたかったこと避けたい聞き方業務の要件としての聞き方
転勤できるかご家族は転勤に反対しませんかこの職種は年に1回程度の転勤があります。ご対応いただけますか
残業できるかお子さんは何歳ですか繁忙期に月20時間程度の残業があります。ご都合はいかがですか
通勤できるか持ち家ですか/どのあたりにお住まいですか始業が8時です。通勤時間はどのくらいかかりそうですか
体力が要る作業ができるか健康状態に不安はありますか15キロ程度の荷物を運ぶ作業があります。ご対応いただけますか
休日出勤できるかご家庭の事情はありますか月1回、土曜の出勤があります。ご都合はいかがですか

共通しているのは、先に業務の条件を示して、対応できるかを聞いているところです。本人の事情を聞き出す形にせず、業務の側から確認する形にすると、必要な情報が取れて線も越えません。

健康の確認は、必要性が説明できる範囲で

厚生労働省の分類では、合理的・客観的な必要性が認められない健康診断の実施が配慮すべき事項に挙げられています。健康に関する情報は、個人情報保護法上の要配慮個人情報にあたるものを含み、取得には原則として本人の同意が要ります。業務に必要な範囲かどうかを先に決めてから聞いてください。判断が必要な場面は、労働局やハローワークの相談窓口にご確認ください。

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質問と回答を記録に残す

面接で何を聞いたかを記録に残しておくと、面接官どうしで質問が揃い、あとから確認もできます。記録が無いと、聞いた内容が面接官の記憶にしか残りません。

残すもの書き方使い道
聞いた質問あらかじめ用意した質問はチェック、追加したものは書き足す面接官どうしで質問をそろえる
回答の要点候補者が話した事実を短く評価の根拠になる
次の面接で聞くこと1行同じことを二度聞かない

質問を先に用意しておく

その場で考えた質問は、業務と関係のないものが混ざりやすくなります。職種ごとに5つから8つの質問を用意しておくと、面接官が変わっても内容が揃います。用意した質問は、評価項目と1対1で対応させると使いやすくなります。

記録には、聞かなかったことも意味がある

用意した質問のうち、時間が足りずに聞けなかったものが分かると、次の面接で何を聞くかが決まります。2回目の面接で同じことを聞いてしまうのは、候補者から見て準備不足に映ります。

記録した個人情報の扱い

面接の記録は応募者の個人情報です。保存する場所と、見られる人の範囲を決めてください。選考が終わったあとの扱いは応募書類の保管と返却と同じ考え方になります。

面接官に共有する形

採用担当が知っていても、実際に面接をする現場の責任者や役員が知らなければ意味がありません。面接の前に、A4で1枚配るのがいちばん確実です。

面接前に配る1枚に入れること
  • 厚生労働省の3つの区分と、その中の項目
  • 出やすい質問の具体例(尊敬する人物、愛読書、ご出身、ご家族)
  • 業務の要件としての言い換えの例
  • 用意した質問のリスト
  • 迷ったら聞かない、という一文

年に1回、面接をする人全員で確認する

1回配って終わりにすると、面接官が代わったときに伝わりません。面接をする人が増えたときと、年に1回のタイミングで、30分の確認の場を持つ形が続きます。同じ場で評価の突き合わせもやると、時間の効率がよくなります。突き合わせのやり方は面接官による評価の差を減らすにまとめています。

面接官を1人にしない

面接官が1人だと、何を聞いたかを確認する人がいません。2人体制にすると、それだけで抑止になります。割当の決め方は面接官による評価の差を減らすで扱っています。

聞いてしまったときの対応

面接中に気づいた場合は、その場で「今の質問は選考には関係ありませんので、お答えいただかなくて結構です」と伝えるのが一般的です。記録にも残さないでください。あとで判断の材料に混ざります。

応募書類と選考の方法も対象になる

厚生労働省の分類の3つ目は、質問ではなく選考の方法そのものです。面接で聞かなくても、書類や手続きで同じ情報を集めていれば同じことになります。

方法気をつけること
応募書類の様式適性と能力に関係のない事項の欄を作らない。市販の様式にも欄が残っていることがある
身元調査配慮すべき事項として挙げられている
健康診断合理的・客観的な必要性が認められない場合は行わない
作文・小論文の課題題材が思想や信条を書かせるものになっていないか

厚生労働省の様式を使う手もある

応募書類の様式に迷う場合、公的に示されている履歴書の様式例を使う方法があります。市販の様式には、必要のない欄が残っていることがあります。自社で様式を作る場合も、業務の適性と能力に関係のない欄を入れないでください。

適性検査の項目も同じ考え方で見る

外部の適性検査を使う場合、検査に含まれる質問の内容を、導入する前に自分で確認してください。結果をどう使うかも決めておく必要があります。使い方は適性検査の使い方にまとめています。

この記事で判断していないこと 個別の質問や選考方法が法令に違反するかどうかは、この記事では判断していません。厚生労働省が示している「配慮すべき事項」の区分を整理したものです。判断が必要な場面は、都道府県労働局またはハローワークの相談窓口にご確認ください。採用板が配布しているのは参考様式で、法令で定められた様式ではありません。項目一覧と記入例は面接質問記録表のページにあります。

よくある質問

Q. 「ご出身はどちらですか」と聞くのは避けるべきですか?
厚生労働省の「公正な採用選考の基本」では、本籍や出生地に関することが本人に責任のない事項として挙げられています。雑談のつもりでも、本籍や出生地を尋ねる形になる質問は避けるのが安全です。緊張をほぐす目的なら、通勤の経路や応募のきっかけといった話題に限ってください。
Q. 転勤できるかどうかを確認したいのですが、家族のことを聞かずに済みますか?
業務の条件を先に示して、対応できるかを聞く形にしてください。「この職種は年に1回程度の転勤があります。ご対応いただけますか」と聞けば、必要な情報が取れます。本人の事情を聞き出す形にしないことがポイントです。
Q. 尊敬する人物や愛読書を聞くのは、なぜ避けるのですか?
厚生労働省の分類で、本来自由であるべき事項として挙げられているためです。人物や購読物から思想や信条を推し量ることになります。面接の定番として長く使われてきた質問なので、評価シートに欄が残っていないか確認してください。
Q. 健康状態は一切聞いてはいけないのですか?
一律に禁じられているわけではありません。厚生労働省の分類で挙げられているのは、合理的・客観的な必要性が認められない健康診断の実施です。業務に必要な範囲かどうかを先に決めたうえで、業務の条件として確認する形にしてください。判断が必要な場面は労働局やハローワークにご確認ください。
Q. 面接中に聞いてしまったときは、どうすればよいですか?
その場で「今の質問は選考には関係ありませんので、お答えいただかなくて結構です」と伝えてください。記録にも残さないでください。残すと、あとで判断の材料に混ざります。
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本記事は一般的な業務の進め方を整理したものです。社内規程、契約条件、法令上の要件がある場合は、それらを優先してご確認ください。記事の内容は2026-08-30時点のものです。