面接官による評価の差を減らす|割当と突き合わせで直す
同じ候補者でも、面接官によって評価が分かれる。これ自体は自然なことで、無くす必要はありません。困るのは、誰が面接したかで合否が決まってしまう状態です。
一般には、評価の言葉をそろえ、割当の偏りを無くし、点が割れたときに突き合わせるの3つで差を扱っています。この記事では、面接官による評価の差を減らす方法を、差が生まれる原因から割当、突き合わせの手順までの順に整理します。
この記事の内容(8項目)
- 面接官による評価の差は、3つの原因で生まれる
- 差そのものを無くそうとしない
- 割当の偏りを見つける
- 面接官ごとの通過率を数える
- 2人体制にして、組み合わせを回す
- 突き合わせの手順
- 事実が違うのか、解釈が違うのか
- 平均を取らない
- 言葉の定義をそろえる
- 定義は面接官が書く
- 質問と項目を対応させる
- 面接官が慣れていないときに出る癖
- 最初の数分で決めてしまう
- 自分と似た経歴の人を高く評価する
- 直前に会った候補者と比べる
- 全員に真ん中の点を付ける
- 差を減らす取り組みを、いつやるか
- 募集の前の30分がいちばん効く
- 面接官が増えるときの引き継ぎ
- 現場の責任者に面接を任せるとき
- 面接官が1人しかいない会社の場合
- 評価表を書いて、時間を空けて読み返す
- 入社した人の実際と、評価表を突き合わせる
- 2人目の面接官を作る
- よくある質問
面接官による評価の差は、3つの原因で生まれる
面接官による評価の差は、能力の差ではありません。見ているものが違う、言葉の意味が違う、会っている人が違うの3つで説明がつきます。
| 原因 | 起きていること | 直す場所 |
|---|---|---|
| 見ているものが違う | 面接官ごとに気にする項目が違う | 評価項目を決める |
| 言葉の意味が違う | 同じ4点でも状態の想定が違う | 5段階の言葉を書く |
| 会っている人が違う | 特定の面接官に応募の質が偏っている | 割当を分散させる |
1つ目と2つ目は評価基準の話です。作り方は面接の評価基準の作り方にまとめています。この記事で扱うのは、3つ目の割当と、それでも残る差の埋め方です。
差そのものを無くそうとしない
面接官を2人以上置く目的は、1人では見えないものを見るためです。全員の点が一致する状態は、複数で見る意味が無くなっている状態でもあります。目指すのは一致ではなく、割れた理由を説明できることです。
割当の偏りを見つける
見落とされやすいのが、特定の面接官に特定の候補者が集中していることです。人数が少ない会社ほど起きます。
| 偏りの形 | 起きる理由 | 結果 |
|---|---|---|
| 平日の昼だけ特定の人 | その人しか予定が空いていない | その人の基準が事実上の会社の基準になる |
| 夕方と土曜だけ別の人 | 在職中の候補者はこの枠に集まる | 在職者の評価だけ基準がずれる |
| 特定の職種だけ現場の1人 | 専門性が要る | その職種の合否が1人の判断になる |
面接官ごとの通過率を数える
割当表に、面接官ごとの面接件数と通過件数を並べると、偏りが数字で出ます。通過率が他の面接官の半分以下、あるいは倍以上なら、基準がずれている可能性があります。
2人体制にして、組み合わせを回す
面接官を2人にすると、それだけで1人の基準に寄ることが減ります。さらに組み合わせを固定しないと、基準が全体に広がります。同じ2人がいつも組んでいると、そのペアの中だけで基準が揃います。
突き合わせの手順
点が割れたときに話す場を、面接の直後に10分だけ持つのがいちばん効きます。日を改めると、記憶が印象に置き換わります。
- それぞれが評価表を書き終えてから、見せ合う。先に話すと引きずられます
- 点が2段階以上離れた項目だけを取り上げる。全項目をやると時間が足りません
- 点ではなく、根拠に書いた事実を読み上げる。候補者が話した内容を突き合わせます
- 事実が違うのか、解釈が違うのかを分ける。ここで原因がはっきりします
- 合否を決める。平均は取りません
事実が違うのか、解釈が違うのか
事実が違う
片方が聞いていない情報がある片方が聞き間違えている
次の面接で確認する
その場では決めない
解釈が違う
同じ話を聞いて評価が分かれた重視する点が違う
基準の言葉を直す
その場で決めてよい
事実が違う場合、その場で合否を決めないほうが安全です。足りない情報を次の面接で確認する、と決めれば済みます。解釈が違う場合は、5段階の言葉づけが足りていないので、基準の側を直します。
平均を取らない
5点と2点を平均して3.5点にすると、割れたという情報そのものが消えます。割れた事実は判断に必要な材料です。合議で決める形は採用会議の進め方にまとめています。
言葉の定義をそろえる
評価の差は、言葉の定義で大きく縮みます。抽象語をそのまま項目名にしないのが基本です。
| 抽象語 | 人によって違う解釈 | 言い換え |
|---|---|---|
| 主体性 | 自分から動く/意見を言う/改善提案をする | 指示の前に、次に必要なものを確認していた例が出る |
| コミュニケーション能力 | 話がうまい/聞き上手/報告が正確 | 相手が知りたいことを先に言う話し方ができる |
| 協調性 | もめない/助け合う/自分の意見を通さない | 立場の違う相手と結論を出した経験を話せる |
| ストレス耐性 | 我慢できる/切り替えが早い/相談できる | うまくいかなかったときに、誰かに相談した例が出る |
定義は面接官が書く
採用担当が定義を作って配ると、面接官は自分の言葉で読み替えます。面接官に「この項目で何を見ますか」を書いてもらって、そこから共通の言葉を作るほうが定着します。作業は30分で終わります。
質問と項目を対応させる
評価項目ごとに、聞く質問を1つか2つ決めておくと、面接官が違っても同じ材料で判断できます。質問の記録の残し方は面接で聞いてはいけない質問で扱っています。業務と関係のない質問が混ざらないよう、用意した質問から選ぶ形にしてください。
面接官が慣れていないときに出る癖
面接に慣れていない人が担当すると、決まった癖が出ます。知っているだけで、かなり抑えられます。
最初の数分で決めてしまう
入室時の印象で結論が決まり、残りの時間はそれを裏づける材料を探す形になります。対策は単純で、評価表を項目の順に埋めていくことです。順に埋めると、全項目を見ざるを得なくなります。
自分と似た経歴の人を高く評価する
同じ業界、同じ職種の出身者を高く評価しがちです。評価の根拠に書いた事実が、業務の要件とつながっているかを突き合わせの場で確認すると気づけます。
直前に会った候補者と比べる
1日に複数人を面接すると、直前の人との比較で点が動きます。3点を「この仕事で困らない水準」と定義しておくと、比較ではなく水準で見られます。
全員に真ん中の点を付ける
判断に自信が無いと、すべて3点になります。この状態は、点数を見れば分かります。根拠の欄が空いていれば、判断できていない印です。突き合わせの場で、何が分からなかったかを聞いてください。
差を減らす取り組みを、いつやるか
面接官の目線合わせは、時間を取るのが難しい取り組みです。やる時期を決めておくと、後回しになりません。
募集の前の30分がいちばん効く
過去の候補者を1人選び、面接官全員がその人に何点を付けるかを書いて、理由を出し合います。この30分で、その募集の間の評価が揃います。新しく面接官になる人がいる回は、必ずやってください。
面接官が増えるときの引き継ぎ
面接官が交代するときは、評価基準の説明だけでなく、過去に割れた事例を1つ見せると早く伝わります。どういう場面で判断が分かれるかが具体的に分かります。
現場の責任者に面接を任せるとき
現場に任せると精度は上がりますが、面接の経験が少ないぶん癖が出やすくなります。最初の数回は採用担当が同席すると、基準が伝わります。同席した回の評価表を残しておくと、あとで参照できます。
面接官が1人しかいない会社の場合
社長や工場長が1人で面接している会社では、比べる相手がいないため、差そのものが見えません。この場合にやることは、複数人いる会社とは違います。
評価表を書いて、時間を空けて読み返す
面接の直後に評価表を書き、1週間後に自分で読み返すと、そのときの印象と書いた事実のずれが分かります。印象だけで決めていた項目は、根拠の欄が空いています。
入社した人の実際と、評価表を突き合わせる
採用した人が3か月働いたところで、面接のときの評価表を開きます。高く評価した項目が、実際に強みになっているかを見ると、自分の見立ての癖が分かります。数回続けると、どの項目が当たっていてどの項目が外れているかが見えます。試用期間中の確認は試用期間の使い方と本採用の判断にまとめています。
2人目の面接官を作る
現場の責任者を面接に同席させるところから始めると、負担が小さく済みます。最初は評価表を書いてもらうだけで、合否の判断は従来どおりにします。数回たまったところで、点が割れた候補者について話す場を持つと、そこから基準が言葉になっていきます。
よくある質問
- Q. 面接官が社長1人だけの会社では、何をすればよいですか?
- 評価表を面接の直後に書いて、1週間後に自分で読み返してください。印象だけで決めていた項目は、根拠の欄が空いています。さらに、採用した人が3か月働いたところで面接時の評価表を開き、高く評価した項目が実際に強みになっているかを見ると、自分の見立ての癖が分かります。
- Q. 面接官の評価が割れたときは、平均を取ればよいですか?
- 平均を取らないでください。割れたという事実そのものが判断に必要な材料です。5点と2点を平均して3.5点にすると、情報が消えます。それぞれが根拠に書いた事実を読み上げて、事実が違うのか解釈が違うのかを分けてから決めてください。
- Q. 面接官によって通過率が違うのは問題ですか?
- 件数が少ないうちは判断できません。1人あたり10件を超えるまでは、数字ではなく突き合わせの場で確認してください。10件を超えて通過率が他の面接官の半分以下、あるいは倍以上なら、基準がずれている可能性があります。
- Q. 面接官は何人が適切ですか?
- 2人にすると、1人の基準に寄ることが減ります。3人以上にすると多角的に見られますが、候補者の負担と日程調整の手間が増えます。人数を増やすより、同じ2人がいつも組む状態を避けるほうが効きます。
- Q. 面接官の目線合わせに、どのくらい時間をかけますか?
- 募集の前に30分、面接の直後に10分が目安です。過去の候補者1人に全員で点を付けて理由を出し合う30分で、その募集の間の評価が揃います。新しく面接官になる人がいる回は必ずやってください。
- Q. 現場の責任者に面接を任せると、評価が安定しません。
- 最初の数回は採用担当が同席してください。面接の経験が少ないぶん、最初の数分で決めてしまう、自分と似た経歴の人を高く評価する、といった癖が出やすくなります。同席した回の評価表を残しておくと、あとで参照できます。
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