内定から入社まで

試用期間の使い方|本採用の判断を記録で残す

公開 2026-08-30 執筆 採用板 編集部

試用期間を3か月と決めているのに、その3か月で何を見るかが決まっていない。多くの会社で起きていることです。結果として、何も確認しないまま期間が過ぎて自動的に本採用になります。

試用期間は、本人にとっても会社にとっても合っているかどうかを確かめる期間です。一般には、確認する項目を先に決め、期間の途中で面談を入れ、記録を残す形が採られています。この記事では、試用期間の使い方を、確認項目の決め方から面談、記録、本採用の判断までの順に整理します。

試用期間確認表(Excel・無料)試用期間中の確認項目と、本採用の判断時期を管理します。登録不要でダウンロードできます。
テンプレートを見る
この記事の内容(9項目)

試用期間中も労働契約は成立している

まず前提として、試用期間中であっても労働契約は成立しています。試しに働いてもらっている、という状態ではありません。

この記事で判断していないこと 本採用を見送る場合の扱いについて、一般には通常の解雇より広く認められる余地があるとされていますが、自由にできるわけではありません。個別の事案で見送りが認められるかどうかは、この記事では判断していません。判断が必要な場面は、社会保険労務士または弁護士にご相談ください。

「試用期間中なら自由に辞めさせられる」ではない

この誤解があると、確認も面談もしないまま、期間の終わりに突然見送りを伝えることになります。本人にとっては理由が分からず、会社にとっても説明ができません。

だからこそ、途中で伝える

期間の途中で「ここが足りていない」と伝えていれば、本人が直す機会があります。それでも変わらなかったのなら、判断の理由が説明できる状態になります。試用期間の使い方でいちばん大事なのは、途中で伝えることです。

社会保険や給与は通常どおり

試用期間だからといって、社会保険の加入や給与の支払いが変わるわけではありません。試用期間中の賃金を本採用後と変える場合は、あらかじめ明示している必要があります。明示の範囲は募集要項の書き方にまとめています。

確認する項目を入社前に決める

試用期間で見る項目は、入社する前に決めて、本人にも伝えておきます。後から決めると、本人が知らない基準で判断されることになります。

区分見ること判断できる時期
勤怠出勤、遅刻、連絡の有無1か月
安全とルール決められた手順、保護具、報告1か月
基本の作業教えたことができるようになっているか1か月から2か月
周りとの進め方報告、相談、引き継ぎ2か月
単独でできる範囲どこまで1人で任せられるか3か月

時期によって見えることが違う

3か月の試用期間なら、1か月で見えるものと、3か月かからないと見えないものを分けておくと、面談の時期も決まります。1か月目に「単独でできるか」を見ても、まだ判断できません。

面接で評価した項目とつなげる

面接で高く評価した項目が、実際に強みになっているかを見ると、面接の見立てが当たっているかも分かります。数回続けると、評価基準そのものを直す材料になります。評価基準の作り方は面接の評価基準の作り方にまとめています。

本人に渡す

確認する項目は、入社初日に本人へ渡してください。何を見られているかが分かっていれば、本人も動けます。渡していない基準で判断すると、後から説明ができません。

面接評価表(Excel・無料)評価項目と判断理由をそろえて、面接官ごとの差を見直せます。登録不要でダウンロードできます。
テンプレートを見る

面談の時期と、話すこと

試用期間の面談は、期間の終わりではなく途中に置きます。終わりに1回だけだと、伝えても直す時間がありません。

初日確認項目を渡す
2週間後困りごとを聞く
1か月後1回目の確認
2か月後2回目の確認
期間の終わり判断

2週間後は、聞くだけの面談

最初の面談では、評価はしません。困っていること、分かりにくいこと、聞きにくいことを聞くだけです。ここで出た小さな不便を1つ解消するだけで、その後が変わります。

1か月後と2か月後は、事実を伝える

できていることと、まだ足りていないことを、具体的な事実で伝えてください。「もう少し頑張って」では、本人は何をすればよいか分かりません。

伝わらない言い方

もう少し積極的に
周りをよく見て
報告が足りない
何をすればよいか分からない

伝わる言い方

作業が終わったら、次を聞きに来てください
15時までに進み具合を1回報告してください
止まったら5分以内に声をかけてください
次の行動が決まる

面談は10分から20分でよい

長い面談を月1回やるより、短い面談を確実にやるほうが続きます。時間を取ることより、決めた時期にやることのほうが大事です。

記録に残すもの

試用期間の記録は、本採用を判断するときの根拠になります。判断そのものより、判断に至る過程が残っていることが大事です。

残すものなぜ要るか
確認項目と、その時点の状態いつ何ができるようになったかが分かる
面談日と話した内容伝えた事実が残る
本人から出た話困っていたことが記録に残る
会社側でやった対応教える機会を与えたことが分かる
次までにやること本人と会社の両方の宿題

「会社側でやった対応」の欄が効く

足りない点を伝えただけで終わっていると、本人の問題として片付けたことになります。教える人を付けた、手順書を渡した、作業を分けた、といった会社側の対応も記録に残してください。やることをやったうえでの判断だと説明できます。

その場で書いて、本人にも見せる

面談の記録を後から書くと、印象で書かれます。面談の場で書いて、本人に見せて確認してもらうと、認識の食い違いが減ります。署名まで求めるかどうかは、社内の運用で決めてください。

教育の担当と、判断する人を分ける

教える人が判断もすると、本人が相談しにくくなります。日々の相談は教育の担当、判断は上位の責任者と分けておくと、途中の相談が出てきます。受け入れ時の分担は入社受け入れの準備にまとめています。

本採用の判断

試用期間の終わりに、判断します。判断する日を先に決めて、記録を見ながら決める形にしてください。

判断する日を、期間の終わりより前に置く

期間の最終日に判断すると、伝える時間がありません。終了の2週間前あたりに判断の場を置くと、伝えたうえで期間を終えられます。

判断は3つのどれか

判断どういう状態か次にやること
本採用確認項目がおおむね満たされている本人に伝える。以降の目標を渡す
期間の延長もう少しで届きそう。教える機会が足りなかった延長の可否と手続きを確認する
本採用の見送り伝えても改善が見られない判断の可否を専門家に確認する

期間の延長は、あらかじめ定めがあるかを確認する

試用期間を延長できるかどうかは、就業規則などに定めがあるかどうかによります。定めが無い場合の扱いや、延長の上限については、社会保険労務士にご確認ください。この記事では可否を判断していません。

見送る場合は、必ず専門家に相談する

本採用を見送る判断は、個別の事情によって扱いが変わります。記録を持ったうえで、社会保険労務士または弁護士にご相談ください。記録が無い状態では、相談しても判断材料がありません。

本人から辞めたいと言われたとき

試用期間中に、本人から辞めたいと言われることがあります。ここで理由を聞いておくと、次の採用に返せます。

引き止める前に、理由を聞く

理由が分からないまま引き止めても、同じことが繰り返されます。辞めたい理由が、こちらで直せるものかどうかを先に確認してください。

理由直せるかやること
仕事の中身が想像と違った次の募集で直せる募集要項の書き方を見直す
教えてもらえないいま直せる教育の担当と時間を確保する
人間関係場合による配置の変更が可能か確認する
条件が合わない次の募集で直せる明示の内容と実態を突き合わせる
家庭の事情直せない数だけ記録する

聞き取りは、辞めると決まった後のほうが本音が出る

引き止めるために聞くと、当たり障りのない理由になります。辞めることが決まってから、次の募集の参考として聞くほうが、実際の理由が出てきます。聞き方は早期離職の原因の調べ方にまとめています。

記録は残す

試用期間中に辞めた人の数と理由は、採用の見立てが当たっているかを見る材料になります。人数が少なくても、3年分たまれば傾向が出ます。

早期離職 聞き取り記録表(Excel・無料)入社して間もない方が辞めた理由を、募集の見直しに使える形で残します。登録不要でダウンロードできます。
テンプレートを見る

試用期間が形だけになる3つの原因

試用期間の仕組みはあるのに機能していないとき、原因はだいたい次の3つです。

その1:確認項目が決まっていない

何を見るかが無いと、面談しても話すことがありません。入社前に項目を決めて、初日に本人へ渡すところまでやってください。項目は5つ以内で足ります。

その2:面談の予定が入っていない

「そのうちやろう」では、期間が終わります。入社日が決まった時点で、面談の日を予定表に入れてしまうのがいちばん確実です。10分から20分で足ります。

その3:判断する人が決まっていない

教育の担当が判断するのか、部門長が判断するのかが曖昧だと、誰も決めません。結果として自動的に本採用になります。判断する人と、判断する日を先に決めてください。

採用板が配っているのは参考様式です 試用期間確認表に、法令で定められた様式はありません。採用板が配布しているのは、確認項目・面談日・伝えたこと・会社側の対応を並べられる参考様式です。項目一覧と記入例は試用期間確認表のページにあります。本採用の見送りや期間の延長の可否は、社会保険労務士または弁護士にご確認ください。

試用期間の長さをどう決めるか

試用期間の長さは、その仕事で一通りのことができるようになるまでの期間を目安に置かれています。長ければ確かめられる、というものではありません。

職種の性質置かれることが多い長さ理由
手順が決まっている作業1か月から3か月基本の作業は早く見える
複数の工程や担当を回る3か月から6か月一巡しないと判断できない
季節で仕事が変わる繁忙期を含む長さ忙しい時期の様子が見えない

長くしても、見ていなければ同じ

6か月にしても、面談も記録もしていなければ、1か月の場合と判断材料は変わりません。長さより、途中で何回確認したかのほうが効きます。

募集の段階で明示する

試用期間の有無と長さ、期間中の労働条件が本採用後と異なる場合はその内容を、募集の段階で明示する必要があります。書き漏らすと、入社後に説明が食い違います。確認の手順は募集要項の書き方にまとめています。

よくある質問

Q. 試用期間中なら、自由に辞めてもらうことはできますか?
できません。試用期間中であっても労働契約は成立しています。本採用を見送る場合の扱いは、一般に通常の解雇より広く認められる余地があるとされていますが、自由にできるわけではありません。個別の判断は社会保険労務士または弁護士にご確認ください。
Q. 試用期間はどのくらいの長さが適切ですか?
その仕事で一通りのことができるようになるまでの期間が目安です。手順が決まっている作業なら1か月から3か月、複数の工程を回る仕事なら3か月から6か月が置かれています。長さより、途中で何回確認したかのほうが判断材料になります。
Q. 試用期間を延長してもよいですか?
延長できるかどうかは、就業規則などに定めがあるかどうかによります。定めが無い場合の扱いや延長の上限については、社会保険労務士にご確認ください。この記事では可否を判断していません。
Q. 試用期間の面談は何回やればよいですか?
3か月なら、2週間後、1か月後、2か月後の3回が目安です。2週間後は評価をせず、困っていることを聞くだけにしてください。長い面談を月1回やるより、10分から20分の面談を確実にやるほうが続きます。
Q. 本採用を見送るときに、何を用意しておくべきですか?
確認項目とその時点の状態、面談で伝えた事実、本人から出た話、会社側でやった対応の記録です。特に会社側の対応の記録が無いと、本人の問題として片付けたことになります。記録を持ったうえで、社会保険労務士または弁護士にご相談ください。
試用期間確認表(Excel・無料)試用期間中の確認項目と、本採用の判断時期を管理します。登録不要でダウンロードできます。
テンプレートを見る

本記事は一般的な業務の進め方を整理したものです。社内規程、契約条件、法令上の要件がある場合は、それらを優先してご確認ください。記事の内容は2026-08-30時点のものです。