内定から入社まで

入社書類の回収|依頼の出し方と締切の置き方

公開 2026-08-30 執筆 採用板 編集部

入社の手続きには期限があります。社会保険の届出も、給与の支払いも、書類がそろわないと進みません。それでも、入社書類は毎回そろわないのが実情です。

原因は、依頼のしかたにあることがほとんどです。この記事では、入社書類の回収を、依頼の出し方から締切の置き方、未提出の追い方、預かった書類の管理までの順に整理します。

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この記事の内容(9項目)

入社書類の回収がそろわない原因は、依頼のしかたにある

入社書類が集まらないとき、本人が怠けているわけではありません。何を、いつまでに、どこへ出せばよいかが分からないことがほとんどです。

そろわない依頼

「必要書類を提出してください」
一覧だけを渡す
締切が書いていない
提出先が分からない
本人が判断できない

そろう依頼

書類ごとに何のためかを1行
入手先を書く
締切を日付で書く
提出先と方法を書く
そのまま動ける

何のために要るかを1行書く

「年金手帳」とだけ書かれても、なぜ要るか分からないと後回しになります。「社会保険の加入手続きに使います」と1行あるだけで、優先度が伝わります。

入手先を書く

本人が持っていない書類は、どこかで取得する必要があります。どこで取れるか、費用がかかるかを書いておくと、取りに行く段取りが組めます。

まとめて1通で出す

思い出すたびに追加で依頼すると、本人は何度も対応することになります。依頼は1通にまとめてください。後から足すと、そのぶん全体が遅れます。

依頼に入れる項目

依頼の1通に、次の項目を書きます。表の形にすると、本人がそのままチェックリストとして使えます。

項目書くこと
書類の名称正式な名前で。通称だと通じないことがある
何に使うか1行。優先度が伝わる
入手先市区町村、前職、本人が保管、こちらで用意
原本か写しか間違えると取り直しになる
締切日付で書く。「入社まで」では動かない
提出先と方法誰に、どうやって(持参、郵送、データ)
該当しない場合「該当しない方は不要です」と明記する

該当しない場合を必ず書く

扶養に関する書類や、前職の書類は、全員に必要なわけではありません。「該当しない方は不要です」と書いていないと、本人が困って連絡してきます。

原本か写しかを書く

写しでよいものを原本で持ってきてもらうと、預かる責任が増えます。写しでよいものは、そう書いてください。

必要な書類は、状況によって変わります 入社時に必要な書類は、雇用の形態、社会保険の加入の有無、扶養の状況などによって変わります。この記事では、個別に必要な書類の一覧は示しません。自社の場合に何が必要かは、社会保険労務士、年金事務所、ハローワークにご確認ください。採用板が配布しているのは、依頼した書類を1人1行で追うための参考様式です。

締切の置き方

締切を「入社日まで」にすると、入社の当日に持ってくる人が出ます。そこから手続きを始めると、期限に間に合わないことがあります。

書類の種類締切の置き方理由
手続きに使うもの入社日の1週間前不備があったときに直す時間が要る
本人が取得するもの入社日の2週間前取得に時間がかかる
前職から届くもの入社後でよい旨を伝える本人の努力では早められない
入社日に記入するもの入社日当日その場で書いてもらう

前職から届くものは、入社後でよいと伝える

前の会社から送られてくる書類は、本人がいくら急いでも早くなりません。「届き次第で結構です」と伝えておかないと、本人が焦ります。届かない場合の対応も、あらかじめ伝えておくと安心してもらえます。

不備を直す時間を見込む

記入漏れや押印のもれは、必ず出ます。入社日の1週間前を締切にすれば、直す時間が取れます。当日に受け取ると、その場で直すことになります。

依頼は入社1か月前に出す

締切から逆算すると、依頼は入社の1か月前です。承諾の直後に出すと早すぎて忘れられ、直前だと間に合いません。受け入れ準備の流れは入社受け入れの準備にまとめています。

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未提出の追い方

締切を過ぎたものを、1人1行の表で追います。記憶で追うと必ず漏れます。

役割
入社者名と入社日締切の起点
書類の名称依頼した書類を行で並べる
必須か該当時のみか催促の対象を分ける
依頼日いつ伝えたか
締切日付
受領日空欄なら未提出
原本の返却預かったものを返したか
保管場所どこにしまったか

締切で並べ替える

受領日が空欄で締切が近いものが上に集まります。週に1回この並べ替えをすれば、当日に慌てません。

催促の前に、困っていないかを聞く

出てこない理由は、書き方が分からない、どこで取ればよいか分からないことが多くあります。「ご不明な点はありませんか」と聞くほうが、催促より早く解決します。

入社日に受け取るものを分けておく

入社日に記入してもらう書類は、当日の予定に組み込んでください。初日の午前に手続きの時間を取っておけば、その場で終わります。

提出が止まるのは、辞退の兆しでもある

必須の書類が何度依頼しても出てこない場合、入社の意思が揺らいでいることがあります。兆しの拾い方は内定者フォローのやり方にまとめています。

預かった書類の管理

入社書類には、本人の個人情報が集中しています。受け取った後の管理まで決めてください。

原本と写しを分ける

原本を預かった場合、返却するものと、こちらで保管するものを分けてください。返すべき原本を持ち続けると、本人が困ります。

扱いやること
返却する原本写しを取ったら、いつ返すかを決めて返す。返却日を記録する
保管する書類施錠できる場所へ。保管期間を決める
データで受け取ったもの指定の場所へ移して、メールの添付は削除する

保管期間は労務の規程に従う

採用した人の書類は、労働基準法109条の「雇入れに関する書類」として保存の対象になり得ます(5年、経過措置により当分の間3年)。応募書類とは扱いが違います。個別の判断は社会保険労務士にご確認ください。考え方の違いは応募書類の保管と返却にまとめています。

見られる人の範囲を決める

入社書類には、家族の情報や口座の情報が含まれます。採用担当と労務の担当以外が見られる場所に置かないでください。

特に扱いに注意が要るもの

マイナンバーを含む書類は、取得の目的、保管の方法、廃棄の方法について特別の取り扱いが定められています。この記事では詳細を扱いません。取り扱いの方法は、税務署または社会保険労務士にご確認ください。

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依頼の文面を作っておく

入社のたびに文面を考えていると、抜けが出ますし、時間もかかります。1通の定型文を作ってください。

定型文に入れる構成

  1. 入社の日時と場所。まずここを書きます
  2. 書類の一覧の表。名称、用途、入手先、原本か写しか、締切
  3. 提出先と方法。持参、郵送、データのどれか
  4. 該当しない場合の扱い。「該当しない方は不要です」
  5. 質問の連絡先。担当者名と電話番号

PDFにして添付する

メール本文に表を書くと、スマートフォンでは崩れて読めません。PDFにして添付するか、印刷して郵送すると確実です。

雇用の形態ごとに用意する

正社員、パート、契約社員で必要な書類が違う場合、形態ごとに定型文を分けてください。1つの文面に全部載せると、該当しない行が多くなって読みにくくなります。

年に1回見直す

制度の変更で、必要な書類が変わることがあります。年度の変わり目に、労務の担当と一緒に見直してください。古い一覧のまま依頼すると、不要な書類を取らせることになります。

入社日に手続きをまとめる

書類の提出を、入社日の午前にまとめると、1回で終わります。後日にすると、また日程を調整することになります。

時間やること
始業から30分提出書類を受け取る。その場で不備を確認する
次の30分当日記入するものを書いてもらう
その後原本の写しを取り、返却するものを返す

その場で不備を確認する

受け取った時点で確認すれば、その場で直してもらえます。後から気づくと、また依頼することになります。

原本はその日のうちに返す

写しを取ったらすぐ返してください。預かったままにすると、本人が必要になったときに困ります。返した日を記録に残します。

受け取ったことを本人に伝える

「すべてお預かりしました。◯◯は後日で結構です」と伝えると、本人は何が残っているかが分かります。伝えないと、気にしたままになります。

採用板が配っているのは参考様式です 入社書類 受領チェック表に、法令で定められた様式はありません。採用板が配布しているのは、依頼した書類を1人1行で、依頼日・締切・受領日・原本の返却まで追える参考様式です。項目一覧と記入例は入社書類 受領チェック表のページにあります。必要な書類と保管の方法は、社会保険労務士、年金事務所、ハローワーク、税務署にご確認ください。

入社前課題と混ぜない

入社書類の依頼と、入社前の課題を1通で送ると、どちらが必須か分からなくなります。

入社書類

手続きに必要
締切がある
催促してよい
必須

入社前課題

準備のため
任意
催促は1回まで
やらなくても不利にしない

連絡を分ける

混ぜて送ると、任意のものまで必須に見えます。逆に、必須の書類が任意のものに埋もれることもあります。別々の連絡にしてください。課題の出し方は入社前課題の出し方にまとめています。

管理表も分ける

1つの表で持つなら、必須か任意かの列を必ず設けてください。催促の対象を機械的に分けられます。

催促のしかたも変える

書類は締切を過ぎたら連絡してよいものです。課題は1回までにとどめてください。同じ調子で追うと、任意のものが実質的な強制になります。

本人から見て分かる形にする

依頼の件名に「入社手続きに必要な書類のご提出について」「入社前にお読みいただきたい資料(任意)」と書き分けると、本人が優先度を判断できます。

よくある質問

Q. 入社書類の依頼は、いつ出せばよいですか?
入社の1か月前が目安です。締切を入社日の1週間前に置くと、記入漏れや押印のもれを直す時間が取れます。承諾の直後に出すと早すぎて忘れられ、直前だと間に合いません。
Q. 入社時に必要な書類を教えてください。
雇用の形態、社会保険の加入の有無、扶養の状況などによって変わるため、この記事では一覧を示していません。自社の場合に何が必要かは、社会保険労務士、年金事務所、ハローワークにご確認ください。
Q. 書類が締切までに出てこないときは、どうしますか?
催促の前に「ご不明な点はありませんか」と聞いてください。出てこない理由は、書き方が分からない、どこで取ればよいか分からないことが多く、聞くほうが早く解決します。前職から届く書類は本人が急いでも早くならないので、届き次第で結構ですと伝えておいてください。
Q. 預かった原本は、いつ返せばよいですか?
写しを取ったらその日のうちに返してください。預かったままにすると、本人が必要になったときに困ります。返した日を記録に残しておくと、後から確認できます。
Q. 入社書類と入社前課題を、1通で送ってよいですか?
分けてください。混ぜると、任意のものまで必須に見え、逆に必須の書類が任意のものに埋もれます。件名で「必要な書類のご提出について」「お読みいただきたい資料(任意)」と書き分けると、本人が優先度を判断できます。
入社書類 受領チェック表(Excel・無料)入社時に提出いただく書類を、依頼から受領まで1人1行で追えます。登録不要でダウンロードできます。
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本記事は一般的な業務の進め方を整理したものです。社内規程、契約条件、法令上の要件がある場合は、それらを優先してご確認ください。記事の内容は2026-08-30時点のものです。