内定承諾率を上げるには|期限の置き方と回答待ちの管理
ここまで来たのに断られる。内定を出してから辞退されると、選考にかけた時間がまるごと戻ってきません。しかも、内定辞退は募集をやり直しても解決しない場所にあります。
一般には、内定通知の出し方、回答期限の置き方、待っている間の接点の3つで承諾率が変わると言われています。この記事では、内定承諾率を上げる方法を、条件を上げなくてもできることから順に整理します。給与を上げる話は最後に置いています。
この記事の内容(8項目)
- 内定承諾率は、内定を出す前から決まっている
- 承諾率の計算は分母をそろえる
- 内定通知の出し方
- 評価した点を1つ伝える
- 条件は口頭で終わらせない
- 回答期限の置き方
- 延長を求められたときの決め方
- 期限を伝えるときに、理由を添える
- 回答を待っている間にやること
- 迷っている点は、答えられる形に分ける
- 連絡した内容を残す
- 承諾された後も、入社まで気を抜かない
- 退職の申し出をした日を聞いておく
- 受け入れの準備が遅れると、辞退につながる
- 辞退されたときにやること
- 辞退した人を、次の候補として残すか決める
- 承諾率が低い状態が続くときは、条件を見る
- 複数人に同時に内定を出すときの管理
- 採用枠と内定数を分けて持つ
- 順番に出すときは、後の人を待たせすぎない
- 採用枠が埋まった後の連絡
- よくある質問
内定承諾率は、内定を出す前から決まっている
内定承諾率を上げようとして、内定を出した後だけを工夫しても、動く幅は限られています。候補者の志望度は選考の途中で作られていて、内定はその結果を確認する場面だからです。
つまり、内定承諾率を上げる取り組みの半分は、選考の途中で候補者に何を伝えたかで決まります。選考中の対応の話は選考辞退の原因にまとめています。ここでは、内定を出す場面から後を扱います。
承諾率の計算は分母をそろえる
承諾率は、承諾した人数を内定を出した人数で割った数字です。内定を辞退された人と、内定を出す前に辞退された人を混ぜないでください。混ざると、選考のどこが弱いのかが見えなくなります。
内定通知の出し方
内定通知は、最終面接から時間を置かずに、口頭と書面の両方で出すのが一般的な形です。書面だけだと届くまでに数日かかり、その間に他社の結果が出ます。
- 最終面接の当日か翌営業日に、電話で伝える。採否だけでなく「どこを評価したか」を1つ添えます
- その日のうちにメールで条件を送る。職種、勤務地、給与、勤務時間、入社予定日を明記します
- 書面(内定通知書)を郵送または電子で送る。回答期限をここに書きます
- 回答の受け方を1つに決めて伝える。電話でもメールでも可、にすると先延ばしされます
評価した点を1つ伝える
「採用します」だけの連絡と、「◯◯の経験を評価しました」が付いた連絡では、受け取り方が変わります。面接評価表に根拠が書いてあれば、この1文はすぐ作れます。評価表の書き方は面接の評価基準の作り方にまとめています。
条件は口頭で終わらせない
給与や勤務地を口頭だけで伝えると、承諾後に認識の違いが出ます。承諾してから条件の話が食い違うのは、いちばん避けたい形です。入社日までの労働条件の明示は法令にもとづく手続きなので、書面で残す流れにしておいてください。労働条件通知書そのものの様式は、採用板の扱う範囲の外にあります。
回答期限の置き方
回答期限は、短すぎても長すぎても承諾率が下がります。一般には1週間前後を置いている会社が多くあります。
期限が短すぎる
2日から3日他社の結果を待てない
迷っている人ほど断りやすい
その場で断られる
1週間前後
他社の結果を1件は待てる家族に相談する時間がある
途中で1回連絡できる
迷いを聞ける
期限を置かずに「いつでもどうぞ」と伝えると、他社の結果が全部出るまで保留されます。期限があること自体が、候補者にとって決める材料になります。
延長を求められたときの決め方
期限の延長を求められることは普通にあります。断ると辞退につながりやすいので、延長してよい日数を先に決めておくと、その場で答えられます。「1回だけ、5営業日まで」といった形です。
期限を伝えるときに、理由を添える
「他の方の選考の関係で」と一言添えると、期限が押しつけに聞こえません。理由が無いと、急かされていると受け取られます。
回答を待っている間にやること
期限までの1週間を、何もせずに待つと承諾率が下がります。ただし、毎日連絡すると押しつけになります。期限の中間で1回、が目安です。
| 時期 | やること | 言い方の例 |
|---|---|---|
| 内定の翌日 | 書面が届いたかの確認 | 書類が届いているかだけ確認させてください |
| 期限の中間 | 迷っている点を聞く | ご不明な点があればお答えします。判断に必要な情報があれば用意します |
| 期限の前日 | 期限の確認だけ | 明日が回答期限です。難しければご相談ください |
迷っている点は、答えられる形に分ける
候補者が迷う理由は、たいてい次の3つのどれかです。どれなのかが分かれば、こちらで出せる材料が決まります。
- 仕事の中身が想像できない。職場見学、現場の社員との面談を提案します
- 条件が他社と比べにくい。年収の内訳、賞与の実績、昇給の考え方を書面で出します
- 入社時期が合わない。入社日をずらせるかを社内で確認します
1つ目は、面談を1回入れるだけで動くことがあります。条件を上げるより先に、判断の材料を増やすほうができることが多くあります。
連絡した内容を残す
誰がいつ何を伝えたかを残しておかないと、複数の担当が同じことを聞いたり、約束したことが抜けたりします。承諾後の接点も含めた記録の残し方は内定者フォローのやり方にまとめています。
承諾された後も、入社まで気を抜かない
承諾率が上がっても、入社の直前に辞退されると同じことになります。承諾から入社までの期間は、現職の引き止めが起きる期間でもあります。
退職の申し出をした日を聞いておく
在職中の人の場合、退職の申し出をしたかどうかが、入社の確からしさに直結します。「退職のお話は済みましたか」と1回聞くだけで、引き止めが起きているかどうかが分かります。起きているなら、入社日をずらすなどの相談ができます。
受け入れの準備が遅れると、辞退につながる
初日の案内が入社の前日に来る会社と、1か月前に来る会社では、印象が違います。準備の分担と締切の置き方は入社受け入れの準備にまとめています。
辞退されたときにやること
内定辞退が出たときは、次の募集のために2つだけやります。引き止めようとしないほうが、情報は集まります。
- 理由を1つ聞く。差し支えない範囲でよいこと、選考には影響しないことを添えます
- 辞退の記録に、段階と理由の区分を残す。他社に決めた、で終わらせません
「他社に決めた」は結果であって原因ではありません。他社のほうが決定が早かったのか、条件が良かったのか、仕事の中身が明確だったのかまで分けると、次の募集で直せます。理由の区分は選考辞退の原因にまとめています。
辞退した人を、次の候補として残すか決める
条件が合わずに辞退した人でも、時期が変われば応募につながることがあります。本人の同意を得たうえで、次の募集の際に連絡してよいかを確認しておく形が一般的です。同意のない情報を保持し続けないでください。残し方は人材プールの作り方にまとめています。
承諾率が低い状態が続くときは、条件を見る
ここまでの取り組みをやっても承諾率が上がらない場合、条件そのものが市場と合っていない可能性があります。辞退理由の「条件」の区分が半分を超えているなら、募集要項の見直しに入る価値があります。見直し方は募集要項の書き方にまとめています。
複数人に同時に内定を出すときの管理
1つの募集で2人以上に内定を出すとき、承諾の管理が一気に難しくなります。誰が承諾して、あと何人採れるのかが分からなくなるためです。
採用枠と内定数を分けて持つ
採用枠が2人のときに、辞退を見込んで3人に内定を出すことがあります。全員が承諾したときにどうするかを、内定を出す前に決めておいてください。決めていないと、承諾後に取り消すという最も避けたい形になります。
| 決めておくこと | 選択肢 | 注意する点 |
|---|---|---|
| 枠を超えたとき | 受け入れる/内定を出す人数を枠までにする | 受け入れられない人数の内定は出さない |
| 出す順番 | 同時に出す/評価の高い人から順に出す | 順番に出すと、待たせる時間が長くなる |
| 回答期限 | 全員同じ日/個別に置く | 同じ日にすると、判断が同じ日に集中する |
順番に出すときは、後の人を待たせすぎない
1人目の回答を待ってから2人目に出す形は、枠の管理はしやすくなりますが、2人目を1週間以上待たせることになります。その間に他社で決まるのが普通です。枠に余裕があるなら、同時に出すほうが結果的に採れます。
採用枠が埋まった後の連絡
枠が埋まったら、選考中の候補者にすぐ連絡します。放置すると、その人が他社の選考を断って待っている場合があります。連絡が止まった候補者を見つける方法は選考連絡の期限の決め方にまとめています。
よくある質問
- Q. 内定の回答期限は何日が適切ですか?
- 1週間前後を置いている会社が多くあります。短すぎると他社の結果を待てずに断られ、期限を置かないと全社の結果が出るまで保留されます。延長を求められたときに認める日数も、先に決めておくとその場で答えられます。
- Q. 内定通知は電話と書面のどちらを先に出しますか?
- 電話が先です。書面は届くまでに数日かかるため、その間に他社の結果が出ます。電話で伝えたその日のうちにメールで条件を送り、書面を後から出す順番が一般的です。
- Q. 回答を待っている間、何回くらい連絡してよいですか?
- 期限の中間で1回が目安です。毎日連絡すると押しつけになり、逆効果になります。連絡の目的は催促ではなく、迷っている点を聞いて判断の材料を出すことです。
- Q. 内定承諾書に法的な拘束力はありますか?
- 承諾書の効力は個別の事情によるため、この記事では判断を書きません。実務としては、承諾後に辞退されることは起こり得ます。書面を取ることより、承諾から入社までの間に接点を持つほうが結果に効きます。判断が必要な場面は、社会保険労務士や弁護士にご確認ください。
- Q. 承諾率が低いのは、給与が低いからでしょうか?
- 辞退理由の区分を数えてから判断してください。条件が理由の半分を超えているなら、募集要項の見直しに入る価値があります。ただ、選考中の連絡の遅さや説明不足が理由の大半を占めている会社も多く、その場合は給与を上げても変わりません。
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