内定者フォローのやり方|接点の間隔と、兆しの拾い方
承諾をもらってから入社まで、1か月から半年の空白があります。この間に何もしないと、現職の引き止めや他社からの声かけで、決まったはずの人が入社しないことがあります。
一般には、間隔を決めて接点を持ち、相手の不安に先回りして情報を出す形が採られています。この記事では、内定者フォローのやり方を、接点の間隔から話す内容、辞退の兆しの拾い方、記録の残し方までの順に整理します。
この記事の内容(9項目)
- 内定者フォローの目的は、不安を減らすこと
- 不安の中身は時期で変わる
- 連絡しすぎると逆効果になる
- 接点の間隔と、やること
- 入社まで3か月以上ある場合
- 連絡の手段を相手に合わせる
- 退職の申し出の状況を確認する
- 「退職のお話は済みましたか」と1回聞く
- 引き止めにあっている場合にできること
- ずらせないなら、そう伝える
- 辞退の兆しの拾い方
- 返信の遅れは、記録が無いと気づけない
- 兆しが出たら、催促ではなく質問をする
- 辞退されたら、段階と理由を残す
- 入社前の課題や研修の扱い
- 入社前は労働契約の期間の外にある
- 分量の目安
- やらなくても不利にしない
- 記録に残すもの
- 約束したことを必ず実行する
- 複数の担当が関わるときは特に残す
- 内定者フォローに手が回らないとき
- 最低限やる2回
- 定型文を用意する
- 配属先に一部を渡す
- 内定者どうしや現場と会わせるとき
- 参加は任意にして、そう書く
- 交通費の扱いを案内に書く
- 会わせる相手は、年齢や経歴の近い人にする
- よくある質問
内定者フォローの目的は、不安を減らすこと
内定者フォローを「つなぎとめる」ための活動と考えると、連絡が催促になります。目的は、入社までの間に出てくる不安を1つずつ減らすことです。
| 時期 | 本人に出やすい不安 | こちらから出せる情報 |
|---|---|---|
| 承諾の直後 | この選択でよかったのか | 歓迎の意思、入社までの流れ |
| 退職を申し出る前後 | 引き止めにあう、辞めにくい | 入社日の調整の余地 |
| 入社1か月前 | やっていけるのか | 初日の流れ、教育の担当 |
| 入社1週間前 | 何を準備すればよいか | 持ち物、時間、場所、服装 |
不安の中身は時期で変わる
同じ内容を毎回送っても効きません。その時期に出てくる不安に合わせて情報を出すと、連絡が意味を持ちます。上の表の右の列を、そのまま連絡の内容に使えます。
連絡しすぎると逆効果になる
毎週連絡すると、相手は監視されていると感じます。入社まで2か月なら3回から4回が目安です。回数を増やすより、1回の中身を相手の時期に合わせるほうが効きます。
接点の間隔と、やること
接点の間隔は、承諾から入社までの期間で決めます。期間が長いほど、間隔も広く取ります。
入社まで3か月以上ある場合
新卒採用のように半年以上空く場合は、月1回程度の間隔にして、内容を変えます。会社の近況、配属先の紹介、先輩社員との顔合わせといった形です。同じ内容の連絡を繰り返すと、開かれなくなります。
連絡の手段を相手に合わせる
在職中の人に日中の電話はつながりません。最初の連絡で、連絡しやすい手段と時間帯を聞いておくと、その後の往復が減ります。
退職の申し出の状況を確認する
在職中の人を採用した場合、いちばん危ないのは退職を申し出る前後です。ここで引き止めにあって、入社が流れることがあります。
「退職のお話は済みましたか」と1回聞く
この質問1つで、引き止めが起きているかどうかが分かります。聞かないまま入社日を待つと、直前になって連絡が来ます。聞き方は事務的で構いません。「入社日の確定のために伺っています」と添えると自然です。
引き止めにあっている場合にできること
| 状況 | こちらでできること |
|---|---|
| 後任が決まらず辞めさせてもらえない | 入社日を1か月ずらせるか社内で確認する |
| 条件を上げると言われている | 迷っている点を聞く。条件以外の理由を確認する |
| 言い出せていない | いつ話すかだけ決めてもらう。期限を置く |
入社日をずらせるかどうかは、こちらの都合で決まります。受け入れる側の準備と現場の人員を確認してから答えてください。準備の進め方は入社受け入れの準備にまとめています。
ずらせないなら、そう伝える
ずらせない事情があるなら、はっきり伝えたほうが相手も動けます。曖昧にしたまま待つと、入社直前に辞退という形になります。
辞退の兆しの拾い方
入社直前の辞退は、たいてい前から兆しが出ています。連絡の記録を見れば分かることがほとんどです。
| 兆し | 見えるところ | やること |
|---|---|---|
| 返信が遅くなった | 連絡記録の日付 | 電話で状況を聞く |
| 質問が来なくなった | やりとりの中身 | 不安が無いのか、興味が薄れたのかを確認 |
| 退職の話が進んでいない | 状況の確認 | いつ話すかを決めてもらう |
| 入社日の変更を求めてきた | 連絡記録 | 理由を聞く。引き止めの可能性 |
| 入社前の課題が提出されない | 提出状況 | 負担が大きすぎないかを確認 |
返信の遅れは、記録が無いと気づけない
「なんとなく反応が鈍い」では、担当の感覚頼みになります。いつ連絡して、いつ返信が来たかを記録に残すと、遅れが日数で見えます。
兆しが出たら、催促ではなく質問をする
「入社の意思は変わりませんか」と聞くと、相手に決断を迫ることになります。「何か気になっていることはありますか」と聞くほうが、実際の理由が出てきます。
辞退されたら、段階と理由を残す
承諾後の辞退は、内定前の辞退とは原因が違います。別の区分で数えてください。数え方は選考辞退の原因にまとめています。
入社前の課題や研修の扱い
入社前に課題を出したり、研修に参加してもらったりする会社があります。負担の大きさと、参加の任意性に注意が要ります。
入社前は労働契約の期間の外にある
入社日より前の時点では、まだ働き始めていません。業務に近いことを、実質的に強制する形にしないでください。課題の内容と分量、参加の任意性については、判断が要る場面は社会保険労務士にご確認ください。
分量の目安
| 内容 | 負担 | 扱い |
|---|---|---|
| 会社案内や資料を読む | 小さい | 任意で渡す |
| 資格や免許の取得 | 大きい | 入社後に支援する形が無難 |
| eラーニングの受講 | 中くらい | 期限と分量を明示する |
| 職場への訪問 | 中くらい | 交通費の扱いを決めておく |
提出状況の追い方と、出してよい範囲は入社前課題の出し方にまとめています。
やらなくても不利にしない
入社前の課題をやらなかったことで、入社後の扱いを変えると、任意ではなくなります。やった人に有利な情報を与える、という形にとどめてください。
記録に残すもの
内定者フォローは、担当が1人だと属人化します。誰がいつ何を伝えたかを残すと、担当が休んでも続きます。
| 列 | 役割 |
|---|---|
| 内定者名と受付番号 | 採用管理表と対応させる |
| 連絡日 | 接点の間隔を測る |
| 手段 | 電話/メール/面談 |
| 担当 | 誰が連絡したか |
| 伝えたこと | 同じ話を二度しない |
| 相手から出た話 | 不安の中身、退職の状況 |
| 約束したこと | 資料の送付、日程の調整 |
| 次の連絡予定日 | 間隔が空きすぎるのを防ぐ |
約束したことを必ず実行する
「資料を送ります」「配属先を確認して連絡します」と言ったことが実行されないと、入社前に会社への信頼が下がります。約束の欄に期限を書いて、その日に見る形にしてください。
複数の担当が関わるときは特に残す
採用担当と配属先の責任者が両方連絡していると、同じ話を二度したり、逆に両方が「相手が伝えたはず」と思って抜けたりします。1つの表に両方が書く形にしてください。
内定者フォローに手が回らないとき
採用担当が1人で、選考も同時に進んでいると、内定者フォローは後回しになります。手が回らないなら、回数を減らして中身を絞るほうが、何もしないより効きます。
最低限やる2回
- 承諾の直後。お礼と、入社までの流れの案内。ここを送らないと、承諾した実感が持てません
- 入社1週間前。初日の時間、場所、持ち物。ここが無いと、初日に困ります
この2回だけでも、連絡が1度も無い状態とは大きく違います。余裕があれば、退職の状況を聞く1回を足してください。
定型文を用意する
承諾直後、退職状況の確認、初日の案内の3つは、文面を用意しておけば毎回考えずに済みます。差し替えるのは名前と日付だけにすると、他の人でも出せます。
配属先に一部を渡す
配属先の責任者から1回連絡してもらうと、採用担当の負担が減り、内定者にとっては現場の人と話せる機会になります。誰が何を伝えるかを決めて、記録は1つの表にまとめてください。
内定者どうしや現場と会わせるとき
複数人を同時に採用した場合や、入社まで期間が長い場合には、内定者どうしや配属先の社員と会う機会を作ることがあります。効果は大きい一方で、負担も大きいので、やるかどうかを先に決めてください。
| やり方 | 効きやすい相手 | 注意する点 |
|---|---|---|
| 配属先の社員と1対1で話す | 中途採用の人 | 短時間でよい。業務の話が中心になる |
| 内定者どうしの顔合わせ | 新卒、同時入社が複数いる場合 | 参加は任意にする。日程を早めに出す |
| 職場の見学 | 現場の職種 | 移動の負担と交通費の扱いを決めておく |
| 社内行事への招待 | 入社まで期間が長い場合 | 強制と受け取られない書き方にする |
参加は任意にして、そう書く
入社前は、まだ働き始めていない期間です。参加しなかったことで入社後の扱いを変えないでください。案内には「ご都合が合わない場合は無理をなさらないでください」と1行入れておくと、相手も断りやすくなります。
交通費の扱いを案内に書く
来てもらうなら、交通費を出すかどうかを案内の時点で書いてください。後から聞かれてその場で答えられないと、印象が悪くなります。支給の決め方と精算の流れは面接の交通費の扱いにまとめています。
会わせる相手は、年齢や経歴の近い人にする
役員や部門長より、数年前に同じ立場で入社した社員と話すほうが、内定者の不安に近い話ができます。会わせる社員には、聞かれそうなことを事前に伝えておいてください。何も伝えずに同席させると、条件の説明が食い違うことがあります。
よくある質問
- Q. 内定者への連絡は、どのくらいの頻度が適切ですか?
- 入社まで2か月なら3回から4回が目安です。毎週連絡すると監視されていると感じられ、逆効果になります。回数を増やすより、その時期に出てくる不安に合わせて中身を変えるほうが効きます。
- Q. 在職中の内定者に、退職の状況を聞いてもよいですか?
- 聞いてください。「退職のお話は済みましたか」の1問で、引き止めが起きているかどうかが分かります。入社日の確定のために伺っている、と添えると自然です。聞かないまま待つと、直前に連絡が来ることになります。
- Q. 入社前に課題を出してもよいですか?
- 入社日より前は、まだ働き始めていない期間です。業務に近いことを実質的に強制する形にしないでください。分量と期限を明示し、やらなくても入社後の扱いを変えない形にとどめるのが無難です。判断が要る場面は社会保険労務士にご確認ください。
- Q. 内定者から返信が来なくなりました。どうすればよいですか?
- 「入社の意思は変わりませんか」と聞くと決断を迫ることになります。「何か気になっていることはありますか」と聞くほうが、実際の理由が出てきます。メールで反応が無い場合は、電話で1回だけ確認してください。
- Q. 採用担当が1人で、フォローに手が回りません。
- 回数を減らして中身を絞ってください。最低限は、承諾の直後と入社1週間前の2回です。この2回だけでも、連絡が1度も無い状態とは大きく違います。文面を定型化しておくと、他の人でも出せます。
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