入社の受け入れ準備|分担と締切を先に決める
入社初日に、机が無い。パソコンが届いていない。誰が教えるか決まっていない。採用に時間をかけたのに、最初の1日でつまずくことがあります。
準備そのものは難しくありません。難しいのは、総務、情報システム、配属先、採用担当と、やる人がばらばらに分かれているところです。一般には、必要なものを1枚に並べ、誰がいつまでにやるかを書いておく形が採られています。この記事では、入社の受け入れ準備を、分担の決め方から締切、初日までの流れまでの順に整理します。
この記事の内容(9項目)
- 入社の受け入れ準備は、4つに分かれる
- いちばん抜けるのは「使う道具」
- 迎える人の準備が、いちばん効果が大きい
- 分担と締切を1枚にする
- 担当は部署名ではなく個人名で書く
- 期限は入社日からの逆算で置く
- 納期がかかるものを先に洗い出す
- 入社日が決まってからの流れ
- 承諾の直後にやること
- 1か月前にやること
- 1週間前にやること
- 初日にやること
- 初日の予定を時間で組む
- 昼を1人にしない
- 終業前に5分だけ話す
- 当面やることを渡す
- 受け入れ準備が回らない3つの原因
- その1:入社日が現場に伝わっていない
- その2:担当が部署名で書かれている
- その3:入社が続くと表が使い回されない
- 入社日をずらすことになったとき
- ずらせるかどうかを、先に社内で確認しておく
- ずらしたら、準備の期限を全部引き直す
- ずらせない場合の伝え方
- 試用期間の始まりとつなげる
- 初日に、確認の予定を伝える
- 教育の担当と、評価する人を分ける
- 最初の1か月で見ることを決めておく
- 中途採用と新卒で、準備の重さが違う
- 未経験者を受け入れるときに足す行
- 教育の担当の負担を見ておく
- 高卒採用の場合は、学校にも報告する
- よくある質問
入社の受け入れ準備は、4つに分かれる
準備するものは多く見えますが、担当する部署で分けると4つにまとまります。まとめて1人でやろうとするから、抜けが出ます。
| 区分 | 中身 | 主にやる人 | いつまでに |
|---|---|---|---|
| 働く場所 | 机、椅子、ロッカー、作業着、保護具、鍵 | 総務・配属先 | 入社1週間前 |
| 使う道具 | パソコン、メール、社内システムの権限、携帯、名刺 | 情報システム・総務 | 入社3日前 |
| 書類と手続き | 雇用契約、社会保険、給与の口座、通勤の届出 | 総務・経理 | 入社日から順次 |
| 迎える人 | 教育の担当、初日の予定、紹介する相手 | 配属先 | 入社1週間前 |
いちばん抜けるのは「使う道具」
机や椅子は目に見えるので気づきますが、アカウントの発行や権限の付与は、当日にならないと不足に気づきません。しかも情報システムの担当は、依頼が来なければ動けません。依頼を出す人と、出す期限を決めておくのがいちばん効きます。
迎える人の準備が、いちばん効果が大きい
物がそろっていても、初日に誰も声をかけない状態だと、その印象は長く残ります。教育の担当を1人決めて、その人の当日の予定を空けておいてください。物の準備より、この1つのほうが定着に効きます。
分担と締切を1枚にする
入社の受け入れ準備は、「誰が」「いつまでに」「終わったか」の3つが分かる1枚があれば回ります。項目を並べるだけの表では、誰も動きません。
| 列 | 役割 |
|---|---|
| 入社者名と入社日 | 締切の起点になる |
| 準備する項目 | 4つの区分ごとに並べる |
| 担当 | 部署名ではなく個人名で書く |
| 期限 | 入社日からの逆算で置く |
| 完了日 | 空欄なら未対応。ここで進み具合が見える |
| 備考 | 発注が要るもの、納期がかかるもの |
担当は部署名ではなく個人名で書く
「総務」と書くと、総務の誰もやりません。部署名で書かれた項目は、最後まで空欄で残ります。個人名にすると、その人が自分の行を見ます。
期限は入社日からの逆算で置く
「入社1週間前」ではなく、実際の日付を書いてください。日付が書いてあれば、その日が来たかどうかを機械的に判断できます。入社日が決まった時点で、全部の行に日付が入る形にします。
納期がかかるものを先に洗い出す
パソコン、作業着、安全靴、名刺は、発注してから届くまでに時間がかかります。入社日が決まったその日に発注するものを、備考の欄で区別しておいてください。1週間前に気づいても間に合いません。
入社日が決まってからの流れ
準備は、承諾をもらった時点から始まります。入社日の直前にまとめてやろうとすると、必ず何かが間に合いません。
承諾の直後にやること
- 入社日を確定して、社内に伝える。配属先、総務、情報システムの3か所に同時に伝えます
- 受け入れ準備の表を作る。入社日から逆算した期限を全部の行に入れます
- 納期がかかるものを発注する。パソコン、作業着、名刺など
1か月前にやること
入社時に提出してもらう書類の依頼を出します。何を、いつまでに、どこへ出すかを1通にまとめて送ってください。書類の回収は、入社後に最も滞る作業の1つです。追い方は入社書類の回収にまとめています。
1週間前にやること
本人へ初日の案内を出します。時間、場所、持ち物、服装、当日の連絡先の5つを書いてください。これが無いと、初日の朝に電話がかかってきます。連絡の残し方は内定者フォローのやり方にまとめています。
初日にやること
初日の予定を決めずに迎えると、本人が座っているだけの時間ができます。何もすることがない時間は、想像以上に長く感じられます。
初日の予定を時間で組む
| 時間 | やること | 担当 |
|---|---|---|
| 始業 | 出迎え、席へ案内 | 教育の担当 |
| 午前前半 | 書類の提出と手続き、社内の説明 | 総務 |
| 午前後半 | 職場の案内、同じ部署の人への紹介 | 教育の担当 |
| 昼 | 誰かと一緒に食べる | 配属先 |
| 午後 | 仕事の説明、当面やることの確認 | 教育の担当 |
| 終業前 | 初日の振り返り、明日の予定 | 教育の担当 |
昼を1人にしない
細かいことに見えますが、初日の昼を1人で過ごすかどうかは、後々まで記憶に残ります。誰かが一緒に行く、と決めておくだけで足ります。
終業前に5分だけ話す
初日の終わりに、困ったことがなかったかを聞いてください。ここで出た小さな不便が、1週間放置されると不満に変わります。聞くのは5分で構いません。
当面やることを渡す
「まず様子を見て」と言われると、本人は何をしてよいか分かりません。最初の1週間でやることを、紙で渡すだけで動けるようになります。中身が固まっていなくても、読む資料と見る作業を並べれば足ります。
受け入れ準備が回らない3つの原因
表を作っても準備が回らないとき、原因はだいたい次の3つです。
その1:入社日が現場に伝わっていない
採用担当は知っているが、配属先が知らない、という状態です。初日の朝に「今日から来るの」と言われるのが、最も避けたい形です。承諾の時点で、配属先、総務、情報システムの3か所に同時に伝えてください。
その2:担当が部署名で書かれている
前の節で書いたとおりです。個人名にするだけで、完了率が変わります。
その3:入社が続くと表が使い回されない
1人目のときに作った表を、2人目で作り直していると続きません。入社者ごとに列を足すのではなく、行をコピーして日付だけ変える形にしてください。項目は毎回ほぼ同じです。
入社日をずらすことになったとき
在職中の人を採用した場合、退職の手続きが長引いて入社日がずれることがあります。ずれること自体は珍しくありません。
ずらせるかどうかを、先に社内で確認しておく
本人から相談が来てから社内を調整すると、返事に数日かかります。承諾の時点で「1か月までならずらせる」といった線を確認しておくと、その場で答えられます。
ずらしたら、準備の期限を全部引き直す
入社日が動くと、逆算した期限も全部動きます。表の入社日を直したら、期限の列も直してください。ここを直さないと、早すぎる発注や遅すぎる手配が起きます。
ずらせない場合の伝え方
現場の人員や繁忙期の都合でずらせないこともあります。その場合は、理由と、いつまでに入社してほしいかを具体的に伝えてください。曖昧に待つと、入社直前の辞退につながります。兆しの拾い方は内定者フォローのやり方にまとめています。
試用期間の始まりとつなげる
受け入れの準備は、入社日で終わりではありません。その先の試用期間の確認とつながっています。
初日に、確認の予定を伝える
「1か月後、3か月後に面談をします」と初日に伝えておくと、本人が見通しを持てます。何も言われないまま試用期間が過ぎるほうが、本人にとって不安です。
教育の担当と、評価する人を分ける
教える人と、本採用を判断する人が同じだと、本人が相談しにくくなります。教育の担当は日々の相談相手、判断は上位の責任者と分けておくと、相談が出てきます。
最初の1か月で見ることを決めておく
試用期間中に確認する項目は、入社前に決めておいてください。後から決めると、本人が知らない基準で判断されることになります。確認項目の置き方と面談の時期は試用期間の使い方と本採用の判断にまとめています。
中途採用と新卒で、準備の重さが違う
受け入れの準備は、相手によって重さが変わります。同じ表を使いつつ、行の数を変えるのが現実的です。
中途採用
基本的な進め方は説明不要業務の説明が中心
準備は道具と権限が主
1週間で立ち上がる想定
新卒・未経験
社会人としての基本から教育の担当を必ず置く
1か月から3か月の計画が要る
最初の1年で育てる想定
未経験者を受け入れるときに足す行
- 最初の1か月の予定表。週ごとに何をやるかを決めておきます
- 教育の担当と、その人の負担の調整。教える時間ぶん、本人の業務を減らします
- 相談できる相手をもう1人。教育の担当以外に、年齢の近い人を1人
- 安全に関する教育。現場の職種では、作業に入る前に必要な内容を確認します
教育の担当の負担を見ておく
教える人の業務を減らさないまま担当を任せると、教える時間が取れず、新しく入った人が放置されます。教育の担当を決めるときは、その人の当面の業務量も一緒に調整してください。
高卒採用の場合は、学校にも報告する
高校から採用した場合、入社後の様子を学校に伝えると関係が続きます。翌年の訪問で話す材料にもなります。詳しくは高卒採用の学校訪問にまとめています。
よくある質問
- Q. 入社の受け入れ準備は、いつから始めればよいですか?
- 承諾をもらった時点からです。入社日を確定して社内に伝え、準備の表を作り、納期がかかるものを発注するところまでをその日にやってください。直前にまとめてやろうとすると、必ず何かが間に合いません。
- Q. 準備の担当は、部署名で書いてはいけませんか?
- 個人名で書いてください。「総務」と書くと、総務の誰もやりません。部署名で書かれた項目は最後まで空欄で残ります。個人名にすると、その人が自分の行を見ます。
- Q. 入社初日は、何をしてもらえばよいですか?
- 時間で予定を組んでください。書類と手続き、職場の案内、同じ部署の人への紹介、仕事の説明、終業前の振り返り、という流れが一般的です。何もすることがない時間は、想像以上に長く感じられます。
- Q. 入社日をずらしたいと言われたら、どうしますか?
- 承諾の時点で「1か月までならずらせる」といった線を社内で確認しておくと、その場で答えられます。ずらした場合は、表の入社日だけでなく期限の列も全部引き直してください。
- Q. 未経験者を受け入れるとき、何を足せばよいですか?
- 最初の1か月の予定表、教育の担当とその人の業務量の調整、相談できる相手をもう1人、現場の職種なら作業前の安全に関する教育です。教える人の業務を減らさないまま担当を任せると、教える時間が取れず放置につながります。
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