高卒採用の学校訪問|訪問の時期と、話すことの決め方
高卒採用は、中途採用とまったく違う進み方をします。応募者と直接やりとりするのではなく、学校を通すのが基本の形だからです。そのため、学校訪問が母集団づくりのほとんどを占めます。
一般には、ハローワークへ求人を出したうえで学校を訪問し、進路指導の先生に自社を知ってもらうという流れが採られています。この記事では、高卒採用の学校訪問を、時期の押さえ方から話すこと、記録の残し方までの順に整理します。
この記事の内容(9項目)
- 高卒採用は、日程が外から決まる
- 押さえておく3つの決まりごと
- 選考の開始時期より前に、接点をつくる
- 学校訪問の年間の流れ
- 訪問先の学校を絞る
- 1回で終わらせない
- 進路指導の先生に話すこと
- いちばん効くのは「続いているかどうか」
- 持っていくもの
- 訪問の記録を残す
- 先生の異動を追う
- 約束したことを必ずやる
- 職場見学の受け入れが決め手になる
- 見学は、選考にしない
- 見せる順番を決めておく
- 安全の確認を先にする
- 選考と、結果の伝え方
- 結果は決めた期日までに出す
- 不採用のときこそ、丁寧に伝える
- 採用した後の報告を続ける
- 高卒採用を始めるときに、先に決めること
- 受け入れる側の準備を先にする
- 1年目は採れなくてよい、と考える
- 中途採用の感覚のままでつまずくところ
- 時間の使い方が変わる
- 成果が出るまでの期間も違う
- 費用のかかり方も違う
- よくある質問
高卒採用は、日程が外から決まる
高卒採用には、全国的に統一された取り決めがあります。求人の申込み、学校への求人票の提出、生徒への公開、応募、選考の開始について、それぞれ時期が示されます。
押さえておく3つの決まりごと
| 決まりごと | 内容 | 自社への影響 |
|---|---|---|
| ハローワークへの求人申込み | 高校生を募集する求人は、ハローワークに申し込んで確認を受ける形が基本 | 学校訪問だけでは正式な募集にならない |
| 学校を通じた応募 | 生徒は学校を通して応募する | 直接のやりとりを前提に設計しない |
| 一人一社制 | 一定の時期まで、生徒が同時に応募できる企業を1社に限る運用 | 先生に薦めてもらえるかが結果を左右する |
一人一社制の運用は都道府県によって差があります。自社が募集する地域の運用を、ハローワークで確認してください。
選考の開始時期より前に、接点をつくる
選考が始まる時期は決まっているので、そこまでにどれだけ学校に知られているかで応募数が決まります。求人票を出しただけでは、数ある求人の1枚になります。
学校訪問の年間の流れ
高卒採用の学校訪問は、求人の解禁前から始まります。解禁後に初めて訪問する会社は、すでに出遅れています。
訪問先の学校を絞る
近隣の高校を全部回ろうとすると、1校あたりが浅くなります。3年続けて訪問できる学校数に絞ってください。目安は次のとおりです。
- 通勤できる範囲。公共交通機関で通える距離かどうかを先に確認します
- 学科が合っている。工業科、商業科、農業科など、仕事の内容と重なる学科
- 過去に応募や採用の実績がある。実績のある学校は、先生が自社を知っています
1回で終わらせない
学校訪問は、1年目に成果が出ないことのほうが普通です。先生から見て、毎年来る会社と1回だけ来た会社では信頼の度合いが違います。3年続ける前提で訪問先を決めてください。
進路指導の先生に話すこと
学校訪問で会うのは、多くの場合、進路指導の担当の先生です。先生が知りたいのは、生徒が入社したあとどうなるかです。
| 話すこと | 先生が判断すること |
|---|---|
| 仕事の内容と1日の流れ | この生徒に務まるか |
| 入社後の教育の仕組み | 放り出されないか |
| 過去に採用した高卒者の在籍年数 | 続けられる職場か |
| 先輩社員の出身校 | 同じ学校の卒業生がいるか |
| 寮・通勤手段・勤務地 | 生活が成り立つか |
| 初任給、休日、残業の実態 | 条件が実態と合っているか |
いちばん効くのは「続いているかどうか」
先生は、送り出した生徒が早く辞めた会社に、次の年は生徒を薦めません。過去に採用した高卒者が何年続いているかを、正直に話すのがいちばん効きます。数字が良くないなら、何を変えたかを話してください。早期離職の調べ方は早期離職の原因の調べ方にまとめています。
持っていくもの
- 求人票(ハローワークで確認を受けたもの)
- 会社案内。写真が多いほうが生徒に見せてもらいやすい
- 職場の写真。実際に働く場所が分かるもの
- 見学の案内。いつでも受け入れられることを書いておく
会社案内は、先生が生徒に見せる前提で作ってください。専門用語が並んでいると、生徒には伝わりません。
訪問の記録を残す
学校訪問は、担当が代わると関係が切れます。誰が、いつ、どの学校の誰と会って、何を話したかを残しておくと、次の年につながります。
| 残すもの | 次の年に使えること |
|---|---|
| 学校名と所在地 | 訪問先の一覧になる |
| 会った先生の名前と役職 | 次に誰を訪ねるか |
| 訪問日 | 訪問の間隔を測る |
| 話した内容 | 同じ話を繰り返さない |
| 先生から聞いたこと | 生徒の状況、他社の動き |
| 次の約束 | 見学の受け入れ、資料の送付 |
| その年の応募と採用 | 訪問の成果を年ごとに見る |
先生の異動を追う
進路指導の先生は異動します。名前だけ記録していると、翌年に訪ねる相手が分からなくなります。役職も一緒に残しておくと、異動があっても後任にたどり着けます。
約束したことを必ずやる
「資料を送ります」「見学を受け入れます」と言ったことは、必ず実行してください。約束が守られない会社に、先生は生徒を薦めません。次の約束の欄に期限を書いて、その日に見る形にすると抜けません。
職場見学の受け入れが決め手になる
高卒採用では、応募の前に職場見学を受け入れる形が広く行われています。生徒にとって、働く場所を見ることが判断の中心になるためです。
見学は、選考にしない
見学に来た生徒を評価する形にすると、見学が事実上の選考になります。見学は見てもらう場、と割り切ってください。線の引き方は職場見学の受け入れにまとめています。
見せる順番を決めておく
- 会社の説明。10分程度。生徒に分かる言葉で
- 現場を歩く。実際に働いている様子を見せます
- 年齢の近い社員と話す。ここがいちばん記憶に残ります
- 質問の時間。先生が同行している場合は先生にも質問してもらいます
安全の確認を先にする
製造や建設の現場に生徒を入れる場合、保護具、通路、立ち入らない場所を先に決めてください。案内する社員も決めておきます。見学中の事故は、その後の関係をすべて失います。
選考と、結果の伝え方
高卒採用の選考は、学校を通して行われるのが基本です。応募書類も結果の連絡も、学校を経由します。
結果は決めた期日までに出す
一人一社制の運用のもとでは、1社の結果が出るまで生徒は次に動けません。結果が遅れると、生徒の就職活動そのものが止まります。中途採用以上に、期日を守ることが求められます。
不採用のときこそ、丁寧に伝える
不採用の連絡は、学校を通して行います。翌年も訪問する学校なら、理由を伝えられる範囲で伝えてください。何も言わずに見送ると、翌年の紹介につながりません。
採用した後の報告を続ける
入社した生徒がどうしているかを、年に1回でも学校に伝えると、関係が続きます。これをやっている会社は多くありません。翌年の訪問で話す材料にもなります。
高卒採用を始めるときに、先に決めること
これから高卒採用を始める場合、学校訪問の前に社内で決めておくことがあります。決めずに訪問すると、先生の質問に答えられません。
| 決めること | 先生から必ず聞かれる形 |
|---|---|
| 教育の担当者 | 入社後は誰が教えるのですか |
| 最初の1年でやること | どんな仕事から始めますか |
| 資格の取得支援 | 免許や資格は取らせてもらえますか |
| 勤務地の変更 | 転勤はありますか |
| 寮や通勤の手段 | 通えない場合はどうなりますか |
受け入れる側の準備を先にする
高校を出たばかりの人を受け入れるには、社会人としての基本から教える体制が要ります。ここが無いまま採用すると、早期の離職につながり、翌年から学校が生徒を薦めなくなります。受け入れの準備は入社受け入れの準備にまとめています。
1年目は採れなくてよい、と考える
初めて訪問した年に応募が来ることは、あまりありません。先生に自社を知ってもらうことが1年目の目的と考えて、3年続けてください。途中でやめると、それまでの訪問も無駄になります。
中途採用の感覚のままでつまずくところ
中途採用の経験がある担当者ほど、高卒採用でつまずきます。やり方がほとんど逆になるためです。あらかじめ知っておくと、無駄な動きが減ります。
| 中途採用の感覚 | 高卒採用で起きること |
|---|---|
| 良い人がいたら直接口説く | 生徒と直接やりとりする形になっていない。学校を通す |
| 他社より早く内定を出して押さえる | 選考の開始時期が決まっている。早く動けない |
| 複数社を比較して選んでもらう | 一人一社制の運用がある地域では、そもそも比較されない |
| 応募が来なければ媒体を追加する | 媒体で解決しない。学校との関係が母集団になる |
| 条件を上げて競争力を出す | 条件より、続いているかどうかを先生が見る |
時間の使い方が変わる
中途採用では、募集を出してから応募が来るまでが勝負です。高卒採用では、求人が解禁される前の準備と、学校との関係づくりに時間の大半を使います。解禁後にできることは、実はあまり多くありません。
成果が出るまでの期間も違う
中途採用なら、募集を出して1か月で採用が決まることもあります。高卒採用は、訪問を始めてから採用に至るまで1年から3年かかると考えてください。年度をまたぐので、途中で担当が代わると関係が切れます。引き継ぎのしかたは採用担当の引き継ぎにまとめています。
費用のかかり方も違う
高卒採用は、媒体費がほとんどかかりません。かかるのは訪問の時間と、会社案内などの資料の制作費です。効果測定の表では、費用ではなく訪問した校数と応募数で見てください。数え方は採用の効果測定にまとめています。
よくある質問
- Q. 高卒採用の求人は、いつから出せますか?
- 求人の申込み開始、学校への求人票提出、生徒への公開、選考の開始といった日程は年度ごとに示されます。この記事では具体的な日付を書きません。必ず当年の公表内容を、ハローワークまたは都道府県労働局でご確認ください。
- Q. 学校訪問だけで募集できますか?
- 高校生を募集する求人は、ハローワークに申し込んで確認を受ける形が基本です。学校を訪問して先生に話すだけでは、正式な募集になりません。手続きの詳細はハローワークにご確認ください。
- Q. 一人一社制とは何ですか?
- 一定の時期まで、生徒が同時に応募できる企業を1社に限る運用のことです。運用の内容は都道府県によって差があるため、自社が募集する地域の運用をハローワークで確認してください。生徒が次に動けないため、結果の連絡は期日を守ることが特に大切になります。
- Q. 訪問する学校は何校くらいが適切ですか?
- 3年続けて訪問できる校数に絞ってください。全部を回ると1校あたりが浅くなります。通勤できる範囲、学科が仕事と重なる、過去に応募や採用の実績がある、の3つで絞ると外れにくくなります。
- Q. 1年目に応募が来ませんでした。続けるべきですか?
- 初めて訪問した年に応募が来ることは多くありません。先生から見て、毎年来る会社と1回だけ来た会社では信頼の度合いが違います。3年続ける前提で訪問先を決めてください。途中でやめると、それまでの訪問も無駄になります。
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