採用の効果測定|媒体ごとに並べて、止めるものを決める
求人媒体を3つ使っていて、どれが効いているかを聞かれると答えに詰まる。応募数だけは分かるが、そこから何人採用できたかまでは追えていない。よくある状態です。
一般には、媒体ごとに応募・面接・内定・入社の人数と費用を1行に並べ、1人あたりの単価を出す形で見ています。この記事では、採用の効果測定を、並べる指標から単価の出し方、続けるか止めるかの判断までの順に整理します。1つの表に月1回書き足すだけで回る大きさにしています。
この記事の内容(8項目)
- 採用の効果測定は、応募数では判断できない
- 手間も費用のうち
- 採用の効果測定で並べる6つの数字
- 応募経路の名前を、費用の区分とそろえる
- 入社日で数えるか、内定日で数えるか
- 採用単価の出し方
- 入社が0人の媒体は、単価が出せない
- 相場と比べる前に、自社の去年と比べる
- 続けるか止めるかの判断
- 止める判断を先送りにしない
- 原稿を直す価値があるかどうかの見分け方
- 媒体以外の経路も同じ表で見る
- 単価が安い経路に全部寄せない
- 紹介会社は別の表でも管理する
- 同じ媒体でも、原稿で数字が変わる
- 原稿を直したら、その日を表に書く
- 数字が動きやすいのは、この3か所
- 効果測定を始めるときの3か月
- 1か月目にやるのは、名前をそろえることだけ
- 過去の数字を無理に埋めない
- 3か月たっても判断できないとき
- よくある質問
採用の効果測定は、応募数では判断できない
採用の効果測定でいちばん多い間違いが、応募数の多い媒体を良い媒体だと判断することです。応募が多くても、書類選考で全部落ちているなら、選考の手間が増えただけになります。
| 媒体 | 費用 | 応募 | 面接 | 入社 | 1人あたり |
|---|---|---|---|---|---|
| 媒体A | 30万円 | 40人 | 6人 | 1人 | 30万円 |
| 媒体B | 20万円 | 12人 | 8人 | 2人 | 10万円 |
| 紹介会社 | 90万円 | 3人 | 3人 | 1人 | 90万円 |
| 社員紹介 | 10万円 | 2人 | 2人 | 1人 | 10万円 |
この例では、応募数がいちばん多いのは媒体Aですが、採用に至った1人あたりの費用は媒体Aが30万円、媒体Bが10万円です。応募数だけを見ていると、媒体Aに予算を寄せる判断をしてしまいます。
手間も費用のうち
媒体Aは40人の書類選考をしています。1人5分でも3時間以上かかっています。金額に出ない費用が、応募の多い媒体では大きくなります。効果測定の表に「書類選考にかかった時間」を1列足しておくと、この差が見えるようになります。
採用の効果測定で並べる6つの数字
採用の効果測定に必要な数字は、媒体ごとに次の6つです。これ以上増やすと、月1回の更新が続きません。
| 数字 | どこから取るか | この数字が示すもの |
|---|---|---|
| 費用 | 請求書、契約書 | その媒体に使った金額 |
| 応募数 | 採用管理表の応募経路で数える | 母集団の大きさ |
| 書類通過数 | 同上 | 来ている人と要件の合い方 |
| 面接実施数 | 同上 | 実際に会えた人数 |
| 内定数 | 同上 | 見極めまで届いた人数 |
| 入社数 | 同上 | 最終的な成果 |
応募経路の名前を、費用の区分とそろえる
採用管理表の応募経路が「求人サイト」で、請求書が「媒体A」だと、突き合わせのたびに手間がかかります。応募経路のリストは、請求書の名義と同じ言葉にしてください。採用管理表の入力規則の作り方は採用管理表の作り方にまとめています。
入社日で数えるか、内定日で数えるか
費用を使った月と、入社した月はずれます。効果測定では、費用は掲載した月、人数は応募した月で数えると、対応が取りやすくなります。入社日で数えると、3か月前の費用と今月の入社が同じ行に並んでしまいます。
採用単価の出し方
採用単価は、その媒体に使った費用を、その媒体から入社した人数で割った金額です。計算そのものは簡単ですが、分子に何を入れるかで数字が変わります。
外部費用だけで出す
掲載料、紹介手数料、イベント出展料、採用サイトの制作費媒体どうしの比較に使える
毎月すぐ出せる
内部費用も入れて出す
上に加えて、担当者の人件費、面接官の時間、交通費投資判断や経営報告に使う
年に1回でよい
月次で見るなら外部費用だけで足ります。媒体を選ぶための数字なので、どの媒体にも同じようにかかる内部費用は入れなくても順位は変わりません。年に1回、経営に報告するときだけ内部費用を足す形が回しやすくなります。
入社が0人の媒体は、単価が出せない
その媒体から誰も入社していない場合、採用単価は計算できません。ここで「無限大」と書くと判断できないので、1つ手前の段階で比べます。面接まで届いた人が1人でもいるなら、面接1人あたりの費用で比べられます。
相場と比べる前に、自社の去年と比べる
1人あたりの採用コストの平均値は、調査によって幅があります。新卒と中途、職種、地域で大きく変わるためです。外の平均より、自社の去年の数字と比べるほうが判断の役に立ちます。予算の枠そのものの決め方は採用予算の決め方にまとめています。
続けるか止めるかの判断
数字が並んだら、媒体ごとに判断します。判断は年に1回ではなく、掲載の更新のたびにやると、無駄な更新が減ります。
| 状態 | 見立て | 次にやること |
|---|---|---|
| 応募が多く、入社もある | 合っている | 続ける。掲載の枠を増やす検討 |
| 応募は多いが、書類で落ちる | 来ている人と要件がずれている | 求人票の書き方を直す。それでも変わらなければ止める |
| 応募が少ないが、入社率が高い | 合っているが露出が足りない | 掲載期間を延ばす。原稿を増やす |
| 応募がほとんど無い | 面が外れている | 止める。原稿を直しても増えにくい |
| 応募も入社も無く、費用だけ出ている | 惰性で更新されている | 止める |
止める判断を先送りにしない
媒体は、契約が自動更新になっていることがよくあります。更新月を効果測定の表に書いておくと、判断する日が来たことに気づけます。書いていないと、気づいたときには1年分の費用が出ています。
原稿を直す価値があるかどうかの見分け方
応募が少ない媒体を止める前に、原稿を直すか迷うことがあります。同じ媒体に他社の求人が多く出ているなら、面はあるので原稿を直す価値があります。その媒体自体に同じ職種の求人が少ないなら、面が無いので原稿を直しても増えません。求人票の管理は求人票の管理にまとめています。
媒体以外の経路も同じ表で見る
採用の効果測定は、有料の媒体だけを対象にすると全体が見えません。費用がほとんどかからない経路ほど、単価では強く出ます。
| 経路 | 費用の形 | 効果測定で見るところ |
|---|---|---|
| ハローワーク | 無料 | 応募数。地域と職種で差が大きい |
| 自社の採用ページ | 制作費と維持費 | 応募数と、他経路から見に来た数 |
| 社員紹介 | 謝礼 | 紹介の件数。定着率が高く出やすい |
| 人材紹介会社 | 成功報酬 | 紹介数と決定率。単価は高く出る |
| 採用イベント | 出展料と人件費 | 接点の数と、応募への転換 |
| 学校からの紹介 | 訪問の時間 | 紹介の件数。年ごとの継続性 |
単価が安い経路に全部寄せない
社員紹介は単価が低く出ますが、紹介が出る件数はこちらで増やせません。単価だけを見て有料媒体を全部止めると、必要なときに応募が集まらなくなります。単価と、必要な人数を出せるかどうかを両方見てください。社員紹介の運用ルールはリファラル採用のルールの作り方にまとめています。
紹介会社は別の表でも管理する
人材紹介会社は、成功報酬の金額と返金の条件が契約ごとに違います。効果測定の表には合計額だけを置き、契約の条件は別で持つほうが読みやすくなります。手数料の見方は人材紹介の手数料の見方で扱っています。
同じ媒体でも、原稿で数字が変わる
採用の効果測定で媒体を比べるとき、媒体の力と原稿の出来が混ざっていることに注意してください。同じ媒体でも、原稿を直すと応募数が変わります。
原稿を直したら、その日を表に書く
効果測定の表に「原稿を直した日」の列を1つ足しておくと、応募数が動いたときに媒体のせいか原稿のせいかを分けられます。書いていないと、翌月に応募が増えても理由が分かりません。
数字が動きやすいのは、この3か所
- 職種名。社内の呼び方だと検索されません。求職者が使う言葉に合わせます
- 給与の書き方。幅を広く取りすぎると、下限で判断されます
- 勤務時間と休日。ここが曖昧だと、応募の前に離脱されます
掲載内容の版を管理する方法は求人票の管理にまとめています。直した内容を残していないと、次に同じことを試すことになります。
効果測定を始めるときの3か月
採用の効果測定は、数字が3か月分たまるまで判断に使えません。最初の3か月は、判断せずに数える期間と決めておくと、途中で止めずに済みます。
1か月目にやるのは、名前をそろえることだけ
採用管理表の応募経路と、請求書の名義と、効果測定の表の行名を同じ言葉にします。この作業を後回しにすると、3か月後に集計できません。数字を入れるのは2か月目からで間に合います。
過去の数字を無理に埋めない
始めるときに、去年の数字を思い出して埋めたくなります。ただ、経路の名前が違っていたり、応募数の数え方が違っていたりして、正確には出ません。不確かな数字を混ぜると、判断そのものが疑わしくなります。今月から数え始めるほうが、結果的に早く使える表になります。
3か月たっても判断できないとき
応募が月に数人の規模だと、3か月でも母数が足りないことがあります。その場合は、単価ではなく応募が1件でもあったかどうかで判断します。3か月で応募が0件の媒体は、次の更新で止めて構いません。
よくある質問
- Q. 複数の職種を同時に募集しているとき、効果測定はどう分けますか?
- 媒体ごとの行を、職種ごとに分けてください。同じ媒体でも職種によって応募の集まり方はまったく違います。全職種を合計した1行にすると、片方の職種だけ応募が来ていないことが見えなくなります。
- Q. 原稿を直した効果は、いつ判定できますか?
- 掲載してから1か月分の応募が出そろってからです。直した翌週の数字で判断すると、曜日や時期の影響を効果と取り違えます。直した日を効果測定の表に書いておくと、あとから区間を切って比べられます。
- Q. 採用の効果測定は、どのくらいの頻度でやればよいですか?
- 月1回で足ります。応募数と費用を書き足すだけなら10分で終わります。媒体を続けるか止めるかの判断は、掲載の更新月に合わせてください。
- Q. 採用単価に人件費を入れるべきですか?
- 媒体どうしを比べるだけなら、外部費用だけで足ります。どの媒体にも同じようにかかる費用なので、入れても順位は変わりません。経営に報告する年1回だけ、人件費を含めた数字を出す形が回しやすくなります。
- Q. 応募が多い媒体は良い媒体と言えますか?
- 言えません。応募が多くても書類選考で全部落ちているなら、選考の手間が増えただけです。入社まで届いた人数で割った単価で比べてください。
- Q. どこから応募してきたか分からない人は、どう数えますか?
- 「不明」という経路を1つ作って数えてください。不明が全体の3割を超えるようなら、応募のときに経路を聞く欄を足す価値があります。無理に推測して振り分けると、判断が狂います。
- Q. ハローワークのように無料の経路も、効果測定に入れますか?
- 入れてください。費用が0なら単価も0になりますが、応募数と入社数は比較の材料になります。無料の経路で必要な人数が採れているなら、有料媒体を減らす根拠になります。
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