募集の設計

採用計画の立て方|必要人数と時期を1枚で決める手順

公開 2026-08-30 執筆 採用板 編集部

「人が足りないから募集を出す」で動いていると、募集を出した時点ではもう遅い、ということが繰り返されます。退職の申し出から入社までにかかる時間を数えると、多くの職種で3か月から半年かかるためです。

一般には、職種ごとに「何人を」「いつまでに」入れたいかを決め、そこから逆算して募集の開始時期を置く形が採られています。これが採用計画です。この記事では、採用計画の立て方を、必要人数の出し方から時期の置き方、応募数の逆算、見直しの周期までの順に整理します。人事が専任でいない会社でも回せる大きさにしています。

採用計画表(Excel・無料)職種ごとの必要人数と、いつまでに入ってほしいかを1枚にします。登録不要でダウンロードできます。
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この記事の内容(8項目)

採用計画とは何を決める計画か

採用計画とは、職種ごとに、何人を、いつまでに、いくらで採るかを先に決めておくものです。決めるのはこの4つだけで、採用手法や面接の内容までは含みません。

採用計画で決める4つ
誰を職種と人数
いつまでに入社してほしい月
いくらで1人あたりの上限
どこから使う経路

大手向けの解説では、経営戦略や中長期の人員構成から入る手順が紹介されています。考え方としては正しいのですが、10人から100人規模の会社では、そこから始めると計画を作る前に採用が始まってしまいます。先に「今期の欠員と増員」だけを1枚にして、あとから中期の話を足すほうが手が動きます。

欠員補充と増員は分けて書く

採用計画では、欠員補充と増員を同じ行に混ぜないでください。判断する人が違うためです。欠員補充は現場の判断で決まりますが、増員は予算の話になるので経営の承認が要ります。分けて書くと、どちらが承認待ちで止まっているかが一目で分かります。

採用計画の立て方は5手順

採用計画の立て方は、次の5手順で進みます。最初の2つを飛ばして募集の話から入ると、あとで人数の根拠を聞かれて止まります。

  1. いまの人数と、1年以内に減る見込みを書き出す。定年、契約満了、既に申し出のある退職
  2. 職種ごとに必要人数を出す。欠員補充と増員に分ける
  3. 入社してほしい月を置く。繁忙期の前か、教育担当が動ける時期か
  4. 入社月から逆算して、募集の開始月を決める。選考にかかる日数と、内定から入社までの期間を足す
  5. 1人あたりの上限額を置く。ここが採用予算の入口になります

この5つが埋まると、採用計画は1枚に収まります。職種が5つ以内の会社なら、A4の横1枚で足ります。

先に決めるのは人数ではなく「いつ」です 人数は現場の希望で膨らみやすく、決まるまでに時間がかかります。先に入社してほしい月を置いてしまうと、逆算で「いつまでに決めるか」が出るので、人数の議論に締切が付きます。
採用予算管理表(Excel・無料)費目ごとの予算と実績を並べ、残りがいくらかを見ます。登録不要でダウンロードできます。
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必要人数の出し方

採用計画で必要人数を出すとき、一般に使われている考え方は次の3つです。どれか1つに決める必要はなく、職種によって使い分けます。

出し方計算の形向いている職種
欠員から出す今年度に抜ける人数をそのまま埋める人数が決まっている持ち場、交代制の職場
仕事量から出す見込みの受注量や台数を、1人あたりの処理量で割る製造、施工、配送、施設の運営
比率から出す売上や店舗数に対する人数の比を保つ店舗、営業、間接部門

離職の見込みを入れないと、毎年足りなくなる

必要人数を「欠員 + 増員」だけで出すと、採用した人が1年以内に辞めた分が計算から抜けます。前年の離職率が分かるなら、採用予定数に、その分を上乗せしておくほうが実態に合います。上乗せの根拠になる数字は、早期離職の原因の調べ方で集める聞き取りから作れます。

現場の希望はそのまま書かない

各部署に希望人数を聞くと、合計が予算を大きく超えるのが普通です。ここで削る作業を先にやると調整に時間がかかるので、まず全部書き出して、優先順位の列を1つ足すほうが早く進みます。優先順位が付いていれば、予算が決まった時点で上から取れます。

入社月から逆算して、募集の開始時期を決める

採用計画でいちばん間違えやすいのが時期です。「4月に入ってほしい」から4月に募集を出す、という形になっている会社は少なくありません。

逆算に使う日数は、選考にかかる日数内定から入社までの期間の2つです。おおまかな目安は次のとおりですが、自社の実績があるならそちらを使ってください。

区間一般的な目安自社で数える場所
募集開始から応募が集まるまで2週間から1か月掲載開始日と応募日の差
応募から内定まで2週間から1か月半採用管理表の応募日と内定日の差
内定から入社まで(在職者)1か月から2か月内定承諾管理表の入社予定日
内定から入社まで(新卒)卒業まで固定学校の日程

在職中の人を採る中途採用では、退職の申し出から実際に辞めるまでに1か月以上かかることが多くあります。つまり、4月入社を狙うなら、遅くとも1月には募集が出ている必要があります。

選考の日数は、決めておかないと伸びる

逆算に使う「応募から内定まで」の日数は、実績を測るものではなく先に決めておくものです。段階ごとの日数を置く方法は選考フローの作り方にまとめています。ここを決めないまま採用計画を立てると、計画上の入社月だけが動かず、現実の選考が伸びていきます。

選考フロー設計表(Excel・無料)職種ごとの選考段階と、各段階にかける日数を先に決めます。登録不要でダウンロードできます。
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応募数の逆算と、経路の割り振り

採用計画に人数と時期が入ったら、そこから必要な応募数を出します。各段階の通過率をかけ算するだけなので、電卓で足ります。

1人採るために必要な応募数(例)
応募
20人
書類通過
8人
面接実施
6人
内定
2人
入社
1人
通過率は職種と地域で大きく変わります。自社の実績が出るまでの仮置きとして使ってください。

この例では、1人採るのに20人の応募が要ります。3人採るなら60人です。ここで出た数字が、募集にいくら使うかの根拠になります。通過率は自社の実績が出れば置き換えます。実績の数え方は採用の歩留まりの見方にまとめています。

経路は3つ以内から始める

必要な応募数が出たら、どの経路から集めるかを割り振ります。最初から5つも6つも並べると、どれも中途半端になって効果が測れません。3つ以内で始めて、数字が出てから足すほうが判断がつきます。経路ごとの効果の見方は採用チャネルの効果測定で扱っています。

採用計画は3か月ごとに見直す

採用計画は、年度の初めに作って終わりにすると、半年で実態と合わなくなります。見直しの周期を先に決めておくと、作りっぱなしになりません。

期初計画を作る
3か月後進捗と通過率を入れ替え
6か月後人数と時期を組み直す
9か月後翌期の下書きを始める

見直しで触るのは3つの数字だけ

  • 通過率。仮置きしていた数字を、実績に置き換えます
  • 残りの人数。採れた分を引きます
  • 使った費用。予算の残りを確認します

この3つ以外は、期の途中では触らないほうが混乱しません。職種の追加や要件の変更は、募集を出し直すタイミングでまとめて反映します。

採れなかったときに、先に決めておくこと

計画どおりに採れないことは普通に起きます。そのときに何を動かすかを、計画を作る段階で決めておくと判断が速くなります。一般に選ばれるのは次の3つです。

動かすものやること影響
時期入社月を後ろへずらす現場の負担が延びる
要件必須要件を歓迎要件へ落とす入社後の教育が増える
費用経路を足す、紹介会社を使う1人あたりの単価が上がる

3つとも動かさない、という選択はありません。どれを先に動かすかを決めておくと、毎回の会議で同じ議論を繰り返さずに済みます。

採用板が配っているのは参考様式です 採用計画表に、法令で定められた様式はありません。採用板が配布しているのは、上の5手順がそのまま埋まる欄を入れた参考様式です。項目一覧と記入例は採用計画表のページにあります。

採用計画を現場と共有する形

採用計画は、作った人だけが持っていると効きません。現場の責任者が、いつ誰が入るかを把握している状態まで持っていって完成します。

共有するのは3つの数字だけ

計画表をそのまま配ると、費用や優先順位まで見えて話が広がります。現場に共有するのは次の3つに絞ると、確認の会話が短くなります。

共有するもの言い方現場が判断できること
職種と人数この職種を2人受け入れの人数
入社してほしい月10月までに1人、来年4月に1人教育担当の手配
いまの選考状況面接まで3人、内定まで1人いつごろ決まりそうか

採用計画は「約束」ではないと先に言う

計画に人数が書いてあると、現場は必ず採れるものとして受け取ります。採れなかったときに、採用担当の責任という話になりがちです。計画を共有するときに、応募状況によって時期がずれること、そのときは時期・要件・費用のどれかを動かすことを先に伝えておくと、話が揉めません。

月1回、選考状況だけ共有する

計画そのものは3か月ごとの見直しで足りますが、選考状況は月1回共有すると、現場が待ちの状態にならずに済みます。共有する数字は採用の歩留まりの見方で数えたものをそのまま使えます。

よくある質問

Q. 採用計画は何年先まで作るべきですか?
人事の専任がいない規模では、まず今期の1年分だけで足ります。1年分が回るようになってから、3年先の人員構成を足していくほうが手が止まりません。最初から中長期の計画を作ろうとすると、作る作業だけで数か月かかり、その間に募集が始まってしまいます。
Q. 採用計画は誰が作るものですか?
人事の専任がいない会社では、総務や管理部門の担当が下書きを作り、各部署の責任者と経営で確認する形が一般的です。大事なのは作る人ではなく、増員の承認を誰が出すかを先に決めておくことです。ここが曖昧だと、募集を出す段階で止まります。
Q. 採用計画に必要人数の根拠を書く必要はありますか?
書いておいたほうが後で楽になります。欠員なのか増員なのか、増員なら何が増えるからなのかを1行で残しておくと、翌年の計画を作るときに前提が変わったかどうかを判断できます。
Q. 中途採用と新卒採用は同じ計画に書いてよいですか?
同じ1枚に書いてかまいませんが、行は分けてください。新卒は入社月が固定されていて、募集の開始時期も学校の日程で決まります。逆算の考え方が違うので、混ぜると時期の列が読みにくくなります。
Q. 計画した人数を採れなかった場合、どうすればよいですか?
時期、要件、費用のどれを動かすかを決めます。3つとも動かさずに採れることはほとんどありません。どれを先に動かすかを計画を作る段階で決めておくと、判断が速くなります。
Q. 採用計画と採用予算は同じ表にしてよいですか?
分けたほうが扱いやすくなります。採用計画は人数と時期、採用予算は費目と金額で、更新の周期も違います。計画の1人あたり上限額から予算へつなぐ形にすると、両方が生きます。予算の決め方は採用予算の決め方にまとめています。
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本記事は一般的な業務の進め方を整理したものです。社内規程、契約条件、法令上の要件がある場合は、それらを優先してご確認ください。記事の内容は2026-08-30時点のものです。