選考の進行

採用の歩留まりの見方|どの段階で減っているかを数える

公開 2026-08-30 執筆 採用板 編集部

「応募は来ているのに採用が決まらない」という話は、原因が3つも4つもあるように見えて、実際には1か所で詰まっていることがほとんどです。どこで詰まっているかは、段階ごとの人数を数えれば分かります。

一般には、応募から入社までの各段階に何人残っているかを週ごとに数え、前の段階からの通過率を並べる形で見ています。これが採用の歩留まりです。この記事では、採用の歩留まりの見方を、数える単位から通過率の出し方、詰まっている段階の見つけ方、直す順番までの順に整理します。

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この記事の内容(8項目)

採用の歩留まりとは何を指すか

採用の歩留まりとは、ある段階に入った人のうち、次の段階へ進んだ人の割合です。応募100人のうち書類選考を通ったのが30人なら、書類選考の通過率は30パーセントになります。

採用の歩留まりで見る5つの段階
応募受け付けた人数
書類通過面接に呼んだ人数
面接実施実際に会えた人数
内定出した人数
入社初日に来た人数

採用の歩留まりを見る目的は、順位付けではありません。どこに手を打てば採用数が増えるかを1か所に絞ることです。全部を同時に良くしようとすると、どれも中途半端になります。

採用の歩留まりと採用単価は別のもの

歩留まりは人数の割合、採用単価は費用の話です。歩留まりが悪いのか、そもそも応募が少ないのかで打つ手が違います。応募数と費用の関係は採用チャネルの効果測定で扱っています。応募が集まっていないなら歩留まりを触っても増えません。先に応募数を見てください。

採用の歩留まりを数える単位を決める

数える前に、単位を決めます。ここが揃っていないと、先月と今月の数字を比べられません。

決めることおすすめ理由
数える周期週1回、曜日を固定する月1回だと手を打つのが遅い。毎日だと続かない
数える単位職種ごと、募集ごと全社合計にすると、詰まっている職種が消える
数え方その週に段階へ入った人数「いま残っている人数」だと通過率が出せない
不採用と辞退必ず分けて数える打つ手が正反対になる

数えるのは「入った人数」で、「残っている人数」ではない

ここが採用の歩留まりでいちばん間違えやすいところです。いまその段階にいる人数を数えると、選考が進むたびに減っていくだけの表になります。通過率を出すには、その段階に入った人の累計が要ります。

集計は明細と別のシートにする 候補者1人1行の採用管理表に集計欄を足すと、行を追加したときに数式の範囲から外れます。気づかないまま数字が減り、「応募が減った」と誤って報告することになります。集計は別シートで、週1回まとめて転記してください。明細側の作り方は採用管理表の作り方にまとめています。

通過率の出し方と、目安の持ち方

通過率は、次の段階の人数を前の段階の人数で割るだけです。大事なのは分母を間違えないことで、応募数で全部を割ると数字の意味が変わります。

指標計算この数字が低いときに疑うところ
書類通過率書類通過 ÷ 応募募集要項と応募者のずれ。書類選考の基準
面接実施率面接実施 ÷ 書類通過連絡の速さ。日程調整。ドタキャン
内定率内定 ÷ 面接実施評価基準。面接官による差
承諾率承諾 ÷ 内定条件。他社との比較。内定後の接点
入社率入社 ÷ 承諾承諾から入社までの空白期間

他社の平均値は目安にしない

通過率の平均値は、職種、地域、募集の出し方で大きく変わります。外の平均と比べるより、自社の先月と比べるほうが手が動きます。3か月ぶんの数字が並べば、それが自社の基準になります。

母数が小さいときは、率ではなく人数で見る

応募が月に5人程度の場合、通過率は1人動くだけで20ポイント変わります。母数が20人を下回るうちは、率ではなく実数で見てください。「今月は面接に3人呼んで、2人が来なかった」のほうが、状況が正確に伝わります。

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詰まっている段階の見つけ方

採用の歩留まりを並べたら、次は詰まっている段階を1つだけ選びます。選び方は減り方がいちばん大きい段階ではなく、直せる余地がいちばん大きい段階です。

症状いちばんあり得る原因先に見るもの
応募が集まらない掲載内容と条件。経路の選び方求人票と募集効果管理表
書類通過率が極端に低い募集要項に書いた要件と、来ている人のずれ不採用理由の集計
書類は通るのに面接に来ない連絡が遅い。日程が合わない連絡管理表の日付
面接をしても内定が出ない評価基準が人によって違う面接評価表の点数のばらつき
内定を出しても承諾されない条件。他社との比較。回答期限の設定辞退理由管理表
承諾後に入社しない承諾から入社までの空白内定者への連絡記録

辞退の段階を分けて数える

辞退は、どの段階で起きたかで原因がまったく違います。書類通過の直後に辞退が集中しているなら連絡の速さ、最終面接の後に集中しているなら条件の話です。段階別に数える方法は選考辞退の原因にまとめています。

不採用の理由も同じ形で数える

不採用が多い段階では、落とした理由を集計すると募集要件のずれが見えます。個人の評価ではなく、理由の分布を見るのがコツです。集計のしかたは不採用理由の集計のしかたで扱っています。

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直す順番は「後ろから」

詰まっている段階が複数見つかったときは、入社に近いほうから直します。理由は単純で、後ろのほうが少ない労力で1人増えるからです。

直す順番
1番目内定から入社まで。すでに来てくれる人がいる場所
2番目面接から内定まで。会えている人がいる場所
3番目応募から面接まで。集めるところ
応募を増やすのがいちばん時間と費用がかかります。すでに接点がある人から取りこぼしを減らすほうが早く効きます。

応募が少ないと、つい募集の話から始めたくなります。ただ、内定を出した人の半分が辞退している状態で応募を2倍にしても、辞退も2倍になります。後ろが漏れているうちは、前を増やしても同じ割合で落ちます。

1回に直すのは1か所だけ

同じ月に、連絡の速さと面接の回数と条件を全部変えると、次の月に数字が動いても何が効いたか分かりません。1か月に1か所にしておくと、効いたかどうかが判定できます。

効果が出るまでの時間を見込む

採用の歩留まりは、手を打ってからすぐには動きません。選考には日数がかかるので、いま応募している人が入社するまでの期間ぶん、遅れて出ます。合計日数を選考フローで出しておくと、いつ判定すればよいかが分かります。

週1回の集計を続けるための形

採用の歩留まりは、続けて数えないと意味がありません。1回だけ数えた数字は、良いのか悪いのかが判断できないためです。

数えるのは5分で終わる形にする

集計に30分かかる形にすると、忙しい週から抜けていきます。採用管理表の選考段階の列を絞り込んで件数を見るだけなら、5分で終わります。週の同じ曜日、同じ時間に固定してください。

数字を出す場所と、報告する場所を分ける

集計表は自分が見るためのもの、報告資料は人に見せるためのものです。同じ表で両方をやろうとすると、体裁を整える時間が増えて続きません。集計は素のままにして、月に1回だけ報告の形に整えるほうが回ります。

数字が動かない月があってよい

応募が月に数人の規模では、通過率が動かない月が普通にあります。動かない月に無理に手を打つと、何が効いたか分からなくなります。3か月ぶんを並べて傾向を見るまで、待って構いません。

採用板が配っているのは参考様式です 採用進捗集計表に、法令で定められた様式はありません。採用板が配布しているのは、週ごとに段階別の人数を並べて通過率が出る参考様式です。項目一覧と記入例は採用進捗集計表のページにあります。

応募が少ないのか、通過率が低いのかを分ける

採用が決まらない状態は、そもそも応募が少ない場合と、応募はあるが通過していない場合に分かれます。この2つは打つ手が正反対なので、先に分けてください。

応募が少ない

月の応募が採用予定の10倍に届かない
書類通過率は高い
面接に来た人は決まりやすい
集めるところに手を打つ

通過率が低い

応募はあるが書類で大半が落ちる
面接まで来ても内定が出ない
面接の予定が埋まらない
要件と基準に手を打つ

分ける目安は「必要応募数」

採用計画で出した必要応募数と、実際の応募数を比べます。必要な数の半分も来ていないなら、通過率をいくら上げても足りません。まず応募を集める側に手を打つほうが早く効きます。

応募が足りているのに決まらないとき

必要応募数は来ているのに採用が決まらない場合、次のどれかです。順番に確認すると原因が絞れます。

  1. 書類選考で落としすぎていないか。必須要件が多すぎると、通過率が一桁になります
  2. 面接に呼んでも来ていないか。連絡の速さと日程の出し方を見ます
  3. 面接官が全員に低い点を付けていないか。相対評価になっている可能性があります
  4. 内定を出しても断られていないか。条件と選考の日数を見ます

職種をまとめて見ない

複数の職種を同時に募集していると、全社の合計では原因が消えます。職種ごとに分けて数えると、片方の職種だけ応募が来ていない、といったことが見えます。合計で見ているうちは、手を打つ場所が決まりません。

よくある質問

Q. 採用の歩留まりは、どのくらいの頻度で数えればよいですか?
週1回、曜日を固定するのが続けやすい形です。月1回だと手を打つのが遅くなり、毎日だと作業が負担になって止まります。数える作業そのものは5分で終わる形にしてください。
Q. 通過率の一般的な目安はありますか?
職種や地域、募集の出し方で大きく変わるため、外の平均を目安にすると判断を誤ります。自社で3か月ぶんの数字を並べれば、それが自社の基準になります。母数が20人を下回るうちは、率ではなく実数で見てください。
Q. 不採用と辞退は分けて数える必要がありますか?
分けてください。会社が見送ったのか本人が降りたのかで、打つ手が正反対になります。まとめて数えると、どちらが増えたのか分からなくなり、改善の材料になりません。
Q. 歩留まりが悪い段階が複数あるときは、どれから直しますか?
入社に近いほうから直します。すでに接点がある人の取りこぼしを減らすほうが、応募を増やすより少ない労力で1人増えます。1か月に1か所だけ変えると、効いたかどうかが判定できます。
Q. 採用管理表と採用進捗集計表は、両方必要ですか?
役割が違うので、両方あると崩れません。採用管理表は候補者1人1行の明細、採用進捗集計表は週ごとの段階別人数です。1枚にまとめると、行を追加したときに集計の数式がずれます。
採用進捗集計表(Excel・無料)週ごとに各段階の人数を数え、どこで減っているかを見ます。登録不要でダウンロードできます。
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本記事は一般的な業務の進め方を整理したものです。社内規程、契約条件、法令上の要件がある場合は、それらを優先してご確認ください。記事の内容は2026-08-30時点のものです。