採用管理表の作り方|エクセルの列と入力規則の決め方
応募が来るたびにメールを探し、前回どこまで進んだかを思い出しながら返信している。採用の担当が1人か2人の会社では、よくある状態です。
一般には、候補者1人を1行にした表を1枚だけ持ち、そこを見れば次にすることが分かる形にしている会社が多くあります。これが採用管理表です。この記事では、採用管理表の作り方を、列の決め方から入力規則、更新の当番、集計までの4手順で整理します。エクセルとATSのどちらにするかという線引きも最後に扱います。
この記事の内容(8項目)
- 採用管理表とは、何を管理する表か
- 週ごとの人数は採用管理表では数えない
- 採用管理表の作り方は4手順
- 採用管理表に入れる列と、入れない列
- 入れないほうがよい列
- 表記ゆれを止める入力規則の置き方
- 選ぶ列は、データの入力規則でリストにする
- 選考段階の言葉は、選考フローと同じにする
- 不採用と辞退は必ず分ける
- 更新の当番と、放置を見つける仕掛け
- 触る人と時間を決めて、表の先頭に書く
- 放置は「次回予定日」で見つける
- 共有の置き場所は1か所にする
- 採用管理はエクセルとATSのどちらがよいか
- エクセルの限界が出るのは、この3つのとき
- 採用管理表が続かなくなる3つの原因
- その1:列が多すぎて、開くのが面倒になる
- その2:集計欄を同じシートに足してしまう
- その3:更新する人が決まっていない
- よくある質問
採用管理表とは、何を管理する表か
採用管理表とは、応募してきた人ごとに、いまどの段階にいて、次に誰が何をするかを1行で持つ表です。管理する対象は「人」であって、「募集」でも「媒体」でもありません。ここを最初に決めておかないと、列が増え続けて使われなくなります。
採用管理表で持つもの
候補者の氏名と連絡先いまの選考段階
次回の予定日と担当
応募経路
1人1行。行は増えていく
別の表で持つもの
媒体ごとの応募数と費用面接の評価点と所見
週ごとの段階別人数
費用の請求と支払
集計や記録の単位が違う
採用管理表を1枚に集約しようとすると、面接の評価も費用も同じシートに入り、列が横に伸びて印刷もできなくなります。大事なのは、1人1行を崩さないことです。1人について複数行が必要になるもの(面接の回数ごとの評価、連絡の履歴)は、別の表に切り出します。
週ごとの人数は採用管理表では数えない
「今週は何人が書類選考に残っているか」を知りたくなると、採用管理表に集計欄を足したくなります。ただ、明細と集計を同じシートに入れると、行を追加するたびに数式の範囲がずれます。採用の歩留まりの見方で扱うとおり、集計は別のシートで、週に1回まとめて数えるほうが崩れません。
採用管理表の作り方は4手順
採用管理表の作り方は、次の4手順に分けられます。順番が大事で、列を決める前に入力規則から入ると、あとで全部やり直しになります。
- 列を決める。いま使っていない情報は入れません。「あとで使うかもしれない」列は、埋まらないまま残って表を読みにくくします
- 入力規則を置く。選考段階・応募経路・担当者は、手で打たずリストから選ぶ形にします
- 更新の当番を決める。誰が、いつ、どの列を触るかを1行で書いて表の先頭に置きます
- 集計は別シートにする。週に1回、段階ごとの人数を数えて別の表へ転記します
この4つのうち、抜けやすいのは3番です。列と入力規則までは作れても、更新する人と時間が決まっていない表は、2週間で止まります。
採用管理表に入れる列と、入れない列
採用管理表の列は、少ないほうが続きます。目安として、横スクロールしないで見える範囲に収めると、毎日開いてもらえます。
| 列 | 役割 | 入力の形 |
|---|---|---|
| 受付番号 | 候補者を一意に呼ぶ。氏名で呼ばない場所を作る | 連番 |
| 氏名 | 連絡と本人確認 | 手入力 |
| 応募日 | 経過日数の起点 | 日付 |
| 応募経路 | どの媒体・紹介から来たか | リストから選ぶ |
| 応募職種 | 募集ごとに分けて数える | リストから選ぶ |
| 選考段階 | いまどこにいるか | リストから選ぶ |
| 次回予定日 | 放置を見つける。並べ替えの基準 | 日付 |
| 担当 | 次に動く人 | リストから選ぶ |
| 連絡先 | 電話とメール | 手入力 |
| 備考 | 1行で足りる補足だけ | 手入力 |
入れないほうがよい列
次のものは、採用管理表には入れないほうが表が保ちます。どれも「1人1行」を壊す情報だからです。
- 面接の評価点と所見。面接の回数だけ増えます。評価は面接ごとの記録に残します
- 連絡の履歴。1人に何回も発生します。連絡の管理は別の表で追います
- 生年月日、家族構成、健康状態。選考の進行管理には要りません。必要な範囲を超えた個人情報を、共有ファイルに置かないでください
- 合否の理由の長文。1行に入りきらないものは、書類選考の記録側に置きます
採用管理表の項目一覧と記入例は、採用管理表のページにまとめてあります。ここでは、どの列を選ぶかという判断のほうを扱っています。
表記ゆれを止める入力規則の置き方
採用管理表が使われなくなる原因で、いちばん多いのが表記ゆれです。「書類選考」「書類」「書類中」が同じ列に混ざると、絞り込みも件数も合わなくなります。
選ぶ列は、データの入力規則でリストにする
エクセルの「データ」タブにある「データの入力規則」で、入力値の種類を「リスト」にし、元の値に候補を並べます。手で打てなくなるので、ゆれが物理的に起きません。リストにするのは次の4列です。
| 列 | リストの例 | 決めておくこと |
|---|---|---|
| 選考段階 | 応募受付/書類選考/一次面接/二次面接/最終面接/内定/入社/不採用/辞退 | 会社の選考フローと同じ言葉にする |
| 応募経路 | 自社サイト/ハローワーク/求人媒体A/紹介会社B/社員紹介/その他 | 費用の集計と同じ区分にする |
| 応募職種 | 募集中の職種名 | 求人票の職種名と一字一句そろえる |
| 担当 | 採用にかかわる人の氏名 | 退職・異動のたびに直す |
選考段階の言葉は、選考フローと同じにする
採用管理表の選考段階は、選考フローの作り方で決めた段階の名前をそのまま持ってきます。表だけ別の言葉になっていると、集計したときにどの段階の数字か分からなくなります。言葉を決める場所は1か所にしてください。
不採用と辞退は必ず分ける
同じ「進まなかった」でも、会社が見送ったのか、本人が降りたのかで、次にやることが正反対になります。まとめて「終了」にすると、あとから分けられません。この2つを分けていない表は、改善の材料になりません。
更新の当番と、放置を見つける仕掛け
採用管理表がいちばん壊れるのは、更新されなくなったときです。中身が古いと分かった瞬間に、誰も見なくなります。
触る人と時間を決めて、表の先頭に書く
表の1行目に、次の1文を書いておきます。文章にしておくと、担当が代わったときにそのまま引き継げます。
放置は「次回予定日」で見つける
次回予定日の列で並べ替えると、日付が過ぎている行が上に集まります。ここに残っている人は、こちらの連絡が止まっている人です。週に1回この並べ替えをするだけで、放置はほぼ無くなります。
連絡そのものの期限や、宛先の二重化は選考連絡の期限の決め方で扱っています。返事が遅れることは、選考辞退の原因のうちで自社が直せる数少ないものです。
共有の置き場所は1か所にする
採用管理表が人によって手元にコピーされると、どれが最新か分からなくなります。共有フォルダかクラウドストレージに1つだけ置き、ファイル名に日付を付けないのがコツです。日付を付けると、その瞬間からコピーが増えます。
採用管理はエクセルとATSのどちらがよいか
採用管理表を作っていると、必ず「システムを入れたほうがよいのでは」という話になります。一般には、年間の採用人数と、表を触る人数の2つで判断されています。
エクセルが向いている
年間の採用が数名から十数名表を触る人が1人か2人
選考フローが職種で大きく違う
費用をかけずに始めたい
まず形を決める段階
ATSが向いている
年間の採用が数十名以上複数拠点・複数部門で見る
媒体からの自動取り込みが要る
応募者本人が状況を見る仕組みが要る
件数で手が回らない段階
順番として無理がないのは、エクセルで一度回してからシステムを検討するやり方です。管理する列と選考段階が決まっていない状態でシステムを入れると、設定の段階で止まります。エクセルで3か月回すと、自社に本当に要る列が分かります。
エクセルの限界が出るのは、この3つのとき
- 同時に触りたい人が3人を超えたとき。排他制御が無いので、上書きが起きます
- 候補者本人に見せる情報が出てきたとき。マイページや自動返信は表では作れません
- 個人情報の閲覧範囲を人ごとに分けたいとき。ファイル単位でしか権限を分けられません
この3つに当たっていないうちは、エクセルで足ります。件数が少ないのにシステムを入れて、入力の手間だけが増えているという話は、規模の小さい会社ではよく聞きます。
採用管理表が続かなくなる3つの原因
作った直後は使われて、1か月ほどで止まる。採用管理表でよくある止まり方には、決まった形があります。
その1:列が多すぎて、開くのが面倒になる
横スクロールしないと全部見えない表は、更新のたびに探す時間がかかります。使っていない列は、隠すのではなく消してください。隠した列は、次の人が「意味があるはず」と考えて残してしまいます。
その2:集計欄を同じシートに足してしまう
表の下や右に集計欄を作ると、行を追加したときに数式の範囲から外れます。気づかないまま数字が減り、「先月より応募が減った」と誤って報告することになります。集計は別シートに置き、週に1回転記する形にすると、この事故が起きません。
その3:更新する人が決まっていない
全員が更新できる状態は、誰も更新しない状態と同じです。更新する人を1人決めて、他の人は依頼する形にしたほうが、小さい組織では続きます。担当が代わるときの引き継ぎは、採用担当の引き継ぎにまとめています。
よくある質問
- Q. 採用管理表はエクセルとスプレッドシートのどちらがよいですか?
- 同時に触る人が2人以上いるならスプレッドシート、1人で管理して印刷や配布が多いならエクセルが扱いやすいです。判断の分かれ目は共同編集の有無で、機能の差ではありません。採用板が配っている様式はxlsx形式なので、スプレッドシートへ読み込んでも使えます。
- Q. 候補者の個人情報を、採用管理表にどこまで書いてよいですか?
- 選考を進めるために必要な範囲にとどめるのが基本です。氏名・連絡先・応募経路・選考段階までは進行管理に要りますが、家族構成や健康状態は要りません。取得した情報の保管と削除の考え方は、応募書類の保管と返却で扱っています。
- Q. 不採用になった人の行は、表から消したほうがよいですか?
- 選考が終わった年度の途中で消すと、応募数や不採用数が数えられなくなります。行は残したまま、選考段階の列で「不採用」に変えて絞り込みから外す形が扱いやすいです。保管の期間そのものは、社内で決めた期間にそろえてください。
- Q. 採用管理表と採用進捗集計表は、どう使い分けますか?
- 採用管理表は候補者1人を1行にした明細、採用進捗集計表は週ごとに段階別の人数を数えた集計です。明細と集計を同じシートに入れると数式がずれるので、分けたほうが崩れません。集計の見方は採用の歩留まりの見方にまとめています。
- Q. 採用管理表を作る前に決めておくことはありますか?
- 選考段階の名前です。応募受付から内定までの段階を先に決めてから列を作らないと、途中で言葉が変わって集計できなくなります。段階の決め方は選考フローの作り方にまとめています。
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