不採用理由の集計のしかた|個人の評価と分けて数える
応募は来るのに、通過する人がいない。この状態が続くとき、原因は候補者の側ではなく募集要件と、来ている人がずれていることがほとんどです。ずれの中身は、不採用の理由を数えれば見えます。
一般には、落とした理由を決まった区分に分けて数え、いちばん多い区分から募集の側に戻す形が採られています。この記事では、不採用理由の集計のしかたを、区分の決め方から書き方の統一、戻し方までの順に整理します。
この記事の内容(9項目)
- 不採用理由の集計は、個人の評価とは別のもの
- 集計に使うのは、区分だけ
- 誰を落としたかは、集計には要らない
- 理由の区分を5つから7つに決める
- 「その他」が3割を超えたら区分を足す
- 「なんとなく合わない」を残さない
- 区分は入力規則でリストにする
- 段階を分けて数える
- 書類選考で「希望条件が合わない」が多いとき
- 面接で「必須要件を満たさない」が出たとき
- 最終面接での不採用は、必ずしも問題ではない
- 集計した結果を、募集に戻す
- 必須要件を1つ落とす効果は大きい
- 1回に1つだけ直す
- 直した日を記録する
- 早期離職の理由と突き合わせる
- 3つ目がいちばん見落とされる
- 件数が少なくても並べる
- 集計を続けるための形
- 不採用の連絡を出すときに書く
- 見るのは募集が終わったとき
- 応募が少ない月は判断しない
- 不採用の理由を応募者に伝えるかどうか
- 実務では伝えない会社が多い
- 伝える場合は、区分の言葉で伝える
- 紹介経由の場合は特に注意する
- 社内の記録には必ず残す
- 集計表を作るときの列
- 職種を混ぜない
- 補足の欄は1行にする
- 集計は関数で出す
- よくある質問
不採用理由の集計は、個人の評価とは別のもの
不採用理由の集計でいちばん多い誤解が、個人の評価を集めれば集計になるというものです。実際には別の作業です。
個人の評価
この人のどこが足りなかったか面接評価表に書く
その人1人の話
選考のための記録
不採用理由の集計
どの理由が何件あったか区分に分けて数える
募集全体の話
次の募集を直すための材料
集計に使うのは、区分だけ
個別の評価コメントを並べても、傾向は見えません。「経験が要件と離れている」が12件、「希望条件が合わない」が5件という形にして初めて、手を打つ場所が決まります。
誰を落としたかは、集計には要らない
集計表に氏名は要りません。受付番号、応募日、落とした段階、理由の区分の4つで足ります。氏名を入れないほうが、社内で共有しやすくなります。
理由の区分を5つから7つに決める
区分は、多すぎても少なすぎても使えません。5つから7つが扱いやすい数です。
| 区分 | 意味 | 戻す先 |
|---|---|---|
| 必須要件を満たさない | 資格、免許、勤務条件が合わない | 必須要件が厳しすぎないか |
| 経験が要件と離れている | 職種や業務の中身が違う | 募集要項の書き方、出している媒体 |
| 希望条件が合わない | 給与、勤務地、時間の希望が離れている | 条件そのもの、または書き方 |
| 評価基準に届かない | 面接で見た項目が基準に達しない | 評価基準、面接官の目線 |
| 他の候補者と比べて | 相対的な判断 | その募集の応募の質 |
| 募集の終了 | 採用が決まったため | 掲載の止め忘れの確認 |
| その他 | 上に入らないもの | 件数が増えたら区分を足す |
「その他」が3割を超えたら区分を足す
その他が多いのは、区分が実態に合っていない印です。中身を見て、共通するものがあれば新しい区分にしてください。
「なんとなく合わない」を残さない
理由が言葉にならない場合、その判断は基準になっていません。面接に呼んで確かめるか、区分のどれかに当てはめてください。書類選考での判断のしかたは書類選考の基準の作り方にまとめています。
区分は入力規則でリストにする
手で打つと表記がゆれて集計できません。エクセルの入力規則で選ぶ形にしてください。作り方は採用管理表の作り方にまとめています。
段階を分けて数える
同じ理由でも、書類選考で出たのか、面接で出たのかで意味が変わります。段階の列を1つ足してください。
| 段階 | ここで多い理由 | 示していること |
|---|---|---|
| 書類選考 | 必須要件を満たさない/経験が離れている | 募集と応募者のずれ。募集の側の問題 |
| 一次面接 | 評価基準に届かない/希望条件が合わない | 書類では分からない部分のずれ |
| 最終面接 | 他の候補者と比べて/評価基準に届かない | 見極めの段階。ここは多くて当然 |
書類選考で「希望条件が合わない」が多いとき
条件が募集要項に書いてあるのに、条件の合わない人が応募してきている状態です。書いてあっても読まれていないか、書き方が分かりにくいかのどちらかです。給与の幅が広すぎる、勤務時間が「シフト制」だけ、といった書き方が原因になります。
面接で「必須要件を満たさない」が出たとき
これは書類選考で落とすべきものが通っています。書類選考の基準か、確認の手順に抜けがあります。面接の時間を無駄にしているので、優先して直してください。
最終面接での不採用は、必ずしも問題ではない
最終まで来て見送ることは、選考として正常です。ただし、最終での不採用が続くなら、一次面接の基準が緩いかもしれません。段階ごとの通過率と合わせて見てください。数え方は採用の歩留まりの見方にまとめています。
集計した結果を、募集に戻す
数えただけでは何も変わりません。いちばん多い区分を1つ選んで、対応する場所を直します。
| いちばん多い区分 | 直す場所 | やること |
|---|---|---|
| 必須要件を満たさない | 募集要項 | 必須要件を歓迎に落とせないか検討する |
| 経験が要件と離れている | 職種名と媒体 | 職種名を求職者の言葉に直す。媒体を変える |
| 希望条件が合わない | 条件の書き方 | 給与の幅を狭める。勤務時間を具体的に書く |
| 評価基準に届かない | 評価基準 | 基準が高すぎないか、面接官の目線が揃っているか |
| 他の候補者と比べて | 直さなくてよい | 選考として正常な状態 |
必須要件を1つ落とす効果は大きい
必須要件を1つ減らすと、応募できる人が大きく増えます。「入社後に身につくもの」を必須にしていないかを見直してください。経験年数を必須にしている場合は、年数ではなく「何ができるか」で書き換えると、判断もしやすくなります。書き方は募集要項の書き方にまとめています。
1回に1つだけ直す
同じ月に要件も職種名も条件も変えると、翌月に応募が変わっても何が効いたか分かりません。1つずつ変えて、区分の分布が動いたかを見てください。
直した日を記録する
いつ何を変えたかを集計表の隅に書いておくと、後から区間を切って比べられます。書いていないと、変えたこと自体を忘れます。
早期離職の理由と突き合わせる
不採用の理由と、辞めた人の理由を並べて見ると、要件そのものが実態と合っているかが分かります。
| 状態 | 読み取れること |
|---|---|
| 不採用が多く、離職も多い | 要件が実態と離れている。要件から見直す |
| 不採用は多いが、入った人は続く | 要件は合っている。応募の集め方の問題 |
| 不採用は少ないが、離職が多い | 選考が甘い。基準を見直す |
| 不採用も離職も少ない | いまの形で回っている |
3つ目がいちばん見落とされる
応募が少ないと、通す方向に基準が緩みます。その結果、入社してから続かない人が増えます。この状態は不採用の数だけ見ていても気づけません。離職の理由の集め方は早期離職の原因の調べ方にまとめています。
件数が少なくても並べる
年に不採用が10件、離職が2件でも、3年分たまれば形が見えます。件数が少ない会社ほど、記録しておかないと何も分かりません。
集計を続けるための形
不採用理由の集計は、選考のたびに1行足すだけです。まとめてやろうとすると続きません。
不採用の連絡を出すときに書く
連絡を出す作業と、集計表に1行足す作業をセットにしてください。連絡だけ先にやって集計を後回しにすると、理由を忘れます。連絡の管理は選考連絡の期限の決め方にまとめています。
見るのは募集が終わったとき
毎週見る必要はありません。1つの募集が終わったときに、その募集ぶんを見る形で足ります。次の募集を出す前に見れば、そのまま反映できます。
応募が少ない月は判断しない
応募が5件の月の分布は、1件動くだけで大きく変わります。1つの募集で20件を超えるまでは、数字ではなく中身を読んでください。
不採用の理由を応募者に伝えるかどうか
集計とは別に、本人に理由を伝えるかどうかという論点があります。伝える義務はありません。
実務では伝えない会社が多い
「総合的に判断した結果」として理由を伝えない形が一般的です。個別の理由を伝えると、そこだけを直して再応募されることになり、双方の手間が増えます。
伝える場合は、区分の言葉で伝える
伝える方針にするなら、集計に使っている区分の言葉をそのまま使ってください。「ご経験と今回の募集内容が合わなかったため」といった形です。個人の資質に触れる書き方は避けます。
紹介経由の場合は特に注意する
社員紹介や人材紹介会社を経由した候補者の場合、紹介者に理由を伝えると、本人の情報を第三者に伝えることになります。紹介者には結果だけを伝える形が一般的です。詳しくはリファラル採用のルールの作り方にまとめています。
社内の記録には必ず残す
本人に伝えないとしても、社内の記録には理由の区分を残してください。残していないと、募集要項を直す材料が集まりません。
集計表を作るときの列
不採用理由の集計表は、1件1行の明細と、区分ごとの件数を出すシートの2枚で作ります。
| 列 | 役割 |
|---|---|
| 受付番号 | 採用管理表と対応させる。氏名は入れない |
| 募集(職種) | 職種ごとに分けて数える |
| 応募日 | 期間で区切って見る |
| 落とした段階 | 書類/一次/最終 |
| 理由の区分 | 入力規則のリストから選ぶ |
| 補足 | 1行だけ。区分に入らない事情がある場合 |
職種を混ぜない
複数の職種を同時に募集していると、全社の合計では、片方の職種のずれが消えます。職種ごとに数えてください。
補足の欄は1行にする
長文を書けるようにすると、区分を選ばずに補足だけ書く人が出ます。1行で書ける幅にしておくと、区分を選ぶ習慣がつきます。
集計は関数で出す
明細のシートから、区分ごとの件数を数える関数を1つ置けば、行を足すたびに自動で更新されます。手で数え直す形にすると、途中で止まります。
よくある質問
- Q. 不採用の理由は、いくつの区分に分けるとよいですか?
- 5つから7つが扱いやすい数です。多すぎると選ぶのに迷い、少なすぎると「その他」に集まります。その他が3割を超えたら、中身を見て新しい区分を足してください。
- Q. 集計表に応募者の氏名は必要ですか?
- 不要です。受付番号、応募日、落とした段階、理由の区分の4つで足ります。氏名を入れないほうが、社内で共有しやすくなります。
- Q. 書類選考で落とした理由も集計に入れますか?
- 入れてください。書類選考は、募集要項を直すための情報がいちばん集まる場所です。「必須要件を満たさない」が半分を超えているなら、要件が厳しすぎるか、募集要項の書き方が伝わっていません。
- Q. 不採用の理由を応募者に伝えるべきですか?
- 伝える義務はありません。実務では「総合的に判断した結果」として伝えない会社が多くあります。個別の理由を伝えると、そこだけを直して再応募される形になり、双方の手間が増えます。ただし社内の記録には必ず残してください。
- Q. 応募が月に数件しかありません。集計する意味はありますか?
- あります。件数が少ない会社ほど、記録しておかないと何も分かりません。ただし、1つの募集で20件を超えるまでは、比率ではなく中身を読んでください。1件動くだけで分布が大きく変わります。
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