募集の設計

募集要項の書き方|明示する事項と、出す前の確認

公開 2026-08-30 執筆 採用板 編集部

募集要項は、応募するかどうかを決める最初の材料です。ここが曖昧だと、条件の違う人が応募してきて書類選考の手間が増え、面接で条件の話をやり直すことになります。

一般には、法令にもとづいて明示が必要な事項を先に埋め、そのうえで自社の採用要件を必須と歓迎に分けて書く形が採られています。この記事では、募集要項の書き方を、明示する事項から条件の並べ方、出す前の確認までの順に整理します。

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この記事の内容(8項目)

募集要項で明示する事項

労働者を募集するときは、職業安定法にもとづいて労働条件を明示する必要があります。令和6年4月からは、明示する事項が追加されました。

区分明示する内容
業務従事すべき業務の内容。令和6年4月から、変更の範囲も明示
場所就業の場所。令和6年4月から、変更の範囲も明示
契約期間期間の定めの有無。有期の場合は期間
更新の基準令和6年4月から、有期契約を更新する場合の基準(通算契約期間または更新回数の上限を含む)
時間始業・終業の時刻、所定時間外労働の有無、休憩、休日
賃金賃金の額、計算方法、支払方法、締切と支払の時期
保険加入する社会保険・労働保険
募集者募集を行う者の氏名または名称
受動喫煙対策就業の場所における受動喫煙を防止するための措置

「変更の範囲」は、将来の見込みまで含む

令和6年4月に加わった「変更の範囲」は、雇入れの直後だけでなく、契約期間中の配置転換なども含めた範囲を指します。転勤の可能性があるなら、その範囲を書いておく必要があります。書き方に迷う場合は、ハローワークや労働局にご確認ください。この記事では、個別の記載が適法かどうかの判断は扱いません。

スペースが足りないとき

求人票の欄が足りない場合、一部を別途明示する扱いが認められる場合があります。ただし、求職者と最初に接触する時点までにすべての労働条件を明示することが求められます。面接の場で初めて条件を伝える形にならないよう、順番を決めておいてください。

募集要項の書き方は5手順

募集要項の書き方は、次の5手順で進みます。法令で決まっている部分から埋めて、自社の要件は後から足すのが早い順番です。

  1. 明示が必要な事項を先に埋める。ここは選択の余地がありません
  2. 採用要件を必須と歓迎に分ける。必須は3つ以内に絞ります
  3. 仕事の中身を、1日の流れで書く。職務内容の箇条書きだけでは想像できません
  4. 選考の段階と期間を1行入れる。応募前に見通しが立ちます
  5. 出す前に、別の人が確認する。書いた人以外が見ます

必須要件は3つまでに絞る

必須要件を5つも6つも並べると、応募数が一気に減ります。1つ増やすごとに応募できる人が減ると考えてください。分け方の目安は次のとおりです。

必須にするもの

無いと業務が始められない資格
法令で求められる免許
体力・勤務時間の条件
入社後に埋められないもの

歓迎に落とすもの

経験年数
特定のソフトの操作
業界の知識
入社後に身につくもの

経験年数を必須にしている募集は多くありますが、年数そのものより「何ができるか」で書いたほうが、応募の質が上がります。「3年以上」ではなく「図面を見て1人で段取りができる」と書くと、判断がしやすくなります。

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仕事の中身の書き方

募集要項で応募数に効くのは、仕事の中身の書き方です。箇条書きの職務内容だけでは、応募する人が1日を想像できません。

1日の流れで書く

始業から終業までを時間で区切って書くと、それだけで具体性が出ます。求職者がいちばん知りたいのは、毎日の大半を何に使うことになるかです。

書き方読み手の受け取り方
職務の箇条書き製品の組立、検査、記録どこの会社でも同じに見える
1日の流れ8時 朝礼と持ち場の確認/9時から12時 組立/午後 検査と記録/16時 翌日の段取り自分ができるかどうかを判断できる

きつい部分も書く

良いことだけを書くと、面接や入社後にずれが出ます。重いものを扱う、屋外の作業がある、繁忙期は残業がある、といったことは先に書いてください。書いても応募する人は、それを理解して応募しています。書かないで採用した場合、早期の離職につながります。早期離職の調べ方は早期離職の原因の調べ方にまとめています。

職種名は、求職者が使う言葉にする

社内の呼び方をそのまま職種名にすると、検索に出てきません。求職者が検索する言葉に合わせると、同じ内容でも応募数が変わります。掲載後の見直しは求人票の管理で扱っています。

選考の見通しを1行入れる

募集要項に選考の段階と期間を書いておくと、応募のハードルが下がります。「面接1回、応募から2週間程度で結果をお伝えします」の1行で足ります。

書ける状態にしておく

この1行を書くには、選考フローが決まっている必要があります。募集要項を作る前に段階と日数を決めておいてください。決め方は選考フローの作り方にまとめています。

書いた期間は守る

書いた日数を超えると、応募者から見て約束が守られなかったことになります。辞退の理由として直接効きます。守れる日数を書いてください。連絡の期限の管理は選考連絡の期限の決め方で扱っています。

応募方法は1つに絞る

メールでも電話でも郵送でも可、という形にすると、応募の受付が分散して漏れます。1つに絞って、その1つを確実に受け取る形にするほうが、応募者にとっても分かりやすくなります。

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出す前の確認は、書いた人以外がやる

募集要項の書き漏れは、書いた本人には見えません。出す前に、別の人が項目を1つずつ確認する形にすると、掲載後の訂正が減ります。

確認する順番

  1. 明示が必要な事項が全部埋まっているか。空欄が1つでもあれば止めます
  2. 他の募集と条件が矛盾していないか。同じ職種で給与の幅が違うことがあります
  3. 就業規則や賃金規程と合っているか。手当の名称と金額を照らします
  4. 前回の募集から変わった点が反映されているか。昇給や休日の変更が抜けがちです
  5. 誤字と、数字の桁。給与の桁違いは実際に起きます

確認したことを記録に残す

誰がいつ確認したかを残しておくと、掲載後に条件の食い違いが出たときに、どこで抜けたかが追えます。確認の記録が無いと、毎回同じ場所で漏れます。

複数の媒体に出すときは、原本を1つにする

媒体ごとに文章を作ると、条件が少しずつずれていきます。条件の原本を1つ持って、媒体ごとの掲載はそこから写す形にすると、ずれが起きません。原本の持ち方は求人票の管理にまとめています。

採用板が配っているのは参考様式です 募集要項チェック表に、法令で定められた様式はありません。採用板が配布しているのは、確認する項目を1件ずつたどれる参考様式です。項目一覧と記入例は募集要項チェック表のページにあります。記載が法令の要件を満たしているかどうかの判断は、ハローワークまたは労働局にご確認ください。

募集要項に書かないほうがよいこと

募集要項には、書かないほうがよいこともあります。応募者の適性と能力に関係のない条件は、そこに書いた時点で選考の基準として扱われます。

本人の努力では変えられないことを条件にしない

厚生労働省は「公正な採用選考の基本」で、応募者の基本的人権を尊重し、適性と能力に基づいて採用選考を行うことを求めています。本籍や出生地、家族の職業、住宅の状況、生活環境といった本人に責任のない事項は、募集要項にも選考の基準にも置かないでください。詳しい範囲は面接で聞いてはいけない質問にまとめています。

性別や年齢の条件には決まりがある

性別や年齢を条件にすることには、法令上の決まりがあります。例外が認められる場合もありますが、当てはまるかどうかの判断は、この記事では扱いません。ハローワークまたは労働局にご確認ください。

あいまいな精神論を条件にしない

「やる気のある方」「元気な方」といった表現は、条件になっていません。応募者が自分に当てはまるか判断できず、選考でも基準になりません。具体的な行動で書き換えると、応募の質が上がります。「分からないことを聞ける方」のほうが、判断できます。

募集要項を作り直す時期

募集要項は、一度作ると次の募集でもそのまま使われます。使い回してよいものと、毎回見直すものを分けておくと、古い条件のまま出す事故が防げます。

項目使い回しの可否見直す時期
会社の概要、事業内容使い回せる年1回
仕事の中身、1日の流れ職種が同じなら使い回せる現場の体制が変わったとき
賃金、賞与、昇給毎回確認する募集のたび
勤務時間、休日、年間休日数毎回確認する募集のたび
保険、諸手当毎回確認する募集のたび
必須要件、歓迎要件見直す採れなかった募集の後

採れなかった募集の後に、要件を見直す

募集を締め切ったのに採用に至らなかったときは、要件が市場と合っていない可能性があります。書類選考の見送り理由に「必須要件を満たさない」が集中しているなら、その要件が現実に存在しない人材を指しています。集計のしかたは不採用理由の集計のしかたにまとめています。

入社した人の声を反映する

実際に入社した人に、募集要項を読んで分からなかったことを1つ聞くと、次の募集で直せます。入社直後に聞くのがいちばん覚えています。受け入れの流れは入社受け入れの準備にまとめています。

よくある質問

Q. 募集要項と求人票は同じものですか?
中身は重なりますが、役割が違います。募集要項は自社が決めた条件の原本で、求人票は媒体やハローワークに出す掲載物です。原本を1つ持って、媒体ごとの掲載はそこから写す形にすると、条件のずれが起きません。
Q. 令和6年4月から追加された明示事項は何ですか?
従事すべき業務の変更の範囲、就業の場所の変更の範囲、有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間または更新回数の上限を含む)です。変更の範囲は、雇入れの直後だけでなく契約期間中の配置転換なども含めた範囲を指します。書き方に迷う場合はハローワークや労働局にご確認ください。
Q. 必須要件はいくつまでにすべきですか?
3つ以内に絞ると応募が集まりやすくなります。1つ増やすごとに応募できる人が減ります。入社後に身につくものは歓迎要件に落とし、無いと業務が始められない資格や免許だけを必須にしてください。
Q. きつい条件を書くと応募が減りませんか?
減ることはありますが、書かずに採用したほうが早期の離職につながります。重いものを扱う、屋外の作業がある、繁忙期に残業があるといったことは先に書いてください。書いても応募する人は、それを理解したうえで応募しています。
Q. 募集要項を出した後に条件を変えてもよいですか?
掲載中に条件を変えると、変更前に応募した人と条件が違うことになります。変えるなら掲載を一度止めて出し直し、変更前に応募した人には個別に説明してください。変えた内容と日付を記録に残しておくと、後から確認できます。
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本記事は一般的な業務の進め方を整理したものです。社内規程、契約条件、法令上の要件がある場合は、それらを優先してご確認ください。記事の内容は2026-08-30時点のものです。