募集の設計

採用予算の決め方|費目に分けて、単価から逆算する

公開 2026-08-30 執筆 採用板 編集部

期の初めに求人広告の予算を組んだのに、途中で紹介会社を使うことになって足りなくなる。採用予算では、よくある形です。原因は金額の見積もりではなく、費目の分け方にあります。

一般には、費目を5つほどに分け、1人あたりの単価と採用予定人数から必要額を逆算する形が採られています。この記事では、採用予算の決め方を、費目の分け方から逆算、実績との突き合わせまでの順に整理します。相場の金額そのものより、自社の数字の作り方を扱います。

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この記事の内容(8項目)

採用予算は費目に分けてから金額を入れる

採用予算の決め方でつまずくのは、たいてい「求人広告費」という1行だけで組んでしまうときです。実際には、求人広告以外の支出が全体の半分近くを占めることがあります。

費目中身金額の決まり方
募集求人媒体の掲載料、自社採用ページの維持費掲載前に決まる。前払い
紹介人材紹介会社の成功報酬、社員紹介の謝礼採用が決まってから発生する
選考適性検査の受検料、面接会場、交通費の支給選考の人数に比例する
接点づくり採用イベントの出展料、会社案内の印刷、動画制作年度の初めにまとめて決まる
予備費上のどれにも入らない急な支出合計の1割程度を置く

発生の仕方が違うものを同じ行にしない

求人広告費は先に払うお金、紹介手数料は採用が決まってから払うお金です。同じ行にまとめると、残りがいくらか分からなくなります。「広告は使い切ったが紹介はまだ使っていない」という状態が見えるだけで、判断がしやすくなります。

人件費は年1回だけ入れる

採用担当や面接官の人件費も、本来は採用コストです。ただし月次の管理に入れると、毎月の集計が重くなります。月次は外部に払うお金だけにして、年に1回、経営に報告するときだけ人件費を足す形が回しやすくなります。

採用予算の決め方は3手順

採用予算の決め方は、次の3手順で進みます。1人あたりの上限額から入るのが、いちばん短い道です。

  1. 職種ごとに、1人あたりの上限額を決める。過去の実績か、給与に対する割合で置きます
  2. 採用予定人数をかけて、必要額を出す。ここが予算の下限になります
  3. 費目に割り振り、予備費を1割足す。使う経路が決まっていれば割り振りは自動的に決まります

1人あたりの上限額の置き方

実績が無い場合、一般に使われているのは想定年収に対する割合です。人材紹介を使う場合の成功報酬は理論年収の30パーセント前後が一般的とされているので、そこを上限の目安に置く会社が多くあります。求人媒体だけで採るなら、もっと低く置けます。

相場の数字をそのまま使わない 1人あたりの採用コストの平均額は、調査によって幅が大きく、新卒と中途、職種、地域で数倍違います。外の平均は「桁が合っているか」の確認にだけ使い、金額は自社の実績から置いてください。実績の出し方は採用の効果測定にまとめています。

採用予定人数は採用計画から取る

予算の議論だけで人数を決めると、費用に合わせて人数が縮みます。人数は採用計画で先に決めておいて、そこから予算を出す順番にしてください。逆にすると、現場の要望と予算のどちらも満たさない中途半端な数字になります。

募集効果管理表(Excel・無料)媒体ごとの応募、面接、採用数と採用単価を比較できます。登録不要でダウンロードできます。
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経路の組み合わせで必要額が変わる

同じ人数を採る場合でも、どの経路を使うかで必要額が数倍変わります。予算を組む段階で経路の組み合わせを決めておくと、途中で足りなくなりません。

経路費用の出方予算に置くときの注意
ハローワーク無料0円で置ける。応募が読めない
求人媒体掲載期間ごとの前払い採れなくても費用は出る
人材紹介採用が決まってからの成功報酬採れた分だけ出る。1人あたりが高い
社員紹介謝礼件数が読めない。就業規則との整合が要る
採用イベント出展料と人件費その場では決まらない。効果が遅れて出る

前払いと成功報酬を混ぜて持つ

求人媒体だけで組むと、応募が来なかったときに費用だけが出ます。人材紹介だけで組むと、1人あたりが高くなります。前払いの経路と成功報酬の経路を両方持っておくと、どちらかが外れても採用が止まりません。

社員紹介の謝礼は、賃金として扱う

社員に支払う紹介の謝礼は、職業安定法40条との関係で扱いに注意が要ります。同法は、労働者の募集に従事する者へ報酬を与えることを原則として禁じています。実務では、就業規則に定めたうえで賃金として支払う形が一般的です。予算上も、募集費ではなく人件費として置く会社があります。詳しくはリファラル採用のルールの作り方にまとめています。金額や支払い方の可否は、社会保険労務士にご確認ください。

予算と実績を並べて、残りを見る

採用予算は、組んだ時点では半分です。使った金額を同じ表に書き足していって、残りがいくらかを見るところまでやって機能します。

費目予算実績残り見るところ
募集120万円90万円30万円掲載の更新月が来る前に判断
紹介180万円90万円90万円あと何人ぶん残っているか
選考20万円8万円12万円面接人数に比例して伸びる
接点づくり50万円50万円0円年度初めに使い切る費目
予備費40万円0円40万円残しておく

残りを「あと何人ぶん」で言う

金額の残りだけを見ると、多いのか少ないのか分かりません。1人あたりの単価で割って「あと何人ぶん残っているか」に直すと、採用計画と直接つながります。紹介の残り90万円が1人ぶんなら、あと1人しか採れません。

費目をまたぐ流用のルールを決めておく

募集が余って紹介が足りない、ということは普通に起きます。流用してよいかどうかを先に決めておくと、そのたびに承認を取らずに済みます。「予備費と募集からは紹介へ流用してよい」といった1行で足ります。

請求書が来る前に書く

実績を請求書が来てから書くと、1か月から2か月遅れます。発注した時点で見込み額を書いておくと、残りが実態に近くなります。確定したら金額を上書きします。個別の支払管理は人材紹介の手数料の見方面接の交通費の扱いで扱っています。

紹介手数料 支払管理表(Excel・無料)紹介会社への手数料の請求、支払、返金条件を1枚で管理します。登録不要でダウンロードできます。
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採用予算が途中で足りなくなる3つの原因

予算が期の途中で尽きるとき、原因はだいたい次の3つです。

その1:紹介会社を使う想定が入っていない

求人媒体だけで組んだ予算に、途中から人材紹介が入ると、1人で数十万円から百万円単位の支出が乗ります。使う可能性があるなら、0円でも行だけは作っておいてください。行があると、使う判断のときに予算の話が先に出ます。

その2:採用に失敗した回数が読めていない

1回の募集で採れる前提で組むと、採れなかったときの2回目の掲載費が出ます。募集は1回で決まらないことのほうが多くあります。職種によっては、掲載を2回ぶん見込んでおくほうが実態に合います。

その3:選考にかかる費用が見えていない

適性検査の受検料、遠方からの候補者の交通費、面接会場の費用は、1件あたりは小さくても件数で効いてきます。応募が想定より多い月に、この費目だけが膨らみます。

採用板が配っているのは参考様式です 採用予算管理表に、法令で定められた様式はありません。採用板が配布しているのは、費目ごとに予算と実績を並べて残りが出る参考様式です。項目一覧と記入例は採用予算管理表のページにあります。

予算を削るよう言われたときの考え方

採用予算は、経費の見直しで最初に削られる対象になりやすい項目です。削る話が来たときに、どこを削ると何が起きるかを先に整理しておくと、話が具体的になります。

削る場所すぐ起きること後で起きること
求人媒体を減らす応募数が減る採用の時期が後ろへずれる
人材紹介を使わない単価は下がる専門職の採用が決まらない
採用イベントをやめるその年は影響が出にくい翌年以降の新卒の母集団が細る
交通費の支給をやめる金額は小さい遠方からの応募が減る

削る代わりに、時期をずらす選択肢を出す

予算そのものを削らずに、採用の時期を後ろへずらして次期の予算に載せるという選択肢があります。現場の負担は延びますが、要件を落とさずに済みます。採用計画で「採れなかったときに何を動かすか」を先に決めてあれば、この会話がすぐできます。

効果の低い経路を先に止める

一律に何割か削るより、効果測定の数字を持って、単価の高い経路から止めるほうが被害が小さくなります。数字が無いと、この提案ができません。効果測定を始めていない場合は、まず3か月数えるところからです。方法は採用の効果測定にまとめています。

予算の実績を、どこまで細かく記録するか

実績の記録を細かくしすぎると、月次の更新が続きません。1件いくらから記録するかを決めておくと、手間が一定になります。

金額記録の形
1万円未満費目の合計にまとめる。個別には記録しない
1万円以上1件1行で記録する。発注日と支払予定日を入れる
10万円以上契約書と請求書の保管場所も記録する

面接の交通費は件数で効く

1件あたりは数千円でも、面接の件数が増えると合計は無視できません。1件ずつではなく月ごとの合計で持つと、記録の手間を抑えたまま金額が見えます。支給の決め方は面接の交通費の扱いにまとめています。

よくある質問

Q. 採用予算は年間でどのくらい見ておけばよいですか?
一律の目安はありません。職種、地域、使う経路で数倍変わります。実績が無い場合は、想定年収に対する割合で1人あたりの上限を置き、採用予定人数をかけて出してください。外の平均額は、桁が合っているかの確認にだけ使うのが安全です。
Q. 採用予算に担当者の人件費を入れるべきですか?
月次の管理では外部に払うお金だけにしたほうが続きます。人件費を毎月按分すると集計が重くなり、更新されなくなります。年に1回、経営に報告するときだけ人件費を含めた総額を出す形が回しやすくなります。
Q. 費目をまたいで予算を流用してもよいですか?
流用してよい方向を先に決めておくと、そのたびに承認を取らずに済みます。「予備費と募集からは紹介へ流用してよい」といった1行で足ります。決めていないと、必要なときに使えず採用が止まります。
Q. 社員紹介の謝礼は、どの費目に入れますか?
募集費ではなく人件費として扱っている会社があります。社員に支払う紹介の謝礼は職業安定法40条との関係があり、実務では就業規則に定めて賃金として支払う形が一般的です。金額や支払い方の可否は社会保険労務士にご確認ください。
Q. 予算が足りなくなったとき、何から手を打ちますか?
効果測定の数字を持って、単価の高い経路から止めてください。一律に削ると、効いている経路まで落ちます。数字が無い場合は、削るより採用の時期を後ろへずらして次期の予算に載せるほうが、要件を落とさずに済みます。
採用予算管理表(Excel・無料)費目ごとの予算と実績を並べ、残りがいくらかを見ます。登録不要でダウンロードできます。
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本記事は一般的な業務の進め方を整理したものです。社内規程、契約条件、法令上の要件がある場合は、それらを優先してご確認ください。記事の内容は2026-08-30時点のものです。