人材紹介の手数料の見方|返金規定と支払時期を確認する
人材紹介の手数料は、1人で数十万円から百万円単位になります。採用の費用の中では、いちばん大きい支出になることが多くあります。
金額そのものより、いつ払うのか、辞めたら戻ってくるのかのほうが実務では効いてきます。この記事では、人材紹介の手数料の見方を、料率の考え方から返金規定、支払時期の管理までの順に整理します。
この記事の内容(9項目)
- 手数料は「理論年収 × 料率」で決まる
- 「理論年収」に何が含まれるかを確認する
- 採用が決まる前に、金額の見込みを出す
- 返金規定の読み方
- 確認する5つ
- 申し出の期限がいちばん見落とされる
- 対象にならない場合を先に読む
- 返金があるからといって、選考を甘くしない
- 支払時期の管理
- 内定の時点で見込み額を予算に入れる
- 支払の条件を確認する
- 承諾後の辞退の扱いを確認する
- 返金の対象期間を、支払管理表に書く
- 支払管理表で持つもの
- 返金の申し出期限の列を必ず持つ
- 支払期日で並べ替える
- 経理と共有する
- 契約する前に確認する項目
- 候補者の重複と、直接応募の扱い
- 直接応募の記録を残しておく
- 不明な点は書面で確認する
- 契約書の保管場所を決める
- 手数料が高いかどうかの判断
- 採れなかった媒体の費用と比べる
- 1人あたりの上限と突き合わせる
- 値引きの交渉は、依頼の前にする
- 効果測定に反映する
- 早期退職が出たときの手順
- 退職の理由を記録しておく
- 返金より、原因を見る
- 次の紹介で代替する形もある
- 複数の紹介会社を使うときの費用管理
- 1人あたりの平均額に差が出たら、料率を確認する
- 返金を受けた件数が多い会社
- 年に1回、契約を見直す
- 使わなくなった契約を整理する
- よくある質問
手数料は「理論年収 × 料率」で決まる
人材紹介の手数料は、採用した人の理論年収に、契約で決めた料率をかけて計算するのが一般的な形です。
「理論年収」に何が含まれるかを確認する
ここが金額を大きく左右します。賞与や各種手当を含めるかどうかで、数十万円変わります。契約書に定義が書かれているはずなので、依頼する前に読んでください。
| 含むかどうかを確認するもの | 影響 |
|---|---|
| 賞与(見込み額) | 大きい。年2回あれば年収の2割前後 |
| 固定残業代 | 職種によっては大きい |
| 通勤手当 | 小さいが、含まれることがある |
| 住宅手当、家族手当 | 制度があれば影響する |
| 試用期間中の減額 | 試用期間中の額で計算するかどうか |
採用が決まる前に、金額の見込みを出す
内定を出す前に、その条件で採用した場合の手数料を計算してください。予算の残りと突き合わせて、払えるかどうかを先に確認します。予算の見方は採用予算の決め方にまとめています。
返金規定の読み方
採用した人が早く辞めた場合に、手数料の一部が戻る規定があることがあります。ただし、内容は契約によって違います。
確認する5つ
| 確認すること | なぜ要るか |
|---|---|
| 対象になる期間 | 入社から何か月以内の退職が対象か |
| 返金の割合 | 期間によって段階的に変わることが多い |
| 対象にならない場合 | 会社都合の解雇、本人の傷病など |
| 返金か、次の紹介か | 現金の返金ではなく、無償で次を紹介する形もある |
| 申し出の期限 | 退職から何日以内に連絡が必要か |
申し出の期限がいちばん見落とされる
返金の対象であっても、期限内に連絡しなければ受けられないことがあります。早期退職が出たときに、まず契約書を確認してください。
対象にならない場合を先に読む
会社都合による解雇や、こちらの事情による退職は対象外とされていることがあります。どういう場合が対象外かを、依頼する前に読んでおいてください。
返金があるからといって、選考を甘くしない
返金規定は保険ではありません。早く辞められたら、費用が戻っても採用の時間は戻りません。選考の基準は通常どおりにしてください。早期離職の調べ方は早期離職の原因の調べ方にまとめています。
支払時期の管理
手数料は、採用が決まってから発生します。そのため、予算の残りが急に減ります。
内定の時点で見込み額を予算に入れる
請求書が来てから予算に反映すると、その間に他の支出を承認してしまいます。内定を出した日に、見込み額を予算管理表へ入れてください。入れ方は採用予算の決め方にまとめています。
支払の条件を確認する
| 確認すること | 影響 |
|---|---|
| 請求のタイミング | 入社日か、内定承諾時か |
| 支払の期日 | 請求書の発行から何日か |
| 分割払いの可否 | 金額が大きい場合の資金繰り |
| 入社しなかった場合 | 承諾後に辞退したときの扱い |
承諾後の辞退の扱いを確認する
内定承諾の時点で請求される契約の場合、入社前に辞退されたときの扱いを確認してください。ここが曖昧だと、入社していない人の手数料を払うことになりかねません。
返金の対象期間を、支払管理表に書く
入社から3か月、6か月といった期間が返金の対象なら、その日付を表に書いておいてください。期間内に退職があったときに気づけます。
支払管理表で持つもの
紹介会社ごと、採用した人ごとに1行で持ちます。契約の条件と、実際の支払の両方を並べます。
| 列 | 役割 |
|---|---|
| 紹介会社名 | 案件管理表と対応させる |
| 採用した人(受付番号) | 採用管理表と対応させる |
| 入社日 | 返金期間の起点 |
| 理論年収 | 計算の根拠 |
| 料率 | 契約で決めた率 |
| 手数料の金額 | 請求される金額 |
| 請求書の受領日 | 支払期日の起点 |
| 支払期日と支払日 | 払い忘れを防ぐ |
| 返金の対象期間 | 入社日から何か月後までか |
| 返金の申し出期限 | 退職があったときに確認する |
返金の申し出期限の列を必ず持つ
ここが無いと、早期退職が出たときに、返金の対象かどうかをその場で判断できません。契約書を探している間に期限が過ぎます。
支払期日で並べ替える
支払日が空欄で期日が近いものが上に集まります。月に1回この確認をすれば、払い忘れが起きません。
経理と共有する
手数料の支払いは経理が処理します。見込み額の段階で共有しておくと、資金繰りの面でも助かります。
契約する前に確認する項目
依頼を始める前に、契約書で確認する項目を決めておくと、後から揉めません。
- 料率と、理論年収の定義。何を含めるか
- 請求のタイミング。入社日か、承諾時か
- 支払の期日。請求から何日か
- 返金の対象期間と割合。段階的に変わるか
- 返金の対象外になる場合。会社都合の退職など
- 返金の申し出期限。退職から何日以内か
- 候補者が重複したときの扱い。他社と同じ人が紹介された場合
- 直接応募との関係。紹介前に自社に応募していた人の扱い
候補者の重複と、直接応募の扱い
複数の紹介会社から同じ人が紹介されたり、すでに自社に直接応募していた人が紹介されたりすることがあります。この場合の扱いは契約によって違います。トラブルになりやすいので、先に確認してください。
直接応募の記録を残しておく
自社に直接応募した人の記録が残っていれば、紹介より前に応募していたことを示せます。採用管理表に応募日と経路を残しておいてください。作り方は採用管理表の作り方にまとめています。
不明な点は書面で確認する
口頭で聞いた内容は、担当者が代わると引き継がれません。メールで質問して、回答をメールでもらう形にしてください。
契約書の保管場所を決める
返金の話が出るのは、契約から1年以上たった後です。そのときに契約書が見つからない、ということが起きます。保管場所を案件管理表に書いておいてください。方法は人材紹介会社への依頼のしかたにまとめています。
手数料が高いかどうかの判断
1人で数十万円から百万円という金額は、単体で見ると高く感じます。他の経路と並べて比べてください。
| 経路 | 費用の出方 | 1人あたりの傾向 |
|---|---|---|
| 求人媒体 | 掲載ごとの前払い | 採れれば安い。採れなくても出る |
| 人材紹介 | 採用が決まってからの成功報酬 | 高いが、採れなければ0円 |
| 社員紹介 | 謝礼 | 安い。件数が読めない |
| ハローワーク | 無料 | 0円。地域と職種で差が大きい |
採れなかった媒体の費用と比べる
媒体に3回掲載して採れなかった場合、その費用は成果ゼロで出ています。紹介の手数料は、採れたときにしか出ません。単価だけでなく、この違いも含めて比べてください。
1人あたりの上限と突き合わせる
採用計画で決めた1人あたりの上限額を超えるなら、その職種に紹介会社を使うかどうかを判断し直す必要があります。上限の置き方は採用計画の立て方にまとめています。
値引きの交渉は、依頼の前にする
採用が決まってから料率の話をしても、契約どおりの金額になります。依頼する段階で、複数名の採用を前提にした料率などを相談してください。
効果測定に反映する
紹介会社の費用と採用人数を、他の経路と同じ表に並べてください。並べないと、高いか安いかの判断ができません。方法は採用の効果測定にまとめています。
早期退職が出たときの手順
返金の対象になり得る期間に退職が出たら、すぐ動いてください。期限があります。
- 支払管理表で、返金の対象期間内かを確認する。入社日から数えます
- 契約書で、対象外の条件に当たらないかを確認する。退職の理由による
- 申し出の期限を確認する。退職から何日以内か
- 紹介会社に連絡する。期限内に、書面で
- 結果を支払管理表に記録する。返金額と入金日
退職の理由を記録しておく
返金の対象になるかどうかは、退職の理由によって変わることがあります。本人からの申し出だったのか、会社側の判断だったのかを記録に残してください。聞き取りのしかたは早期離職の原因の調べ方にまとめています。
返金より、原因を見る
返金を受けても、採用にかけた時間と、現場の混乱は戻りません。なぜ早く辞めたのかを聞き取って、次の募集に返してください。
次の紹介で代替する形もある
現金の返金ではなく、無償で次の候補者を紹介するという形の契約もあります。どちらになるかを契約書で確認してください。
複数の紹介会社を使うときの費用管理
2社以上に依頼していると、どこにいくら払ったかが分からなくなります。会社ごとに集計してください。
| 見る数字 | 分かること |
|---|---|
| 会社ごとの紹介人数 | 動いてくれているか |
| 会社ごとの採用人数 | 成果が出ているか |
| 会社ごとの支払総額 | 予算に占める割合 |
| 1人あたりの平均額 | 料率の違いが出る |
| 返金を受けた件数 | 早期退職の傾向 |
1人あたりの平均額に差が出たら、料率を確認する
同じ職種でも、会社によって理論年収の計算が違えば金額が変わります。差が大きいなら、契約の内容を比べてください。
返金を受けた件数が多い会社
返金が受けられているからよい、ということにはなりません。その会社からの紹介で早期退職が続いているなら、紹介の質の問題です。見送った理由を伝えているかを確認してください。伝え方は人材紹介会社への依頼のしかたにまとめています。
年に1回、契約を見直す
実績が出たら、料率や条件を見直す相談をしてよい時期です。継続して依頼していることは、交渉の材料になります。
使わなくなった契約を整理する
依頼を止めた紹介会社の契約が残っていると、思わぬときに紹介が来て、断ることになります。止めるときに、契約の扱いも確認してください。
よくある質問
- Q. 人材紹介の手数料の相場はいくらですか?
- 一般には理論年収の30パーセント前後とされていますが、料率も、理論年収に何を含めるかも契約によって違います。賞与や固定残業代を含めるかどうかで数十万円変わります。必ず契約書をご確認ください。
- Q. 採用した人がすぐ辞めたら、手数料は戻ってきますか?
- 返金の規定がある契約もありますが、内容は契約によって違います。対象になる期間、返金の割合、対象外になる場合、申し出の期限の4つを契約書で確認してください。特に申し出の期限は見落とされやすく、期限内に連絡しなければ受けられないことがあります。
- Q. 手数料はいつ請求されますか?
- 入社日に請求される契約と、内定承諾の時点で請求される契約があります。承諾時に請求される場合は、入社前に辞退されたときの扱いを必ず確認してください。ここが曖昧だと、入社していない人の手数料を払うことになりかねません。
- Q. 複数の紹介会社から同じ人が紹介されたら、どうなりますか?
- 扱いは契約によって違います。トラブルになりやすいので、依頼する前に確認してください。また、紹介より前にその人が自社に直接応募していた場合の扱いも合わせて確認し、応募日と経路を採用管理表に残しておいてください。
- Q. 紹介会社の手数料は高すぎませんか?
- 他の経路と並べて比べてください。求人媒体は採れなくても費用が出ますが、紹介は採れたときにしか出ません。判断の基準は、採用計画で決めた1人あたりの上限額です。上限を超えるなら、その職種に紹介会社を使うかどうかを判断し直してください。
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