採用の事務

面接の交通費の扱い|出す範囲を決めて先に伝える

公開 2026-08-30 執筆 採用板 編集部

面接に来てもらうとき、交通費を出すかどうか。決めていないと、聞かれてから慌てて社内で確認することになります。その間に、候補者は不安になります。

金額は1件あたり数千円ですが、件数が増えれば無視できません。この記事では、面接の交通費の扱いを、出す範囲の決め方から伝え方、精算の流れ、記録までの順に整理します。

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この記事の内容(9項目)

出すか出さないかを、先に決める

面接の交通費に、支給を義務づけた法令はありません。出す会社も、出さない会社もあります。決めていないことが問題です。

方針向いている場面費用の見込み
出さない近隣からの応募が中心。応募が多い0円
一定の距離を超えたら出す広い範囲から集めたい件数は限られる
最終面接だけ出す段階が進んだ人に絞る読みやすい
全員に出す応募が少ない。遠方から集めたい面接件数に比例する

「一定の距離を超えたら」が扱いやすい

近隣の人には出さず、遠方の人には出す形なら、費用を抑えたまま、応募の幅を広げられます。基準は「片道の交通費が1,000円を超える場合」といった金額で置くと、判断が機械的になります。

最終面接だけ出す形も多い

一次面接をオンラインにして、最終だけ来社してもらう場合、最終の交通費だけを出す形が収まりがよくなります。オンラインの使い方はオンライン面接の準備にまとめています。

出さないと決めたなら、そう伝える

出さないこと自体は問題ではありません。聞かれるまで伝えないのが問題です。案内に1行書いておけば、候補者は判断できます。

上限と範囲を決める

「出す」とだけ決めると、思わぬ金額を請求されることがあります。上限と範囲を決めてください。

決めること置き方の例
上限額1回につき5,000円まで
対象になる区間自宅または現在の勤務地から会社まで、公共交通機関の往復
交通手段電車、バス。新幹線や飛行機は事前の相談による
自家用車の場合出す/出さない。出すなら距離あたりの単価
宿泊費原則として出さない。必要な場合は事前の相談による
支払の方法当日に現金/後日に振込

上限を決めておくと、その場で答えられる

遠方から応募があったときに、上限が決まっていれば、その場で「5,000円までお支払いします」と言えます。決まっていないと、社内で確認して折り返すことになります。

新幹線や飛行機は事前の相談にする

これらは金額が大きいので、来てもらう前に個別に決める形にしてください。「事前にご相談ください」と書いておけば足ります。

自家用車の扱いを決めておく

地方では、車で来る人が多くなります。出すなら距離あたりの単価を決めて、駐車場の有無も伝えてください。出さないなら、その旨を書きます。

伝え方

交通費のことは、面接の日程を伝える連絡に書きます。候補者が来る前に知っている状態にしてください。

日程の連絡に1行入れる

書き方の例 出す場合:当日の交通費として、上限5,000円まで実費をお支払いいたします。当日、領収書または経路の記録をご持参ください。
出さない場合:誠に恐縮ですが、面接にお越しいただく際の交通費はご負担をお願いしております。

当日に必要なものを書く

領収書が要るのか、経路を書いてもらうだけでよいのかを、先に書いておいてください。当日に「領収書はありますか」と聞くと、持っていない人が困ります。

支払の方法とタイミングも書く

当日に現金で渡すのか、後日に振り込むのかで、候補者が準備するものが変わります。振込なら口座を教えてもらう必要があります。

オンライン面接では触れない

オンラインの回では交通費は発生しません。案内の定型文を、来社の回とオンラインの回で分けておくと、不要な記載が混ざりません。日程の連絡に入れる項目は面接の日程調整のやり方にまとめています。

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精算の流れ

精算は、当日に現金で渡すか、後日に振り込むかのどちらかです。それぞれ手間が違います。

当日に現金

その場で終わる
候補者は後の手続きが不要
現金と受領の記録が要る
件数が少ないなら楽

後日に振込

現金を用意しなくてよい
口座を教えてもらう必要がある
振込手数料がかかる
件数が多い場合や遠方

当日に現金で渡す場合

  1. 面接の前に、金額を確認する。経路を聞いて計算します
  2. 面接の後に渡す。面接の前に渡すと、面接の場が気まずくなります
  3. 受領の記録を残す。氏名、日付、金額、経路

口座を聞くのは、必要な場合だけ

振込にする場合は口座が要りますが、選考の段階で口座情報を集めるのは、扱う情報が増えます。件数が少ないなら、当日に現金で渡すほうが情報を持たずに済みます。

不採用でも支払う

交通費は、選考の結果とは関係ありません。不採用でも、決めたとおりに支払ってください。結果が出てから振り込む形にすると、支払いが遅れます。

個人情報の扱いを決める

口座情報を受け取った場合、支払いが済んだら削除してください。選考が終わった後も持ち続ける理由がありません。考え方は応募書類の保管と返却にまとめています。

記録に残すもの

交通費の記録は、経理に回すためと、費用を集計するための2つに使います。

役割
面接日いつの分か
候補者名(受付番号)採用管理表と対応させる
応募職種職種ごとに費用を集計する
選考の段階一次/最終。方針の確認に使う
経路と交通手段金額の根拠
金額上限を超えていないか
支払の方法現金/振込
支払日未払いを見つける
領収書の有無経理の処理に必要

月ごとの合計を出す

1件あたりは小さくても、面接の件数が増えると合計は無視できません。月ごとの合計を出して、予算の「選考」の費目に反映してください。予算の組み方は採用予算の決め方にまとめています。

1件ずつ記録するか、月合計にするか

金額が小さいので、1万円未満は月ごとの合計で持つ形でも足ります。ただし、支払ったかどうかを追うには1件1行が要ります。件数が月に数件なら、1件1行で問題ありません。

未払いを残さない

支払日が空欄のまま残っていないかを、月に1回確認してください。候補者から見て、支払われない交通費はいちばん印象が悪い形です。

応募の幅との関係

交通費を出すかどうかは、費用の話であると同時に、どこまでの範囲から応募を集めるかの話でもあります。

方針応募への影響
出さない遠方からの応募が減る。近隣に絞られる
遠方だけ出す遠方の人も検討しやすくなる
全員に出す応募の幅が広がる。費用が件数に比例する

近隣で採れているなら、出さなくてよい

応募が十分に集まっていて、近隣から採用できているなら、出す必要はありません。費用を他に回せます。

応募が足りないなら、出す価値がある

応募が必要数に届いていないとき、交通費を出すことで応募の範囲が広がることがあります。求人媒体を増やすより安く済む場合があります。判断は採用の効果測定の数字で行ってください。

オンラインで代えられないかを見る

交通費を出す前に、一次面接をオンラインにできないかを検討してください。移動の負担そのものが無くなるので、交通費より効果が大きいことがあります。

予算を削る話が出たとき

交通費は金額が小さいので、削る対象になりやすい項目です。削ると遠方からの応募が減ることを、あわせて伝えてください。判断の材料になります。

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面接以外で費用が出る場面

交通費が出るのは、面接だけではありません。同じ方針で扱う場面をまとめておいてください。

場面扱いを決めておくこと
職場見学選考の前なら出さない会社が多い
適性検査を会社で受ける面接と同じ日なら1回分
実技試験時間がかかるので、扱いを別に決める
内定者の顔合わせ入社前なので、出すほうが無難
入社前の職場訪問同上

内定後の来社は出すほうが無難

承諾した後の来社は、こちらの都合でお願いしていることがほとんどです。出すほうが筋が通ります。案内に扱いを書いておいてください。内定者への連絡は内定者フォローのやり方にまとめています。

職場見学は選考の前なら出さない形が多い

見学は本人の希望で来てもらうことが多いので、出さない形が一般的です。ただし、こちらから依頼して来てもらう場合は別です。受け入れ方は職場見学の受け入れにまとめています。

同じ日にまとめる

面接と適性検査と見学を別の日にすると、そのたびに交通費が出ます。同じ日にまとめると、費用も候補者の負担も減ります。

方針を1枚にまとめる

場面ごとの扱いを1枚に書いて、採用に関わる人に配ってください。担当によって扱いが変わらなくなります。

当日に困らないための準備

当日に現金で渡す形にする場合、準備が要ります。忘れると、その場で渡せません。

  1. 現金を用意する。小銭も含めて。経理と手順を決めておきます
  2. 受領の記録の用紙を用意する。氏名、日付、金額、経路、署名
  3. 金額を面接の前に計算する。候補者の最寄り駅から計算しておきます
  4. 渡す人を決める。面接官か、採用担当か

金額を先に計算しておく

当日にその場で調べると、時間がかかります。日程が確定した時点で、最寄り駅を聞いて計算しておいてください。

渡すタイミングは面接の後

面接の前に渡すと、その後の面接の場が気まずくなります。終わってから、見送るときに渡す形が自然です。

渡し忘れが起きやすい

面接の内容に集中していると、渡すのを忘れます。面接の準備の確認表に「交通費の準備」の行を入れておいてください。連絡の管理は選考連絡の期限の決め方にまとめています。

忘れたら、後日に振り込む

渡し忘れた場合は、その日のうちに連絡して、口座を聞いて振り込んでください。放置すると、候補者から言い出しにくい状態が続きます。

採用板が配っているのは参考様式です 採用費用精算表に、法令で定められた様式はありません。採用板が配布しているのは、面接ごとの交通費や宿泊費を、経路・金額・支払日まで1件1行で追える参考様式です。項目一覧と記入例は採用費用精算表のページにあります。費用の税務上の取り扱いについては、税理士または税務署にご確認ください。

よくある質問

Q. 面接の交通費は、出さなければならないのですか?
支給を義務づけた法令はありません。出す会社も出さない会社もあります。問題は、出すか出さないかを決めていないことです。決めて、面接の日程を伝える連絡に1行書いておいてください。
Q. 交通費を出すなら、いくらまでが目安ですか?
上限を決めておくと、その場で答えられます。「1回につき5,000円まで」といった形です。新幹線や飛行機は金額が大きいので、事前の相談によるという扱いにしてください。
Q. 不採用の人にも交通費を払うのですか?
払ってください。交通費は選考の結果とは関係ありません。結果が出てから振り込む形にすると支払いが遅れるので、当日に現金で渡すか、面接後すぐに振り込む形にしてください。
Q. 当日に現金で渡すのと、後日に振り込むのは、どちらがよいですか?
件数が少ないなら、当日に現金で渡すほうが楽です。口座情報を受け取らずに済むので、扱う個人情報も増えません。件数が多い場合や遠方の人には、振込のほうが現金の準備が要らず扱いやすくなります。
Q. 職場見学や内定者の顔合わせでも、交通費を出すべきですか?
職場見学は、本人の希望で来てもらうことが多いので出さない形が一般的です。ただし、こちらから依頼して来てもらう場合は別です。内定を承諾した後の来社は、こちらの都合でお願いしていることがほとんどなので、出すほうが筋が通ります。
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本記事は一般的な業務の進め方を整理したものです。社内規程、契約条件、法令上の要件がある場合は、それらを優先してご確認ください。記事の内容は2026-08-30時点のものです。